吉野川サイクリングコース【徳島〜脇町】
四国を代表する川である「吉野川」は、西日本でも最も標高のある石鎚山や剣山の急峻な山々から水をあつめ、四国の西半分の中心部を横切るように流れています。総延長は同じ四国の四万十川に及ばないものの、川幅は日本第2位を誇るまさに大河です。その吉野川の南岸にはサイクリングコースがあり、美しい吉野川の流れはもちろん、付近の鳴門金時畑や潜水橋などの美しい風景を走ることが出来ます。かなりの距離ですが、アップダウンは無く、車に気にせずゆっくりと走れるので初心者のロングライドにももってこいのコースです。
鳴門金時畑が広がる吉野川河川敷をサイクリング
吉野川と清流・鮎喰川が合流する付近、JR高徳線の鉄橋のすぐ西側にある四国三郎橋からスタートします。吉野川河口からスタートも可能ですが、土手が途切れていたり道がダートだったり、鮎喰川を渡るのに迂回したりするため快適なスタート地点が四国三郎橋となります。
吉野川南岸の土手沿いを美馬市脇町の「道の駅藍ランドうだつ」まで約50kmのコースです。車がほとんど入らない土手沿いの舗装道路が全行程の95%を占め、途中の立ち寄りスポットも多いのんびりと走れるコースです。
5月連休の吉野川の河川敷には作物の植付の季節。あざやかな緑と吉野川特有の白い砂地のコントラストが眩しく輝きます。白い畑では徳島の名産品、鳴門金時畑を栽培しています。
徳島市内では吉野川から分水して市内を網の目のように川を走らせています。土手沿いにはいくつかの水門を見ることができます。
一直線に続く道。吉野川がつくりだした広大な平野の中に広がる鳴門金時畑は、吉野川がもたらした恵みで、少し北海道を思わせるような風景です。
吉野川の青い流れ、新緑、そして白いなると金時畑が織りなすコントラストは見事。風を切って走ると、雄大な景色が次々と視界に流れ込んできてとても気持ちよく感じます。
吉野川の見どころ第十堰と高瀬潜水橋
河口から約14Kmの所には「第十堰」があります。江戸時代に造られた巨大な堰で、長さ1000m、幅30mに渡って石積みで吉野川をせき止めています。少しずつ工事が追加されていますが、250年経った今も吉野川の自然を損なうことなく、今も堰の機能を果たしながら豊かな生態系を育んでいる美しい風景です。
農業用水確保のために第十堰が堰き止めた吉野川。日本有数の川幅を堰き止めた眺めは壮観で、まるで小さな湖のよう。付近の何もない風景と相まって、第十堰が造られた江戸時代と同じ眺めではないかと思えるほどです。
第十堰の少し上流には「高瀬橋」があります。吉野川に架かる最長の沈下橋で、全長が500mを超える四国でも有数のスケールで、橋を渡ると吉野川と一体になるかのような絶景と、吉野川の美しい流れを間近に感じることができます。
徳島では潜水橋と呼ばれる高瀬橋は川と一体化して風景に溶け込んだとても美しい橋です。欄干がない水面ギリギリに造られた橋の上から眺める吉野川は、まるで湖のよつに波打つ川面が目の前に感じられます。川との距離がとても近く、川の香りや水の音をダイレクトに感じられるとても気持ち良い空間で、遠くには徳島県最高峰で、西日本第二の標高を誇る剣山の姿も望むことができます。
再び吉野川の上流目指して走り出します。剣山系と吉野川が織りなす風景に何度もペダルを漕ぐ足を止めて見入ってしまいます。
広い吉野川河川敷には驚くほど広大な畑が広がっています。大型トラクターが農作業をしており、その風景はまさに北海道のようです。
美しい吉野川の水が紡ぐ変わらない風景
流れる吉野川の水は本当に美しい。徳島の名産、藍に染まったかのような青い水の中には川底がはっきり見えます。吉野川の美しさを象徴する白い砂、白い石とのコントラストがとても見事で、上高地を流れる梓川をにわかに思わせる風景です。
土手沿いの道から日本文化遺産に登録されている「川島の浜の地蔵」がある昔の並みを通り抜けていきます。
吉野川の美しい水を分水している水門を越えます。かつての船着き場だったのような場所があり、澄んだ水の上に木船が係留されている風情ある眺めです。
再び土手の上に続く道をひたすらに西へ向かって自転車を走らせます。河川敷の緑がとても気持ちよく、飽きることがありません。
この付近の吉野川には南側にある剣山系の高い山脈から美しい川が何本も流れ込んでいます。土手を分断するホタル川樋門を通って引き続き吉野川沿いの堤防上の道を走ります。
堤防上の道でない場所もありますが、それでも車はほとんど走らす、心地よい風景の中を進むことができます。
しばらく走るとすぐに吉野川沿いの道になります。ずっと眺めながら走っていても、少し離れただけで寂しくなってしまうほど、その存在感は全てを包みこんでくれるほど大きなものです。
吉野川の水と河原が織りなす青と白のコントラスト。青空と新緑の色も交じりあい、いつまでも見ていたくなる感動的な色彩です。
四国一の清流穴吹川を越えてゴールのうだつの町並みへ
土手沿いの道を走り続けるも、JR川田駅付近で国道193号と合流し、土手沿いの道がなくなります。西日本第二位の標高を誇る剣山(1955m)が近づき、吉野川に山が張り出し、河川敷がない唯一の区間となっています。
約3km、JR線と並行して国道193号線の路肩を走行します。交通量は少なくは無いので注意して走りましょう。
山がせり出した区間を抜けるとやがて穴吹川が見えてきます。剣山を源流とし、ここで吉野川と合流する穴吹川。四国の深い山々の水を集めた流れは青く透き通り、心を惹き寄せられる美しさです。四国の一級河川としては最も美しい水質を誇る最高の川遊びのスポットでもあります。
穴吹川を渡ったところから土手を走ると、そのまま吉野川に合流して再び吉野川を土手沿いに遡上します。
吉野川河口から南岸の堤防沿いにはサイクリングコースはここまで。ここから先は川幅が狭まり、サイクリングできる土手沿いの道はなくなります。アップダウンのある国道を走るため、のんびりとサイクリングするならここが終着点になります。
サイクリング最後のハイライトにふさわしい「脇町潜水橋」。欄干がなく、水面に近い沈下橋を走ると、まるで今まで一緒に走った吉野川と一体になったかのような爽快感。橋の途中からの吉野川の眺めも今までと違う雄大な風景です。
この沈下橋を渡ると道の駅「藍ランドうだつ」があります。走破した休憩はもちろん、「うだつの町並み」の観光も楽しいスポットです。