摩耶山天上寺【空の上に浮かぶ絶景寺院】
「摩耶山天上寺」は646年に孝徳天皇の勅願により、インドの高僧によって開設された寺院。六甲山系の摩耶山(702m)の頂上付近に建つ、まさに天空の寺です。その後弘法大師が唐の国に留学した際に持ち帰った、釈迦の聖母である摩耶夫人像を天上寺に奉安したことから、寺があるこの山が摩耶山と呼ばれるようになりました。日本で唯一、摩耶夫人を祀る堂が建立されており、慈悲深い聖母のご利益があることから多くの武将・貴族の信仰を集めてきました。
摩耶山の美しい自然に覆われた参道で登る天上寺
摩耶山天上寺は高く深い山の中にありますが、門前まで道が通じており、有料駐車場も目の前にありアクセス抜群。さらには百万ドルの夜景で有名な「掬星台」まで摩耶ロープウェイで登り、徒歩15分でたどり着くことが出来ます。杉の大木が鎮座する寺の入口はとても厳かです。
大杉の奥には山門である「西山門」がそびえます。ここから山の上を目指して階段の参道を登ります。
参道の階段途中にある天竺堂。インドから贈られた総大理石の摩耶夫人像が祀られています。扉は絞められていますが、ガラス越しにその姿を拝むことが出来ます。
漱水舎と呼ばれる手水舎。ここで清めてさらに上に登ります。
参道の途中にある「軍艦摩耶之碑」。昭和7年に就役した大日本帝国海軍の戦艦「摩耶」の碑です。摩耶山の山麓にある川崎重工の神戸造船所で建造され、昭和19年にレイテ沖海戦で撃沈されました。製造元の川崎重工がその艦の歴史を刻んだ碑文を奉納しました。
緑と花に包まれる心地よい参道。訪れた夏はセミやヒグラシの鳴き声がとても心地よく響いていました。春には鶯、秋にはモミジと四季折々の自然を感じながら、一歩一歩境内に向けて進みます。
参道の階段を登りきりました。左が境内、右がトイレになっています。トイレは駐車場には無かったのでここで済ませてから参拝しましょう。
青空と白砂が眩しいまさに天上界のお寺
参道突き当りを左に向くと、すぐの場所が境内入口です。
境内に入って真正面に鎮座するのが「摩耶夫人堂」(写真右側)。全国で唯一つの摩耶夫人を祀ったお堂です。麻耶夫人はお釈迦さまの生母で仏教版の聖母マリア。女性の病気はもちろん、安産や子授かりに強力なご利益があります。かつては女人高野と呼ばれて多くの女性から信仰され、日本ではじめて安産腹帯をお授けした寺といわれています。
摩耶夫人堂の右には金輪堂で、ご本尊は、全国的にも珍しい一字金輪さまが祀られています。
立派な鐘楼には「華曼荼羅の鐘」が吊り下げられています。
本堂の前へと向かう参道は、天上寺の名にふさわしいロケーション。白い雲が浮かぶ青い空に包まれた境内は神々の住まう世界に導かれたかのようです。
本堂の前に広がる「摩耶天空之庭」と名付けられた枯山水庭園。真っ白な白砂と雲上の青空とのコントラストはとても鮮やかで、何かが覚醒しそうな気にすらなります。
「摩耶天空之庭」の奥に鎮座する石造りのオブジェ。この中から望む風景は、空から見下ろす外界そのものです。
境内の奥に祀られている法道仙人像と一願地蔵堂。法道仙人は孝徳天皇の勅願でインドから渡来した高僧で、摩耶山天上寺の開祖です。また、一願地蔵はその名のとおり、願い事をひとつ叶えて頂けます。
おめでた蛙さま。撫でると家内安全、子孫繁栄にご利益があります。
天上寺から一望する神戸と淡路島の下界の眺め
天空の大舞台。その名の通り、空に突き出すように作られたテラスが摩耶天空之庭と一続きになっています。
天空の大舞台からは、ここ摩耶山から続く六甲山系が海に沈み、明石海峡を渡って淡路島の山々となって再び立ち上がる山並みを一望することができます。
視線を足元に移すと、先ほど登り始めた天上寺の山門が見えます。
夏でも涼しい空の上の本堂は神聖な空間
青空の中に鎮座する巨大な金堂。とても神々しい風景です。金堂にはご本尊の十一面観音をはじめとする数多の仏が祀られており、その後光が青空となって広がっているかのようです。
金堂には中に入り、お参りすることができます。
金堂の回廊。庇に覆われた空の上の心地よい木の空間は暑い夏でもとても涼しく感じます。
■六甲山上のホテル
摩耶山天上寺
場所: 神戸市灘区摩耶山町2-12
電話: 078-861-2684
営業時間: 9:00~17:00
休業日: 無休
料金: 無料
交通: 掬星台より徒歩約10分
六甲摩耶スカイシャトルバス・摩耶山天上寺前下車すぐ
駐車場: 80台・1回500円
【投稿時最終訪問 2023年8月】