大山環状道路【鍵掛峠と桝水高原】
伯耆富士と呼ばれる鳥取県の「大山」。その大山には山麓を周遊する「大山環状道路」がある。大山環状道路のからは、大山雄姿や牧場、そして裾野一面に広がる原生林の素晴らしい風景を望むことができる。
桝水高原からは大山の伯耆富士らしい雄大な姿
大山西側に広がる「桝水高原」。ここには広大な大山牧場が広がっていて、牧歌的な大山の風景を楽しむことができる。
大山が「伯耆富士」と呼ばれるのが納得できる山容。なだらかな山容をした大山。山頂付近は森林限界を超え、その山麓はブナの原生林に覆われている。
鍵掛峠からの大山はアルペン的な容貌と山麓のブナの原生林が見事
さて、桝水高原から大山環状道路を車で10分ちょっと走るとたどり着けるのが「鍵掛峠」だ。ここは大山のベストビュースポットと言ってもよく、素晴らしい大山の風景が眺められる。
一面の原生林の山麓を広げ、その上にどっしりと鎮座する大山は真っ白な山。先ほどの「伯耆富士」とは全く違う山に見えるが、正真正銘の大山である。大山は独立峰だが東西に長細く、北と南は断崖絶壁になっている。要は大山は三角柱の形をしている。
伯耆富士に見えるのは三角形の姿を真正面に臨む西側の桝水高原から見た風景。南側の鍵掛峠から見ると、大山は三角柱の側面から見ることになり、全く違う形に見える。写真の左側、なだらかに山麓へ降りていく斜面が「伯耆富士」の顔をしている部分だ。
大山は標高1729m。中国地方のような低緯度にありながら、その姿はアルプスやカナディアンロッキーの山々さえも彷彿させる。大山は火山山地で崩れやすい山。日本海から一気にせり上がる山は冬の北風を直に受ける。その厳しく特殊な地形のため、大山は今も崩れ続けている。そんな大山の稜線は森林限界を超える世界。アルプスを思わせる険しい岩綾風景となっている。
広大な原生林の裾野と、そこから天に押しつけられた鋭い鋸刃のように見える岩綾。刃は雲をも切り裂き、宇宙へ続く天高くまでかかげられている。その刃を包むのは、広くなだらかな裾野。
一面の森には、人工物は皆無。原始の姿のままの森はすべてのものを抱擁する懐の深さを感じられる。鋭さと深さを感じられる、この素晴らしい風景は日本ではなかなか見られないスケールの大きさ。10月末~11月初旬には、原始の森は一面の紅葉を纏った美しい風景が広げる。
海のすぐ近くにそびえたつ独立峰。そんな大山は、びっくりするくらい、ケタ外れの美しい風景を見せてくれる山だった。