黒部渓谷やまびこ遊歩道と宇奈月駅

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北アルプスの奥深くに源を発し、北アルプスの山々の水を集めながら深い谷を刻んで流れる黒部川。長く深く険しい人を寄せ付けない美しい黒部渓谷を、開放的なトロッコ電車で楽しめると人気の黒部渓谷鉄道。その起点となる北陸有数の温泉地である宇奈月温泉の宇奈月駅から、廃線跡を歩くことができるのが「やまびこ遊歩道」です。約1kmの短い散策路ですが、鉄橋で黒部渓谷を渡り、トンネルを進むなどバリエーションに富んだコース。終点には見学もできるダム施設もあるので是非散策したい宇奈月温泉の観光スポットなのです。約1時間で往復でき、足元も舗装されているので、子連れでも気軽に渓谷美と秘境感を味わうことができます。

宇奈月温泉の広いトロッコ電車基地

宇奈月温泉駅

宇奈月温泉には山奥の温泉とは思えないほど多くの線路が広がっています。

左側の駅のホームが富山地方鉄道・宇奈月温泉駅。

右側は黒部渓谷鉄道の操車場。普通鉄道の地鉄よりも大きな施設となっています。観光はもちろん、黒部渓谷にある多くの発電施設の運用や保守やに多くの職員や資材を運んでいるので、驚くほと大がかりな施設となっています。

宇奈月駅

黒部渓谷鉄道・宇奈月駅。黒部渓谷の奥深く、欅平まで走る黒部渓谷トロッコ電車の始発駅です。観光列車の駅とは思えないほど立派で大きな駅舎です。

見所いっぱいの楽しい宇奈月駅

黒部渓谷鉄道宇奈月駅

黒部渓谷鉄道の宇奈月駅は観光のメインステーションということもあってとても広くてきれいです。1階の奥には売店と60席のレストランまであります。これが何もない秘境に向かう駅とはにわかに信じられません。「地ビール生ビール」や「トロッコ肉まん」といった文字が誘惑してきます。

宇奈月駅歴史紹介コーナー

2階に上がると歴史紹介コーナーがあります。黒部渓谷トロッコ電車は黒部渓谷のダムと発電所の建設と運営のために造られました。昭和の高度成長期を支えるために挑んだ世紀の難工事の歴史は見ているだけでもロマンを感じます。

宇奈月駅待合室

2階には待合室もあります。自販機も充実しており、乗車するトロッコの時間待ちもゆっくりと寛げます。窓からは黒部川の流れと真っ赤な山彦橋を渡っていく トロッコ列車が眺められる絶景展望室でもあります。

宇奈月駅からの旧山彦橋

待合室の窓からは宇奈月駅を出発するトロッコ電車の軌道も眺められます。駅を出発し、秘境探検へと向かう観光トロッコの姿を見送ることもできます。

遠くに見える赤い橋は旧山彦橋。今の山彦橋ができる前はトロッコ電車が走っており、今は遊歩道としてあの橋を歩いて渡ることができます。

山彦橋とトロッコ電車

山彦橋を渡るトロッコ。深い渓谷にかかる真っ赤な鉄橋の上を走っていくトロッコ電車はとても絵になります。乗っている乗客もその谷の深さに驚いているでしょう。

乗車しなくても待合室には入れますので、この絶景を眺めさせて頂くこともできます。

旧山彦橋から楽しむ黒部渓谷の絶景

宇奈月駅

宇奈月駅前から階段を下って行きます。まるで工場か秘密基地のような宇奈月駅のプラットホームを眺めることができます。本来、黒部渓谷鉄道は観光だけでなく黒部渓谷にあるダムや発電所の建設や保守のための線路。資材を運ぶためのトロッコ車両も停車しているのが見えます。

やまびこ遊歩道

さらに階段を下り、トロッコの線路の下をくぐるように「やまびこ遊歩道」はスタートします。やまびこ遊歩道は、黒部峡谷鉄道宇奈月駅から旧山彦橋で黒部川を渡り、廃線跡のトンネル跡を抜けて宇奈月ダム展望台を結ぶ全長1.1kmの遊歩道。歩きやすい道ながらも廃線跡を行くアドベンチャー気分を満喫できると人気の散策路です。

やまびこ遊歩道旧山彦橋

上流に向かって遊歩道を進むと、かつての鉄道橋を遊歩道にした旧山彦橋を渡ります。かつてはトロッコが走った細い橋。今は黒部川を見下ろす迫力の遊歩道となっています。

旧山彦橋は大正15年に建造され、昭和63年まで黒部峡谷鉄道の橋梁として使用されていました。ダム建設のために架け替えとなり、その役目を今の山彦橋に譲りました。

黒部渓谷鉄道山彦橋

旧山彦橋からは、はるか眼下を流れる美しい黒部川を眺められる迫力のポイント。そして何より、緑の渓谷をバックに真っ赤な山彦橋を真横から眺められる絶景スポット。トロッコ電車が橋を渡る写真も撮ることができます。散策にスタートする前に、次の電車の時間を駅の時刻表で確認しておきましょう。

トロッコ電車が走ると、ガタンゴトンとその音が黒部渓谷の中に響きます。その情景が山彦橋の名前になったそうです。

秘境探検のような廃線跡のトンネル歩き

やまびこ遊歩道トンネル

旧山彦橋を渡ると、そこに岩肌にぽっかりとトンネルが入口を開けています。新山彦橋ができるまで線路が走っていたトンネルで、廃線跡を遊歩道として歩くことができます。

黒部渓谷鉄道廃線跡トンネル

一直線に伸びる真っ暗な長いトンネル。手掘り感も残っているトンネルはかつてはトロッコ電車が走っていた線路跡。この先に宇奈月ダムが建設されるため、トロッコ電車の線路は約1.7kmの区間が付け替えになりました。廃線となった旧路線跡を遊歩道として廃線歩きができるのです。黒部渓谷の秘境感を手軽にたっぷりと感じられるスポットです。

やまびこ遊歩道トンネル

トンネルの途中、壁に明かり取りの窓側開けられています。その先には深い渓谷とそこに架かる真っ赤な山彦橋を間近から眺めることができます。真っ暗なトンネルの中から眺める眩しい渓谷の風景は秘境感に溢れています。

黒部渓谷鉄道冬期用トンネル

隧道の出口部分には冬期用のトンネルもあります。雪の影響を避けられる冬季専用のトンネルが掘られるほど雪深い場所。こんな険しい秘境にダムと発電所を造ったドラマの一端に触れたような気がします。

やまびこ遊歩道

トンネルを出ると、かつてはトロッコが走っていた軌道跡に遊歩道が整備されています。この先、宇奈月ダム展望台を経て宇奈月ダムにある「大夢来館」まで散策路は続いています。

遊歩道は片道20~25分ほど。大夢来館は無料で宇奈月ダムや黒部川について充実した展示と、一部ダムの管理室を眺められる楽しい見学施設なので、是非一緒に楽しみましょう。

やまびこ遊歩道

場所: 富山県黒部市宇奈月温泉
電話: 0765-62-1515
時間: 散策自由
期間: 4月~11月(冬季閉鎖)
駐車場: 350台(1日1000円)
アクセス: 北陸自動車道・黒部ICより約20分
    (駅付近に有料駐車場あり)
歩行距離: 約1km

【投稿時最終訪問 2015年8月】

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