子の権現天龍寺【飯能アルプス】
埼玉県飯能市にある天龍寺は「子の権現」(ねのごんげん)として名前が知られています。飯能市中心近くから西武鉄道秩父線に沿って伸びる飯能アルプスの稜線上にあり、登山で訪れる人はもちろん、山の上まで自転車で登ってくるサイクリストでも賑わう山寺です。神仏習合の雰囲気を強く残しており、足腰守護にご利益があります。遠くスカイツリーまで一望できる展望処もあり、神秘的なパワースポットでもあります。
神仏習合の神秘的な山岳寺院
子の権現の参道入口にある巨大な「二本杉」は県指定天然記念物。樹齢約1000年、樹高36mの巨木。子ノ聖が食事の際、箸代わりに使った杉の枝をここに挿し、それが成長して大木になったと伝えられています。現在は2本ある杉の1本はその巨体を失っており、根元部分だけが残っています。
子の権現はお寺ですが、参道には大きくて真っ赤な鳥居が残っています。これは明治時代以前の神仏習合の名残だそうです。参道には山小屋風のお店があるだけですが、これがまたなんとも山寺のいい雰囲気を醸し出しています。
境内の入口には立派な山門「黒門」があります。真っ黒な美しい門の向こうには色鮮やかな仁王の姿が見え、とても神々しい雰囲気です。
山門をくぐったところには、色鮮やかな巨大な仁王像があります。オレンジ色の肌にスカイブルーの衣を纏った派手な色彩は山の中ではとても目を引きます。
足腰守護のご利益があるパワースポット
仁王像を通りすぎ、まずは本坊へ向かいます。この辺りから山々の展望を望むことができます。鬱蒼とした森が続く伊豆ヶ岳方面から縦走してきた登山者にとっては、久々の展望です。
山の上にある子ノ権現までの急坂を自転車で登り切ることに果敢にチャレンジするサイクリストも多いため、境内には自転車置き場が何か所かあります。また子の権現は飯能アルプスの縦走路に位置し、多くの登山者も登山の途中に参拝しています。
足腰にご利益がある子の権現。ここまで自らの脚力でたどりつけるサイクリストや登山者は健康的な足腰をすでに保持していますが、いつまでも今のようにら足腰が続きますようにと願掛けをしています。
参道の奥には江戸時代末期に建てられた本坊があります。巨大で美しい藁葺屋根がてとも目を引きます。山奥の自然の中にある本坊は日本の美しい風景です。
本坊の脇から坂を登って本堂に向かいます。本堂前には子の権現の名物ともいえる巨大な鉄下駄と鉄わらじがあります。
古くから足腰守護の神仏として信仰を集めた子の権現には履物を奉納して願掛けをする習わしがあり、その信仰のシンボルとされています。スポーツ選手も多く参拝に訪れるそうです。
狛犬や観音様が脇を固める本堂は、大きくはないも威厳ある雰囲気。子の権現天龍寺は西暦911年の創建の歴史ある寺。天竺の僧の生まれ変わりという、子年子月子日子刻に生まれた子の聖が創建し、足腰の病に霊験を授けると誓ったといわれています。
展望処からは飯能アルプス随一の眺望
本堂の先にある閻魔堂横の階段を進むと、奥之院と鐘楼堂があります。絶景展望台もありますので、ぜひこちらもお参りしましょう。
山の上の少し開けた場所に奥之院があります。釈迦堂とも呼ばれる奥之院は小さな建物ながら、森に囲まれてとても神秘的に見えます。
鐘楼堂の鐘は打つことができます。深い森に包まれた山の上で鳴らす鐘は美しく響き、とても心にしみわたります。ただし鐘の連打は火事の合図となるので、最低でも30秒の間隔をあけて打つように求められています。
奥之院から振り返る本堂と本坊。山々の頂と同じ高さにあり、俗世離れした山寺の雰囲気を色濃く感じることができます。
奥之院のそばには「東京スカイツリー眺望処」と名付けられた展望台があります。子の権現の標高は640m。634mのスカイツリーの塔頂とほぼ同じ高さにあります。当然ここから遠く離れたスカイツリーも望むことができます。
東京スカイツリー眺望処からの眺め。まず目に飛び込んでくるものは、真っ白な巨大な「西武ドーム」です。都心に方面に目をやると、紙の上に落ちた糸屑のように、スカイツリーの姿を確認することができます。
展望は埼玉はもちろん、東京、横浜方面まで望め、空が澄んだ日は遠く筑波山まで見渡せるそうです。
飯能アルプスを伊豆ヶ岳に向かってこれから進む登山中の方も、この先これほどの展望を望むことはできません。というより、頂上を含めて樹林の中で展望はほぼ無しです。是非ここで堪能しましょう。
SNS映えすると人気の子の権現のスポット
最後に話題のスポットを見るため、本坊の脇を奥に進みます。伊豆ヶ岳や天目指峠に向かう飯能アルプスの縦走路もここから境内の外に出ます。
少しだけ道を歩くと、斜面の下に「なんじゃこりゃ?」というものがあります。それは真っ白な巨大な手。山の中、木々の間にひっそりと置かれたその巨大な手はかなりシュールです。特に案内板も無く、何故そこにあるのかわからないことも、シュールさを底上げして、秘密のパワースポットの様相を醸し出しています。近くまで立ち寄れるので、参拝の際は是非、白い手まで足を伸ばしましょう。
子の権現から西武鉄道吾野駅までは登山道が整備されています。伊豆ヶ岳から縦走して、子ノ権現から下山する登山者も多いと思います。下山の途中のオススメの飲食店が「浅野茶屋」です。江戸時代の大きな古民家をリフォームした懐かしくもお洒落な店内で、和の趣たっぷりの美味しいうどんを頂けるお店。駅までもやや遠いながらも車道が通じているので、安心して早めの打ち上げでお酒も頂けます。
子の権現(天龍寺)
住所: 埼玉県飯能市大字南461
電話: 042-978-0050
休み: 無休
営業時間: 9:00~16:30
料金: 無料
期間: 通年
交通: 圏央道・狭山日高ICより約60分
関越道・鶴ヶ島ICより約80分
西武鉄道秩父線「吾野」「西吾野」から徒歩約90分
駐車場: 無料(約15台)
【投稿時最終訪問 2018年6月】