寛永寺【清水観音堂・不忍池辯天堂・上野大仏】

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東京の中心に広がる広大な敷地を持ち、多くの人が訪れる「上野公園」。春は桜の名所であり、大都会の中とは思えない美しい風景を楽しめます。そんな上野公園は、江戸時代に江戸の鬼門封じ、将軍家の墓所として建立された寛永寺が元となっています。幕末の上野戦争で焼け野原となった一帯を日本初の公園として整備されました。現在も戦火を逃れた寛永寺の建物が多く上野公園には残っており、美しい自然と一緒に歴史ある寺院をめぐることが出来ます。

上野公園にある京都に見立てた寛永寺

上野西郷隆盛像

山手線の上野駅を降りて上野公園に入ると、愛犬をつれたおなじみの西郷隆盛像があります。明治維新で江戸城の無血開城に尽力し、この上野で起きた上野戦争の指揮官の一人として活躍しました。いつもあるのであまり気にしていませんが、実は明治31年に完成した銅像で、すでに100年以上経過した歴史あるものです。

清水観音堂

西郷隆盛像から少し北に行くと、京都の清水寺を模した舞台造りの寛永寺の社殿のひとつである「清水観音堂」があります。1631年建立の寛永寺に残る最も古い建造物で、区の重要文化財にも指定されています。

御本尊は千手観音。寛永寺は京都の比叡山を東京に再現するために造られた寺院。京都の名のある寺院になぞらえた堂舎が多く建てられましたが、その名の通り清水観音堂は清水の舞台で知られる京都の清水寺を見立てたものです。

清水観音堂の舞台

清水の舞台を思わせる、ウッドデッキと呼べそうな立派で広い舞台がお堂の前にあります。目の前には不忍池があるため、大都会の中にあるにも関わらず、空がとても広い開放的な空間で、とても気持ちが良いスペースです。

月の松

舞台の中心には、幹が美しい円を描く神秘的な松の木があります。これは「月の松」と名付けられた木。琵琶湖に見立てた不忍池と、琵琶湖の竹生島弁財天を見立てた不忍池辯天堂を清水の舞台から眺めると、月の松の幹の向こうにその姿を望むことが出来ます。江戸時代に歌川広重も浮世絵に描いた風流な眺めで、この清水観音堂の代表する神秘的なスポットです。

不忍池と弁天堂

清水観音堂を参拝後、舞台から見えていた不忍池・辯天堂へと向かいます。

寛永寺清水観音堂

振り返る清水観音堂。美しく歴史ある舞台を備えた建物と、その手前に神秘的な月の松。江戸の激動の歴史を眺めてきた社殿で、神々しさと神秘さを感じられます。

不忍池と不忍池辯天堂は都会のオアシス

不忍池

不忍池は、上野公園の中に広がる周囲約2kmの池。高層ビルが建ち並ぶ中にある、まさに都会のオアシスです。

比叡山に見立てた寛永寺から見下ろす不忍池は琵琶湖に見立てられ、その中央に竹生島を見立てて弁天島が造られ、弁才天を祀る辯天堂があります。

辯天堂手水

かつては弁天島に船で渡っていましたが、1672年に石橋が架けられて徒歩で渡れるようになったそうです。清水観音堂からは不忍池の美しい風景を眺めながら、歩いていて参拝することができます。まるで池の水の源となっているような手水舎で身を清めてから辯天堂を参拝します。

上野辯天堂

辯天堂のご本尊は、竹生島の宝厳寺から勧請された「八臂大辯才天」(はっぴだいべんざいてん)で、音楽と芸能の神、金運の神として広く信仰されています。大都会にありながら付近に建物の姿がない弁天堂の姿はとても神々しく、取り付けられた提灯や幟の数から信仰の深さをうかがい知ることができます。

不忍池

大都会の中に広がる池は、人間だけでなく野鳥にとってもオアシス。特に水鳥が多く集まり、羽を休めています。そして不忍池には一面にハスがひろがっており、夏になると無数の美しい花を咲かせて目を楽しませてくれます。

不忍池のカモメ

不忍池にはカモメもやってきます。とても人に慣れており、多少近づいてもほとんど逃げません。何か欲しそうにこちらをずっと見ています。

不忍池ボート

不忍池のボートはなんと昭和6年から営業されている老舗。手漕ぎボートはもちろん、スワンやサイクルボートなど種類も台数も豊富です。広い池の上から眺める大都会やスカイツリーは絶景と人気で、特に春には池のほとり一面に桜が咲き誇る絶景となります。

上野にかつて鎮座した大仏様

上野大仏

不忍池から再び上野公園に戻ります。上野公園でもひときわ目につく明治5年創業の西洋料理店の「上野精養軒」の近くに「上野大仏」という看板があります。上野に大仏様なんてあったのか?と思いますが、実際に上野には巨大な大仏様が鎮座していました。残念ながら関東大震災で被災して甚大な損傷を受け、その後太平洋戦争の金属供出でその身体を失ったというとても不運な大仏様です。

上野大仏のお顔

上野大仏はかつて6mもの巨大な仏像でしたが、現在は残ったお顔のみがレリーフとなって祀られています。胴体を失ないながらもこの場所にとどまったお顔は「これ以上落ちない」という意味で「合格大仏」としてご利益を求める受験生が後を絶ちません。

上野大仏パゴダ

大仏殿の跡地にはミャンマー様式の仏塔であるパゴダが建っており、中には江戸時代まで上の東照宮の薬師堂のご本尊だった薬師如来、月光菩薩、日光菩薩を祀っています。

大仏さまのお顔とあわせて、とてもアジアンテイストなお寺で、神秘さを感じるパワースポットです。

寛永寺時鐘堂

上野大仏のすぐそばには「寛永寺時鐘堂」(時の鐘)があります。1669年に建てられたこの鐘は、かつては江戸の町に時を知らせていました。今も大都会の東京を望む高台から正午と朝夕六時の計三回、鐘を響かせて時を優雅に大都会へと告げています。

上野公園の中に広がる江戸時代の巨大寺院だった寛永寺。本堂である根本中堂は上野公園の最も北側にあります。上野公園を散策がてら、時間があれば本堂まで足を延ばしてお参りしたいですね。

東叡山寛永寺(清水観音堂)

場所: 東京都台東区上野公園1-29
電話: 03-3821-4749
営業時間: 9:00~17:00
休業日: 無休
料金: 無料
交通: JR・上野駅より徒歩5分
駐車場: なし (周辺の有料駐車場を利用)

【投稿時最終訪問 2020年3月】

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