白樺湖の散策ベストスポット
信州にはいくつもの湖があり、その付近はリゾート地として開けている所が多い。そんな高原リゾートの中でも群を抜いて有名なのが「白樺湖」標高1400mの高原に位置し、付近には温泉や旅館、スキー場や美術館、遊園地まである。車山高原にも近く、湖だけでなく山やトレッキング、ビーナスラインのドライブまで楽しめる。夏場は避暑に絶好で、旅館も多くあるので快適な高原での滞在が楽しめる場所だ。
霧ヶ峰を望む白樺湖南側の散策
白樺湖南側、カフェレストラン「モンテローザ白樺湖」の前に駐車スペースがある。ここに車を停めて湖畔を散策できる。湖畔にはベンチがあり、美しい湖の風景を楽しみながらくつろげるスポット。湖を渡るそよ風がここちよく、湖の名となった白樺の木立を揺らしていく。遠くにそびえる草原は「霧ケ峰」日本百名山のひとつで、標高1925mの「車山」を主峰とした山脈。この白樺湖の眺めを見事な高原風景にしてくれている。車山は一番左奥のピーク。この白樺湖から「ビーナスライン」が霧ケ峰を通り、美ヶ原まで高原の中を駆けて行く。車山まではリフトで登れるので、白樺湖を起点にしてハイキングや登山も楽しむ事ができる。
白樺湖の周辺にはホテルや遊園地などが立ち並ぶ。人工物が多いが、それでも自然にあふれた風景が方々に点在する。空の色を映した湖面の色は青く、高原の風に波立ち、心地よく踊っている。
駐車場から東側へ木道の湖畔の散策道が続いている。危険な場所はなく、幼児連れでも安心して歩ける。湖畔の白樺林の中を少し、高原の散策を楽しむ事にする。
白樺湖の湖畔には、苔むした原始の森が佇んでいる。実は白樺湖は人造湖。以前は高層湿原であったそうだ。所々、湿原を思わせる風景が散歩道の周囲にも見つける事ができる。
頭上には白樺湖の名となった白樺の木々が葉を広げる。初秋の青空に映える鮮やかな緑。そして真っ白な幹。美しい高原の森に囲まれた散策は心地よい森林浴も楽しめる。
少し歩くと、山からの小川が白樺湖に流れ出る場所に出る。ここからの風景は真正面に車山が眺められ、高原の雰囲気が色濃く楽しめる。
小川が気持ち良い音を立てながら白樺湖に流れ込んでいく。山から流れ出した水は清冽で透明。白樺湖に湛えられた水とは違う事が一目でわかる。白樺湖が作られた目的は農業用水の確保。山から流れ出した雪融け水や湧水は冷たすぎ、農業で使うには適していない。堰き止めた水を太陽光で温めてから麓に流すのが白樺湖の役割だ。長い時間湛えられて温めた事もあり、山から流れ出す冷たくて美しい水とは全く別の水質になっている。ちなみに白樺湖は昭和21年の完成。その後、急激なリゾート開発で水質が相当に悪化したらしい。現在は対策により水質は浄化されており、ボートやカヌーを楽しむ人も多い。
この霧ケ峰をバックにした白樺湖。美しい高原の大自然に思えるこの風景は、実は人間が作り出したもの。霧ケ峰では平安時代から人々が家畜のエサや田畑の肥料に草を刈り取っていた。草原はいわば一種の畑であり、一面に広がるその風景は人間の長い営みが作り出したものだ。そして、この白樺湖も農業用の水を確保するために造られた湖。人間が農業で生きていくために、大規模に自然の姿を変えたのがこの風景なのだ。にわかに信じがたいが、それでもこの場所は緑にあふれ、豊かな生き物に満ち溢れている。
車山に続く草原の山。眩しい緑の絨毯は目に鮮やかで、とても気持ち良い。この草原は人の手により火入れされ、その姿が保たれている。森林と草原の間には防火帯が設置されている。
湖畔の気持ち良い散策はこのあたりで終了。あまり進みすぎると、4歳の娘にこの先対岸にある白樺湖ファミリーランドの存在を知られてしまう。子どもにとっては自然よりも遊園地。もちろん高原の遊園地を楽しみのは全然アリなのだが、まだ楽しめる乗り物が少い幼児連れなら信州の高原をもっと楽しもうと思う。
訪れたのはまだ9月上旬。秋風が吹くとはいえ、日中は半袖でも過ごしやすい。そんな中、早々とモミジが一部色づいている。紅葉の時期に訪れると、この付近は美しい彩りになっている事だろう。先ほど娘の目に触れないように素通りした白樺湖ファミリーランドだが、付近の木が早々と黄色に色づいていた。アカシアの木らしいのだが、9月上旬に黄葉し、まるで金色の森になっていた。ファミリーランドや池の平ホテル付近、白樺湖北側の道、そして女神湖に向かう県道40号線にこのアカシアの木が並木になっていて、とても綺麗だった。さて、来た道を戻り車に乗ったら、今度は白樺湖の北側へ向かいドライブ。
蓼科山を望む白樺湖北側の散策
車を走らせて、白樺湖の北側にやってきた。ここには大型旅館が軒をつらね、土産屋も多い。白樺湖ファミリーランドやオルゴール美術館、蓼科テディベア美術館などの観光施設が立ち並ぶ。まさに白樺湖のメインストリートだ。白樺湖観光センターの北側に大きな駐車場がある。ここに車を停めて、先ほどとは違う白樺湖の風景を望む。先ほどは霧ケ峰の車山をバックにしていたが、今度は蓼科山をバックにする。蓼科山も日本百名山のひとつで、標高2530m。その美しい円錐形の山容から「諏訪富士」とも称されている。先ほどの風景とはがらりと白樺湖は表情を変え、豊かな森林と荒々しい山を背にした原始の様相をむき出しにしている。池の中に小さな島が浮かび、美しい地形美も味わえる。池の島の周りを進んでいるスワンボートがとても気持ちよさそうだ。写真左に見える白い建物が池の平ホテルで、その後ろの森が一面に黄葉しているのがここからでもわかる。先ほど散策した場所は、写真右側の建物が並んでいる付近。
蓼科山は火山でできた溶岩の地質であることと、標高が高いことがあり、森林が形成されていない箇所が多い。これらは森林限界と呼ばれていて、高木が自生できない場所になっている。人間の手で高木を排除してきた霧ケ峰とは違い、蓼科山は木々が生えることができない荒々しく険しい山になっている。荒々しくも美しい高山。どこまでも広がる深い森。そして白樺の木立を浮かべた静かな湖。見る角度によって全く違う風景を楽しませてくれる白樺湖。ゆっくり湖を一周して、その風景を楽しむだけでも高原リゾートを満喫させてくれる、楽しい場所だった。
白樺湖・霧ヶ峰の観光と宿泊情報
冬はスキーで賑わう霧ヶ峰・白樺湖ですが、夏場の滞在客は少なく、リーズナブルな宿が多いため、宿泊にはもってこいのエリアです。ペンションやオーベルジュが多い車山エリア、温泉ホテルが中心の白樺湖と、宿のタイプも豊富にあります。夏でも涼しい高原で、リゾート気分満点ののんびりとした滞在が楽しむことができます。