栂池パノラマウェイ【北アルプスの雲上の世界へ一直線】
長野県白馬「栂池パノラマウェイ」とは、ゴンドラリフト「イヴ」と栂池ロープウェイを合わせた全長5320mの空中の散歩道。人気の高原リゾートの「栂池高原」から、白馬連峰に抱かれた美しい高層湿原の「栂池自然園」までを結ぶこのルート。標高差1000mを一気に駆け上り気軽に北アルプスの大自然の中に連れて行ってくれる。それだけに乗車時間は30分、乗り換えなどを合わせると1時間近くは栂池自然園までかかる。
雲上の世界へ向けてゴンドラで長い空の旅
朝いちばんにゴンドラリフト乗り場に到着。まだ空いている駐車場に車を停めて、登山道具の用意をする。駐車場から見上げる、朝日に照らされた白馬岳付近。昨日は雨だったのでまだ雲が多いが、頂上付近は雲の中から姿を現し始めている。おそらく今、雲の上に頭を出しているのは白馬三山のひとつ、杓子岳(2812m)だ。今日登るのは、この白馬三山の北に位置する「乗鞍岳」(2436m)時間があれば白馬大池か栂池自然園の散策を楽しむつもりだ。
駐車場に車を停めたら、さっそくパノラマウェイの出発点「栂池高原駅」へ。チケットを購入し、ここからゴンドラリフト「イヴ」に乗車する。下車までは長旅になるので、トイレはここで済ませておきたい。乗り場のすぐ近くには「栂の湯」という日帰り温泉施設も隣接するので、登山をするなら下山後に汗を流すのも良い。
ゴンドラリフト「イヴ」に乗車。冬場は栂池高原スキー場の最高部まで運んでくれる、長距離滑走を楽しむスキーヤー御用達のリフト。夏場はパノラマウェイの一部として、登山者やハイカー、観光客を運んでくれる。6人乗りのゴンドラで、4120mの空中散歩開始。20分もかかる、長時間の乗車だ。前方を見上げると、はるか山の上、雲の上までリフトの索道は続いている。
横を見ると、広いゲレンデの奥に白馬三山のひとつ杓子岳や、唐松岳(2692m)の姿が見渡せる。ゆっくりと流れるゲレンデの風景の奥に、どっしりとして少しも流れない重厚な山々の風景。
ややすると、中間駅である「白樺駅」を通過する。ここでいったん扉は開くが、下車せずそのまま乗り過ごす。この中間駅までは車が入れるので、途中からゴンドラリフトに乗る人もいる。冬場はレストハウスもある重要なスキーの拠点ではあるが、夏場はただ、素通りするだけ。
後ろを振り返る。写真中央に見えにくいが、中間駅がある(鉄柱の先端付近)その後ろの森を切り裂いてロープウェイは走っている。ゲレンデの一番下にあるのが栂池高原で、多くのホテルやペンションが密集している。後方にそびえる山々は戸隠や黒姫、飯綱など。これらも有数のスキーリゾートだ。
斜面を登りきってピークに到着すると、急な登りは終る。山肌を横切り、斜面を渡るようにして、終着駅である「栂の森」駅が近づいてきた。かなり標高が上がったことを実感できる。先ほどまではるか頭上にあった雲が、手が届きそうなくらい近くまで迫ってきている。苦しいくらいの圧迫感がある雲だが、その切れ間に目指す乗鞍岳の姿が見えている。頂上に登れば、それは雲の上の世界に立てるだろう。登頂への期待が一気に膨らむ。
途中でゴンドラからロープウェイへ乗り換え
ゴンドラリフトの頂上駅である「栂の森駅」に到着。ここから栂池ロープウェイの「栂大門駅」までは300m程の道を歩く必要がある。とはいえ、道はよく整備されていて、小川のせせらぎが響く深い森の移動はとても気持ち良い。ちょっとした森林浴気分を味わっていると、あっという間にロープウェイに到着。もう少し森林浴を楽しみたいくらいだった。
・・・と、余裕をかましていると、ロープウェイが出発してしまった。随時出発できるゴンドラリフトと違い、ロープウェイは20分間隔の運行。ここでの移動はやはり迅速にする必要がある。
次の便の改札まで、ロープウェイ駅で並んで待つ。改札が開始されたら、一番でロープウェイの中に。定員71名のとても大きなロープウェイだ。ここからは1200mで約7分の空中散歩となる。
雲の中へと索道は続いている。まさに、雲上へと続く気持ちよいロープウェイだ。雪を頂いたアルプスの山が間近に迫る森は、すでに別世界。
「栂の森」駅の名前の由来となった「ツガの木」で埋め尽くされた森が眼下に広がる。見事なまでの針葉樹の森は、標高が高く涼しい場所にいることを実感させてくれる。
ロープウェイのガイドの人に教えてもらったオオシラビソの球果(松ぼっくり)。訪れた7月のオオシラビソが、こんな珍しい色をした球果をつけているのをロープウェイ沿いの個体に確認できる。とても不思議な色だ。
さて、栂池パノラマウェイの最終駅の「自然園駅」に到着。標高は約1850m。売店とトイレを備えている。売店の規模はやはり栂池高原の乗り場の方が大きいので、登山に必要な水や食料、お土産は下で買う方が良さそうだ。
ここから徒歩5分ちょっとで栂池自然園に到着する。栂池自然園のビジターセンターが、自然園の散策、そして白馬乗鞍岳や白馬大池への登山の起点となる。
ちなみに地図を見ると、栂池高原から栂池自然園まで車道が伸びている。しかし、この道は環境保護のため、一般車の車の乗り入れは禁止されている。その為、この場所を訪れるのなら栂池パノラマウェイを使う必要がある。ロープウェイに乗り遅れると、この道を歩いて下山するか、栂池自然園に併設されるされる「村営栂池山荘」か「栂池ヒュッテ」に宿泊する破目になる。くれぐれも散策の時間配分には気をつけたい。
ゴンドラリフトイヴまで徒歩で行ける栂池高原のホテル
栂池パノラマウェイ
住所: 長野県北安曇郡小谷村
電話: 0261-83-2255
交通: 中央自動車道・大町ICより国道148号線経由約70分
北陸自動車道・糸魚川ICより国道148号線経由約55分
JR大糸線 白馬駅もしくは南小谷駅から路線バス25分
料金: 往復(栂池自然園入場料込)大人3700円、子供2150円
片道 大人2000円・子供1100円
期間: 6月1日~10月31日(年度により相違、ゴンドラリフト「イヴ」は冬季スキー営業あり)
時間: ロープウェイの時間、「イヴ」は始発・終発に接続して運転・随時出発
通常期 上り8:00~下り16:40・20分間隔
繁忙期 上り6:30~下り17:20・増発あり(日にちにより一部時間短縮あり)
駐車場:1日300円・200台収容
【投稿時最終訪問 2008年7月】