猿沢池【五重塔が映える南都八景】
世界遺産に指定された多くの寺社が建ち並ぶ奈良公園。娘と一緒にシカと戯れた後、久々にやってきたのが奈良八景の一つの「猿沢池」だ。池の向こうに興福寺の五重塔が建つ風景は奈良を代表する風景のひとつとして有名な場所だ。
猿沢池は見た目は普通のため池。しかしここは興福寺が行う「放生会」という儀式のために奈良時代に作られた人口の池だ。世界遺産である「興福寺」のすぐ近くにあり、五重塔を水面に映すその風景は古都奈良を代表する景色。駅からも比較的近いため、周囲360mの湖畔には、くつろぐ人がとても多い。芝生広場や茶屋や東屋もあり、ゆっくりとできる場所だ。
旅館がとても多く立ち並んでいる場所でもあり、修学旅行でこの湖畔に泊まった人も多いのではないだろうか。
興福寺から猿沢池に向かうと、新緑を纏った五重塔を見返りながら階段を下りていく。見上げた空だけなら、奈良時代とさほど変わらないだろう。歴史を感じながら、風を感じながらの散策はとても気持ちがいい。
京都が舞妓に変身できるなら、奈良では天平美人に変身できる。古の衣装をレンタルして、この風景に溶け込むように散策している人もいる。
さて、猿沢池の名物といったらやはり亀。ウヨウヨと、あちらこちらで天日干しをしている。その数はすごい。
親亀の背中に子亀をのせて。その背中に孫亀をのせて・・・ってハトがのってるっ!
ここはハトの憩いの場所でもある。気持ちいい岩の上をカメに占拠されているからだろうか。それとも、カメの上が気持ちいいからだろうか。
鳩は次々にカメの上に乗っかり、くつろいでいる。まるで嫌がらせのようだ。
カメもハトが乗って来てもたいして驚かず、マイペースに天日干し。ハトもぼんやりとしている。何とものんびりとした、平和な風景だ。池の中では鯉も泳いでいる。
さすがに1000年も前からここに放生会で生き物が放たれてきた池だ。多種多様な生物が、これほどの数で、これほどの距離で、これほど密着して生きている所はなかなかない。この生き物たちの姿はカメラマンにも人気で、望遠レンズを構える人も多く訪れている。
何度か学生時代には訪れていたこの猿沢池だが、こうやって大人になって、父親になって訪れると、また違った風景にみえる。のんびり子供を連れて、生き物を見ながら散策できる場所。地元のいいところを再認識できる、久々の訪問だった。
猿沢池
場所: 奈良県奈良市登大路町49
電話: 0742-22-0375
料金: 無料
アクセス: 近鉄奈良駅より徒歩5分
駐車場: なし
【投稿時最終訪問 2014年5月】