竹富島【老舗高那旅館に宿泊して感じる古き沖縄の原風景】
沖縄・八重山諸島の中心である石垣島から高速船で10分。寄り添うように位置する離島が「竹富島」だ。石垣島と比べ、観光施設はほとんどないにも関わらず、多くの観光客が訪れる。白い砂の道と石垣が連なり、赤瓦の民家が立ち並ぶ。この島には沖縄の古い町並みが色濃く残されており、八重山観光のメッカとなっている。沖縄の原風景がここにあると言ってもいい島だ。竹富島は昭和62年国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されている。同じく石垣島から船で向かう西表島と違い、竹富島は石垣島から目と鼻の先だ。高速船に乗ってすぐ、竹富島の桟橋に到着する。船を下りると、今日の宿の車が迎えに来てくれていた。竹富島での宿は『高那旅館』。故・司馬遼太郎氏が滞在したことでも有名な旅館だ。1泊2食付で8800円ほどで宿泊できるが、ここはゲストハウスとして宿泊できるユースホステルも営んでいる。
宿の車は道を走り始める。しばらくは舗装道路で、畑の中を抜けていく。車が集落に入ると、道は白い砂の道になった。そして石垣に囲まれた、細い路地を走り、宿に到着する。車の乗車時間はほんの5分足らず。港から歩いてきても十分な距離だった。
チェック・インをした後、夕食まで散歩に。白い砂の道。石垣に囲まれた通り。赤瓦の伝統的な家屋。異世界に飛び込んできた感じだ。
古き良き沖縄が残る竹富島の生活風景
伝統的な町並みを気ままに散歩する。
と、その前に、途中の郵便局のATMで旅の資金を補充。郵便局も赤瓦の伝統的な民家の外見に似せているが、中は冷房完備。ウォータークーラーのサービスつきだ。郵便局は日本中どこにでもあり、本当に助かる。
昔の沖縄の景色を色濃く残す竹富島。時がとまったような町の中をゆっくりと歩く。
しばらくすると、路地の角から牛車が出てきた。竹富島は『観光施設』というものはほとんどない。この牛車に揺られて町並みをみることが、メインの観光になっている。
牛車に揺られてこの古の町並みを旅する。それもいいが、小さな島だ。とことんまで自分の足で歩いてみたくなった。
牛車とすれ違い、気が向くままに歩をすすめる。すると、平屋がほとんどのこの島に、小高い建造物が見えてきた。
コンクリート作りの急な階段。その上に作られた小さな展望スペース。『なごみの塔』だ。ひと一人か二人しか登れない、結構老朽化した塔。
なごみの搭に登ると、竹富島の伝統的な町並みが一望できる。それは日本とは思えない、遠い帰国の町並みだ。似たような道や町並みが続くこの島では、このなごみの塔は散策の目印となった。
竹富ビジターセンターをその後訪れるが、その近くの墓地がすごく気になった。コンクリート作りの大きな家のようなお墓。本土では見ることのない立派なものだ。
墓地の横の道は、まるでトンネルのように熱帯の林を通り抜けていく。その向こうには真っ青な海が広がっている。
青く透明で白い砂浜が美しい竹富島の海
青い空、青い海、そして白い砂浜に深い緑。とても美しい景色。ここは『コンドイビーチ』だ。 遠浅で白い砂浜が続くこのビーチは絶好の海水浴が楽しめる。自販機やシャワー、トイレの設備もある。さっそくこの美しい海の中を散歩する。水着は持ってきていなかったが、短パンにスポーツサンダル。遠浅の海ではどこまでも海の中を歩いていけそうだった。遠くには西表島が見えていた。
コンドイビーチから少し南に下るとカイジ浜に出る。ここは水の青さがコンドイビーチよりさらに強調されている、美しい海岸だ。その分ここの浜は深い。
残念ながら、カイジ浜では遊泳禁止になっている。しかしその美しい砂浜には、星砂がいっぱいちりばめられている。
ここから見える景色は南国そのもの。しばし時間がたつのを忘れ、この浜に腰を下ろし、南国の景色を体中で味わう。
散策で竹富島を一周しよう
カイジ浜から半時計周りに、島を半周する。 歩いてでも半周できるくらい、竹富島は小さな島だ。 島の南側には集落はなく、牧場が広がっている。 島を一周する道路をのんびりと歩き、自然を満喫する。
カイジ浜からの道は南国ムード満点だ。牧場と緑が広がる中をゆっくりと歩いていく。
建設中の舗装道路に出た 道の舗装も独特だ。
竹富島の集落の南側に戻ってくる。畑や原野の向こうに見える石垣に囲まれた沖縄の家々の風景は印象深い。
ふと道端を見ると、牛車を引く牛さんがくつろいでいた。牧歌的であまりにものんびりとした穏やかな風景。
道はやがて集落の中に戻る。各家にはかならずシーサーが飾られていて、それを眺めながら宿への道をすすんだ
宿に帰ると夕食に。食堂では、宿泊者が夕食をとっていた。先日宿泊した西表島の宿にいた旅人もいる。一緒に食事を頂きながら、楽しく談笑。そして夕食後、コンドイビーチへ夕陽が沈むのを見に行くことにする。
宿泊すればわかる!竹富島の夕方や夜は遠い異国の美しさ
夕陽に照らされる、古の沖縄の町並みは遠い異国のようでとても美しい。
また昼間と違った町並みを楽しみながら歩いていると、コンドイビーチへ到着する。まだ日は沈むには少し高い位置にある。南国の日没は遅くに訪れる。しばらくビーチで海を眺めたり、旅の話をしたり。そんなことをしているうちに、太陽はとても美しい光景を作り出した。
1日の終わりの美しい光の演出。心地よい海風とさざ波の音が、さらにこの景色を心地よくしている。
どれくらいの時間がたっただろうか。夜の帳が下り、あたりはすっかり暗くなった。名残惜しいが、宿へと帰ることにする。
木の電柱の裸電球に照らされた、竹富の古い町並み。とても趣きがある。すっかり模様替えした町並みを楽しみながら散歩する。すると子ヤギを首輪と鎖でつないだ地元の人の散歩と出会う。何もかもが異世界に見えた。
この暗闇の向こうには全く違った世界が広がっているのではないか。このまま歩を進めていくと、違う世界に迷い込んで帰れなくなるのではないか。そんな奇妙な錯覚にとらわれる、竹富島の夜だった。
高那旅館(竹富島)
住所: 沖縄県八重山郡竹富町字竹富499
電話: 0980‐85‐2151
イン: 15:00
アウト: 10:00
交通: 竹富島桟橋から徒歩で15分(無料送迎あり)
料金: 1泊2食8800円~ (ユースホステル利用は会員1泊2食5000円)
部屋数: 和室13室 洋室3室 ゲストハウス別棟