四十四島【小説坊っちゃんに登場するターナー島】

「坊ちゃん」「赤シャツ」「野だいこ」「山嵐」「マドンナ」「うらなり」「狸」・・・どこかで聞いたことのある名前。これは夏目漱石の小説「坊ちゃん」の登場人物の名前だ。「坊ちゃん」の舞台は実は松山市。夏目漱石が教師として赴任した松山での経験を元に書かれた作品である。
作品の中で松山は、「温泉以外は褒めるところがない野蛮な田舎」というような扱いをされている。「野蛮な所」で「気のきかぬ田舎者」のいる土地。「こんな所に住んで御城下だなどといばっている人間はかあいそうなものだ」「1時間歩くと見物する町もなような狭い都に住んで、ほかになんも芸がない哀れな奴らだ」「不浄な土地」・・・小説を実際に読むと、松山と松山に住む人に対する罵詈雑言のオンパレードだ。それなのに、現在の松山の中には「坊ちゃん」や「マドンナ」の名前を冠したものが洪水のように氾濫している。夏目漱石がこれだけ松山の事を悪く書いた事には諸説があるが、平成の世では坊ちゃんは松山を代表するキャラクターになっている。穏やかな瀬戸内海に住む愛媛の人間には、昔の文豪の言葉など気にもかけない懐の深さと商売気があるのだろうと僕は思っている。

夏目漱石の小説「坊っちゃん」に出てきた小さな島

さて、そんな穏やかな瀬戸内海にも、「坊ちゃん」の小説から愛称を付けられた島がある。それがこの「ターナー島」正式名称は「四十島」といい、四国本土と興居島(ごごしま)の間に位置する島。3つの岩が連なった、周囲135mの小さな島。いくつもの島々が重なる瀬戸内海に浮かぶ、松を乗せた岩島はとても風光明媚な風景。なぜ「ターナー島」と呼ばれるかだが、この島は小説「坊ちゃん」の中に登場する。そして、小説の中で登場人物たちがこの島の名前を勝手に決めてしまう件がある。
赤シャツ:「あの松を見給え、幹が真直で、上が傘のように開いて夕一ナーの画にありそうだね」野だいこ:「全くターナーですね。どうもあの曲がり具合ったらありませんね。ターナーそっくりですよ。」・・・すると野だいこが、どうです教頭、これからあの島をターナー島と名付けようじゃありませんかと余計な発議をした。赤シャツは、そいつはおもしろい、われわれはこれからそういおうと賛成した。(現地案内看板より引用)
劇中で釣りに来た坊ちゃんと教頭の赤シャツ、美術教師の野だいこの会話。西洋かぶれした2人の能書き、うんちくにうんざりする坊ちゃん。勝手にこの島を「ターナー島」と命名してしまう架空の人物の赤シャツと野だいこ。しかし、その架空の命名で生まれた島の名は、この島の愛称として今も松山の観光に一役買っている。

 潮流が激しく流れる瀬戸内海の風景

四十島があるこの付近には松山の昔の港があった。当時は夏目漱石らをはじめ、多くの人がこの島の横を船で通過していったのだろう。現在の松山のメインの港は北側に移ったが、今もまだこの島の付近の船の往来は多い。
この海域は島と四国に挟まれ、とても波は穏やか。しかし、海の幅が狭いため、すごい速さの潮流が生まれる。この時も、まるで川のように海が流れていた。これも穏やかに見える瀬戸内海のもう一つの顔だ。
ターナー島へは伊予鉄道高浜駅の南の交差点から海沿いの道を少し進むとたどり着ける。車で訪れても、防波堤の前に車をとめておくことができる。この時訪れたのは自転車。高浜から梅津寺まで、海沿いの道を走ってみるのもとてもいい雰囲気。マリーナや海沿いの雰囲気の良い住宅地を抜け、瀬戸内海を見ながらの走行も気持ちがよかった。

道後温泉の観光と宿泊情報

日本最古の温泉とされる道後温泉には、数多くの宿があります。どの宿にも趣向をこらした温泉を楽しめ、さらには湯篭をもって浴衣姿で道後温泉本館や椿の湯といった外湯巡りも楽しめます。道後温泉から伊予鉄道の駅に続く商店街「道後ハイカラ通り」にはたくさんの店が並んでおり、各ホテルの軒先には無料の足湯があり、道後温泉は散策するにはもってこい。海にも近く美味しい魚を食べられる店も多数。毎時0分に稼働するからくり時計も見応えがあって楽しく、ゆっくりと宿をとって道後温泉を楽しみたいですね。

【道後温泉の宿一覧】

ターナー島(四十島)

住所: 愛媛県松山市高浜町
電話: 089-948-6556
休み: 対象外
営業時間: 対象外
交通: 伊予鉄道高浜線高浜駅から約500m
駐車場: 堤防の前に駐車可能(20台)

【投稿時最終訪問 2008年9月】

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