富山地方鉄道(地鉄)・立山線 【立山黒部アルペンルート】

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立山黒部アルペンルートは北アルプスの3000mを超える「立山」を貫いて、北陸・富山と信州・長野を結ぶ長大な山岳観光ルート。
途中には「室堂」や「黒部ダム」といった見どころを擁する、日本一の山岳観光ルートといえる。そして、このアルペンルートは山岳観光だけでなく、北アルプス登山の重要な足と基地にもなっている。
日本百名山として人気の高い立山(3015m)や剣岳(2999m)の懐へと一気に潜り込めるこの山岳ルートは登山者にもとても重宝される。
そんな立山黒部アルペンルートの富山側の起点となるのが富山地方鉄道の「立山駅」。「地鉄」の愛称で親しまれる路線で立山に向かう電車旅はローカル線や山岳鉄道といった様々な電車旅の要素を楽しませてくれる。

旅情あふれる富山地方鉄道の電車旅

電鉄富山駅

JR富山駅に隣接する富山地方鉄道の「電鉄富山駅」。ここから立山黒部アルペンルートの西側の起点である「立山駅」へ電車で向かう。
約1時間の地方鉄道の旅は思いのほか楽しい。ここはアルペンルートの他に宇奈月温泉・黒部渓谷へ向かう電車も出発する、まさに富山の観光名所の起点となっている。

富山地方鉄道

しばらくは富山の町並みの中を走る。米所らしく、広がる田園風景と、豪雪に備えた家屋の造りが遠く北陸の地に来たのだと実感させられる。昭和5年に設立された地鉄の歴史は古く、停車する駅のプラットホームには流れゆく歴史が深く刻まれていた。

富山地方鉄道

少しうとうとしていると、気づけば平地の広がりは刻まれた山谷へと変わり、民家も少なくなっていた。このあたりからがこの地鉄・立山線の素晴らしい車窓が楽しめる。

富山地方鉄道

流れる車窓は旅情シアター。美しい自然に囲まれた、どこか懐かしい山荘風景。旅に出た気分が、ゴトンゴトンという心地よいレールが刻む音をやさしいビートにして盛り上がっていく。

富山地方鉄道で渡る常願寺川

この路線の見どころのひとつであろう。巨大な橋で横切る常願寺川。圧倒的な高度差で切り刻まれた渓谷の上空をしばし空中散歩。
常願寺川は立山や薬師岳など、3000m級の北アルプスの山々から集めた水を流して今も谷を削り続ける。海辺の富山から1時間足らずでこんなに川は山深いところを流れている。立山連峰から一直線に日本海まで、一気に3000m近い標高差を下る、とても急な川だ。この川の支流に、日本一の落差をほこる滝があることにもうなづける。先日までの雨の影響が大きく、清流はまだ、濁流の表情をのこしたままだった。

富山地方鉄道ほんぐう駅

終着駅ひとつ前のほんぐう駅に到着。この先に待つのはアルペンルート起点の立山駅のみ。これが最後の地元の生活に使われる駅だ。
ここからは、深い山の中を一気に標高をあげて登って行く、この路線のハイライトになる。魅惑の山岳路線を堪能するために電車の最前列を陣取る。ちなみにこの電車の最前列・最後尾には座席はなく、登山ザックなどがおけそうなスペースになっている。
電車は緑に覆われた急勾配をどんどん登って行く。迫りくる山岳鉄道さながらの風景は、普通の電車ではまず見られない、迫力の車窓だ。

さながら山岳鉄道!深い自然の中を電車は走る

富山地方鉄道からの車窓

周りの風景がどんどん手つかずの様相を帯びてくる。時々山から流れ出す美しい沢を横切る。大自然、北アルプスの懐に少しずつもぐりこんでいく様子が手に取るようにわかる。

富山地方鉄道立山駅へ

この先は廃線かと見間違えるくらい、線路を覆う緑は深くなっていく。何度も何度もレールはカーブを描く。レールに描かれた弧を列車がなぞるたび、車窓に描かれる大自然は深く、そして雄大になっていく。

富山地方鉄道

線路を包むように覆いかぶさっていた森の片方が、ヴェールを取り外したように開かれた。その先には、アルプスの清水を集めて河原広げた常願寺川の美しい風景。車窓を流れる深い森の向こうには、美しい水を流す雄大な川の風景がずっしりと佇む。こんな鉄道ロケーションはなかなか無い。まるで海外に来た気分にすらなる。

富山地方鉄道

夏盛りて更に深まる緑。走るレールに覆いかぶさるように、迫ってくる。一瞬でも気を抜けば、すぐに自然に飲み込まれて廃線となりそうな線路に自然の厳しさと力強さを感じる。時々電車は、草木にボディや窓ガラスを擦られながら、乗客を緑の大地奥深くへと運んで行く。

富山地方鉄道

広かった常願寺川の河原も心なし狭まってきた。そして目の前には、川が二手に分かれている。左はこれから向かう立山・室堂に源を発っし、日本一の落差を誇る称名滝を擁する称名川。右は常願寺川の本流だ。

富山地方鉄道

突然目の前が開け、今まで電車の左側を流れていた常願寺川を横切る長い鉄橋に出る。そして、目の前には、小さいながら街が開けているのが見える。立山黒部アルペンルート起点、「立山」にもうすぐ到着だ。

富山地方鉄道で渡る常願寺川

鉄道と一緒に並走する道路も立派な橋で常願寺川を横切る。その壮大な風景は、これから望む一大山岳リゾーがどれだけのスケールかを彷彿させる。

立山黒部アルペンルートの起点・立山駅に到着

富山地方鉄道立山駅

鉄橋を渡るとすぐに大きな駅舎が見えてきた。終点の「立山駅」に到着だ。さすがに日本を代表する山岳観光ルートの起点らしく、今までの駅とは比べものにならないほど立派だ。

富山地方鉄道立山駅

「立山駅」に到着。改札を抜け、階段を上がると、そこはすぐにアルペンルートの最初の乗り物である「立山ケーブル」の乗り場になっている。立山駅周辺に温泉つきのホテルなどがあり、宿泊できるようになっている。土産屋も充実していて、ついつい覗きたくなってしまう。
しかし、繁忙期はケーブル乗車にもとても混み合う。まずはチケットの購入をしよう。地鉄に乗る際に往復券を買っていても、ここでは整理券の発券が必要となるので、同様に急ぎたい。

立山黒部アルペンルートで室堂に向かう

富山駅前の便利で快適なホテル

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