あたみ温泉【閉店・大分駅前の源泉かけ流し銭湯】

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おんせん県と名乗る湧出量1位別府温泉と2位湯布院温泉を有する大分県。その県庁所在地である大分市も別府・湯布院に隣接しているため、県都としては圧倒的な温泉湧出量を誇る市です。市内には多くの公共浴場や温泉付きのホテルがあり、その極めつけと言っていいのが大分駅に隣接する公共浴場「あたみ温泉」です。残念ながら2024年12月28日に閉店となりました。今回は閉店間際に初めてのおんせん県の温泉としてお湯をいただいてきました。

大分あたみ温泉

県庁所在地である大分駅から徒歩2分。駅にはハンズやH&M、無印良品などが入居する大規模商業施設が併設されており、そのすぐ横に建つ昭和レトロな銭湯が「あたみ温泉」です。巨大な駅ビルを持つ県庁所在地の駅すぐの場所に、源泉かけ流しで入れる400円の銭湯があるというのはまさにおんせん県の象徴。あたみ湯は昭和32年に銭湯として開業。温泉を引いたのは開業後だそうですが、それでも65年を超えるおんせん県の象徴的な湯の歴史が終わるのは、おんせん県新参者の私にとってもとても残念に思えることです。

中はこれぞ銭湯といった造り。脱衣場は木の床に木のロッカーでとにかく昭和レトロ。昔ながら、男湯と女湯の両方を見渡せる番台におばあちゃんが座っています。

あたみ温泉浴室イメージ
【浴室のイメージ】

浴室も昭和の銭湯。壁に絵が描かれた湯船とその前にアイランドタイプの洗い場があり、共用のリンスインシャンプーとボディソープが、1つずつ置かれています。洗い場は水と湯が別のカランのみで、両側の壁にも洗い場、1カ所だけシャワーがありました。

湯船はあつ湯と少しぬるめ湯に分かれており、あつ湯が2/3くらいの広さ。あつ湯がぬる湯に流れていくのであつ湯の方が新鮮ですが、熱すぎて入れません。地元の方もほとんど入らず。ぬる湯は狭く、横には2人しか並べないのですが、代わる代わる皆さんここに入ります。湯質は源泉かけ流しで、加温、加水、循環、消毒一切なし。地下から掘削した大分市独特の大深度地熱温泉で、惜しみなく湯口から湯船に勢いよく、注がれています。いわゆるモール泉で、湯はわずかにトロリとしており、少しだけ黒緑っぽく濁っています。温泉臭としてはわずかな泥臭い香りで、石油ができる過程でできたモール泉らしいいい香り。別府などの公衆浴場と同じく風呂椅子と洗面器は一カ所に置かれていて、使うときに持っていき、使い終わったら仕舞うスタイルでした。

あたみ温泉

最後に常連さんみんなおばあちゃんに声をかけて帰っていきます。
ありがとう、長い間お世話になりました、おつかれさん、良いお年を・・・
長い歴史が終わろうとしている光景は、温泉以上に身も心も温まったようでした。大分ライフ、おんせん県の第1湯目にふさわしい温泉でした。
大分駅前は大規模な再開発がされており、新しいマンションが続々と建ち並んでいます。そんな中、マンションやホテルの谷間に残る映画のセットのようなあたみ温泉。移り変わる時代の中にそのレトロな、姿を留めていましたが、残念ながらこの建物もそのうち再開発という時代の波に飲み込まれていくのだろう。温かいながらも少し悲しい気持ちになって、昭和の世界をあとにしました。

【観光客向け温泉指標】

観光推奨度 3
体洗える度 3
施設快適度 3
泉質充実度 4
アプローチ 5

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