ジャングルナイトツアー【小笠原・父島】

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小笠原の宿で、夕食を済ませ、外出の準備をしてリビングで待っていると、一人の女性が迎えに来てくれた。今晩は「ナイトツアー」に参加する。迎えに来てくれたのはツアー会社「ブルースカイビックホースツアー」のスタッフだった。このツアー会社には今晩のナイトツアーと明日のシーカヤックツアーでお世話になる。小笠原では「ナイトツアー」が盛んに行われている。夜の小笠原の風景や生き物は、昼間のそれとは全く違い、とても魅力的なのである。

スタッフが運転する車に乗り、島の南部へと走る。走りながら、真っ暗な夜の小笠原の地元の事情をいろいろと案内してくれる。「扇浦」にさしかかると、大きな東屋がビーチにつくられていて、ここでは地元の人がよく酒盛りをすると案内してくれた。小笠原在住の知人にも「ここは僕たちがよく酒盛りする場所なんです」と紹介してもらった場所だ。確かに、この美しい浜辺では、夜な夜な地元の方の酒盛りが開かれるようだ。今日は風が強いせいか、誰も飲んではいなかったが・・・
そして、もう1台の車と合流して「小笠原亜熱帯農業センター」に到着。ここで今夜のナイトツアーに参加する全員がそろった。さっそくここで夜の小笠原の生き物の生態を観察する。
小笠原の夜の名物といえば「グリーンぺぺ」が有名だ。グリーンぺぺは暗闇に光る不思議なキノコで、熱帯独特のもの。こんな不思議なキノコが小笠原では普通に森の中に生える。ツアー一行はまず、このグリーンぺぺを探しにジャングルに入る。

闇夜で光る神秘的なキノコ「グリーンペペ」

小笠原のグリーンペペ

ジャングルの中に入る前に、明かりはすべて消すように言われる。真っ暗の中、ガイドが持つ明かりだけにジャングルの奥深くへ・・・と思ったら意外に近い場所で立ち止まる。ここにありますと、ガイドが指をさすと、確かに暗闇の中にうっすらと光るものが。
残念ながらグリーンぺぺが最も多いのは6月などの暖かく雨が多い時期。今回訪れた正月などでは、かろうじて1本か2本くらい残っているだけなのだ。観察用に置かれたビール箱の上に乗り、間近から木の上のグリーンぺぺを観察。光を当てると真っ白なキノコが、光を消したとたん、うっすらと闇の中に妖しい光をほのかに放つ。
写真を撮ろうと試みたが、三脚を持ってきていないうえ、小笠原の知人との楽しい会話でついついお酒がすすんでしまった。ほろ酔いの三脚なしの夜の撮影がうまくいくわけがなく、撮れた写真はこんなものです。
雰囲気だけでも伝われば・・・

小笠原の花

さて、今度はオガサワラオオコウモリを探して周辺をうろうろ。小笠原の固有種で天然記念物。羽を広げると1m以上の大きさになるそうだ。コウモリの特徴である超音波を発さず、目で見ながら空を飛ぶそうだ。
「時々木にあたってポトリと地面に落ちるさまがとても可愛いんですよ」とガイドさんが面白可笑しく紹介してくれる。楽しくオガサワラオオコウモリの話をガイドさんがしている間に、もうひとりのガイドがそのあたりを走りまわってオガサワラオオコウモリを探してくれる。が、残念ながらこの日はその姿を見ることができなかった。運が良ければ、町の中でも見られるそうだ。
オガサワラオオコウモリを探している間、夜に花を撮るときれいですよとガイドさん。確かに昼の鮮やかな写真と違い、とても神秘的な花の表情がそこにあった。

夜の小笠原の海にも珍しい生き物がいっぱい

父島夜のヤシの木

オガサワラオオコウモリが見れなかったが、見上げるとそこには満点の星空が。先ほどまで雲に覆われていて気付かなかったが、いつの間にかヤシの木の頭上には、一面に煌めく星空で埋め尽くされていた。時々流れる流れ星。まさに標高3000m級の山の頂上から眺めた空が、標高0mの小笠原にはある。よくよく考えれば、この島の周辺何百キロには明かりは全くない(母島の小さな集落を除いてだが)
ここは夜には、本当に暗闇に包まれた真っ暗な場所。恐ろしいほど美しい星空が眺められる。煌めく空をツアー一行は地面に寝転んで見上げた。まるで夢のような世界。真っ暗な森の中で星の輝きを眺めながら、海を渡る風の音に耳を傾ける。それはまさに、地球という大きなドラマの中に今生きていることを実感できる美しい時間であった。
そして農業センターを後にするとき、暗闇の中で大きなグリーンぺぺが一つ、明るく光って見送ってくれていた。
次に向かったのは「扇浦」
地元住民の飲み場と化す東屋の前に車を停める。電光掲示板が静かに情報を流しながら、あたりを不思議にその明りで照らしいてる。そして、少し荒々しい波音が、潮風を海から強く運んでくる。静かでいて、それでいて騒々しい、扇浜には夜の思議な感覚が広がっていた。
荒波が洗う波打ち際にガイドがライトを照らす。「何かいますよね?」そう言われて、じっくりと目を凝らす。何か白いものがカサカサと動いている。何だ?

父島のカニ

その正体はこれ。カニ。名前は・・・忘れました。
よく見ると、波打ち際にはいっぱいこのカニがワサワサと歩いている。すごい風景だ。

父島のカニ

ガイドさんがそのうちの1匹を捕獲。手にのせてみようて言う。そのあまりもの大きさにちょっとビクビクしながらも手の上に。意外におとなしい・・・と思ったらすぐに手から飛び降りて逃走する。こんな風に遊んでいる間にもガイドさんは浜辺で天然記念物の「オカヤドカリ」を探し回っている。残念ながら、オカヤドカリの姿も見ることができなかった。
今回は天然記念物の姿は全滅だった。しかし、小笠原の神秘的な夜の森、そして降り注ぐような満天の星空のスターウォッチングを楽しめてとてもよかった。そして何よりもガイドさんのトークがとても楽しい。参加者が飽きたりしないよう、いろいろと工夫されたツアーはとても楽しかった。

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