栂池自然園 【栂池パノラマウェイで行く雲上の湿原】

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長野県・白馬を代表する高原リゾートであり、スキー場である栂池高原。そのスキーリフトやゴンドラは夏でも運営しており、「栂池パノラマウェイ」として一気に標高1829mの自然園駅まで登ることができる。栂池自然園は標高1900mに広がる広大な高層湿原。夏でも雪が残る山々の懐に広がり、美しい高山植物が咲き乱れる大自然を一周5.5kmの遊歩道で堪能できる。

ロープウェイで訪れる雲の上の大湿原

栂池自然園

栂池自然園の入口には「栂池ヒュッテ」や「栂池山荘」が立ち並び、宿泊や食事ができる。栂池自然園の自然を紹介したビジターセンターから自然園に入場する。
栂池自然園は、白馬連山の麓、標高約1900mから2000mに広がる高層湿原。とても広い湿原には、総延長5.5kmの遊歩道が整備されている。ほぼ全区間木道で整備されており、ゆっくり歩けば1周4時間ほどで楽しめる散策路だ。
今回は白馬乗鞍岳の登山の後に訪問したので全部歩けばとてもロープウェイの時間に間に合わない。今回は自然園の前半にある「ミズバショウ湿原」と「ワタスゲ湿原」を周遊するルートを選択する。これなら早足で行けば往復1時間ちょっとでここに戻ってこれる。

栂池自然園ミズバショウ湿原

入口からすぐのところには「ミズバショウ湿原」が広がっている。一面の水芭蕉が咲き乱れる場所だが、この栂池自然園の水芭蕉の花期は6月。7月になると、水芭蕉は真っ白な花を落とし、謎の植物になってしまっている。
7月の今は真っ白なワタスゲが湿原の緑を美しく飾っている。

栂池自然園と白馬乗鞍岳

湿原の向こうには、雪を頂いた白馬乗鞍岳が鎮座する。
先ほどまで、登頂を目指して登っていた山だ。

高山植物が咲き続ける神秘的な湿原

栂池自然園

美しい湿原の奥に佇む赤屋根の山荘。よく自然の中に建物があると風景が台無しになるというが、ここは例外。自然と人工物の見事な融和。とても絵になる。この建物は白馬岳周辺の登山基地として70年以上の歴史を持つ「旧栂池ヒュッテ」だ。今はその登山の歴史を紹介する施設として、無料開放されている。
なお、このミズバショウ湿原を周遊する木道のみバリアフリー対応になっている。湿原内の遊歩道はすべて木道になっおり、自然保護のため木道以外への立ち入りは禁止。もちろん、草花の採取は厳禁である。落ちている草木や岩の採取や、ペットの持ち込みも厳しく禁止されている。
(国立公園内での違反には「自然公園法」の罰則が適応される恐れもあります)

栂池自然園から望む子蓮華岳

湿原を進むと、7月にもなるのに、いっぱいの雪を頂いたアルプスの山肌が迫ってくる。うっすらと雲のヴェールに包まれた山は「小蓮華岳」(2769m)
この先に日本百名山で、白馬連峰の盟主「白馬岳」(2932m)を望めるが、今日はあいにくの雲で見えない。

キヌガサソウ

キヌガサソウ

サンカヨウ

サンカヨウ

湿原の中を歩くと、美しい花がいっぱいに咲いている。その美しさには、急ぐ歩みもついつい立ち止まってしまう。特にサンカヨウは雨が降ると花びらが透明になる珍しい高山植物だ。

真夏にも雪が間近に残る涼しい雲上の世界

白馬乗鞍岳

少し雲が退いた。頭上にそびえる白馬乗鞍岳(標高 2469m)とその雪田がとても気持ちいい。先ほどまでロープウェイからあの山に登っていたのだ。
標高が高くなればなるほど、真夏にも雪を残すほどの涼しさを帯びていく。しかし夏の日差しは確実に、山肌に残る白い雪を融かし、今も豊かな水の恵みを一帯の緑にもたらす。

楠川の滝

高い山からは夏の今も雪融け水があふれ出し、名もなき滝となって山肌を流れおちている。流れる水は、谷間の雪渓を削り、自然の雪のトンネルを作っている。自然のスケールと美しさを感じる、雄大な風景だ。

栂池自然園風穴

歩いていると突然、木道の横にある岩肌から、真っ白なモヤが噴き出している所にさしかかる。それと同時に、とても涼しい冷気が漂ってくる。ここは「風穴」(標高1870m)
夏でも身を刺すような冷たい風が岩の隙間から噴き出してくる不思議な場所。

栂池自然園風穴

冷気が吹き出している穴を覗いてみる。それは自然の冷凍庫。中には真夏でもツララがぶら下がり、一面凍りついている。何とも気持ちいい場所。急ぐ道だが、ついつい火照った体がこの冷気を求めてしまう。

栂池自然園ミズバショウ

北アルプスの最北限に位置するこの湿原。雪の量もかなり多く、遅くまで水芭蕉が花をつけている。湿原の中にもまだ多くの水芭蕉が花をかろうじて保っていた。冷気が一帯に漂う風穴付近はさらに季節が遅い。付近の水芭蕉は明らかに他の場所の水芭蕉と違い、今が旬のように美しく咲き誇っていた。

栂池自然園の池塘

空を渡る雲をその水面に鏡のように映す池塘。7月中旬の平日のロープウェイ終了間際の湿原はとても静か。聞こえるのは、風が揺らす草花の音と、遠くで水が流れる音。静寂な空間はまるで時間が止まったかのようだ。

栂池自然園ワタスゲ湿原

「ワタスゲ湿原」に出た。このワタスゲ湿原を越えると、道は下り、「楠川」という小川に出る。夏でも雪を頂く真っ白な白馬連峰から流れてくる雪解けを集めた流れはとても冷たく美しい。
この川を渡ると、栂池自然園のトレッキングは後半の核心部へと登っていく。しかし残念ながら今日はもうロープウェイ最終便まで時間はない。川の水に触れたら、大急ぎでロープウェイ駅へと戻りはじめる。ここから駅までは約40分。早足で歩けば間に合うだろう。
この川を渡ったところに湿原トレッキング中の唯一のトイレがある。ここから先はトイレがないので、この先へトレッキングを続ける場合はこれが最終のトイレとなるので注意が必要。

◆注意◆
1..登山・ハイキングの準備が必要になります (コースはかなり長いです)
2..食糧、水は準備して入園しててください (コース上に販売施設は皆無)
3.防寒具や雨具も必ず用意して下さい (標高2000mの高山の天候変化は激しいです)
4.動植物の採取、コース外の立ち入り、ペットの持ち込みは固く禁止されています



栂池パノラマウェイまで徒歩で行ける栂池高原のホテル



栂池自然園

住所: 長野県北安曇郡小谷村千国クゴ池128-33
電話: 0261-83-3113
期間: 5月20日~11月3日(2008年度)
休み: 期間中無休(春と秋に点検期間休)
営業時間: 栂池パノラマウェイは8:00~16:40(時期により変更あり)
料金: 大人300円、子供250円
   栂池パノラマウェイ往復(栂池自然園入場料込)大人3300円、子供1750円
交通: JR大糸線白馬駅から松電バス栂池高原行きで25分、終点下車
   中央自動車道・大町ICより国道148号線経由約70分
   北陸自動車道・糸魚川ICより国道148号線経由約55分
   
その後、栂池パノラマウェイに乗り換えて40分、自然園駅から徒歩10分

【投稿時最終訪問 2008年7月】

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