蒲生田岬【四国最東端・瀬戸内海と太平洋の境界】
「蒲生田岬」( かもだみさき)徳島県阿南市にある四国最東端の岬。瀬戸内海と太平洋の境目となっており、断崖絶壁の上には四国最東端の灯台である「蒲生田灯台」が建っています。付近には貴重な湿地が残る蒲生田大池やウミガメの産卵地、また旧日本軍の基地跡が残る岬の散策路などがあり、海の眺めはもちろん、様々な絶景を楽しめるスポットです。
蒲生田岬灯台へと続く整備された遊歩道
海に突き出した小高い山の蒲生田岬。その美しい形の頂には蒲生田岬灯台が建っています。
蒲生田岬の入口には駐車場があり約30台ほど無料で車を停めることが出来ます。駐車場の一角にはトイレもあります。
駐車場に隣接して「蒲生田大池」という池があります。池には水辺湿地が広がっており、「蒲生田湿原植物群落」として阿南市の天然記念物にも指定されています。池には周囲4kmの遊歩道が整備されており、木道で湿地帯を間近から観察できます。
蒲生田岬へと続く遊歩道の入口には「四国最東端・かもだ岬」と記された石のモニュメントが設置されています。真ん中にはくり抜かれた穴からの眺めが絵になります。
蒲生田岬灯台までは遊歩道を徒歩で15分ほど歩きます。最初は海沿いに造られた遊歩道を蒲生田岬灯台の建つ山のふもとまで歩きます。潮風を感じる心地よい散策路です。
遊歩道横の海岸は大きな石がゴロゴロと転がっていますが、駐車場の北側は砂浜になっており、アカウミガメが産卵のために上陸する貴重な場所になっています。
蒲生田岬の麓まで来ると芝生広場があります。簡単なベンチテーブルもあり、ここでキャンプを楽しむ人もいるそうです。
芝生広場からは遊歩道は階段となり、山の上にある蒲生田岬灯台を目指します。
ウバメガシなどの密生する林の中に続く階段を登ると、白亜の灯台が見えてきます。ここが目指していた蒲生田岬灯台です。
蒲生田岬灯台から望む大海原の絶景
蒲生田岬灯台は四国最東端の灯台で、大正13年に設置されました。太平洋から瀬戸内海に入る入口を照らす灯台で、航海の道しるべとなっています。蒲生田岬の沖にある岩礁を眩しい光で照らして、船の安全を確保しているそうです。灯台には外側とテラスが設置されていて、展望台として海を見下ろすことが出来ます。
四国最東端の蒲生田岬と対岸の和歌山県日ノ御埼灯台灯台を結んだラインが瀬戸内海と太平洋の境目と定められています。天気が良いと淡路島や和歌山まで見渡せる絶景の灯台で、灯台が建つ断崖絶壁の蒲生田岬も見事な眺めです。四国で最も早く日の出を見られる場所として初日の出のスポットにもなっています。
蒲生田岬からは東に6km先の海上に浮かぶ伊島。人口約200人の数多くの四国の島の中でももっとも東にある最東端の島です。
蒲生田岬の足元には断崖絶壁が広がります。青い海と荒々しい岩場は見事な眺めです。
岬付近の岩礁と、紀伊水道に浮かぶ伊島が大阪湾の入口とは思えない絶景をつくり出しています。
蒲生田岬から西側に向けても遊歩道が続いています。木が生えない断崖絶壁の上を海を見ながら歩く遊歩道は、遠くの場所に来たかのような絶景が続きます。見える海は太平洋です。
蒲生田岬から望む北側の風景。駐車場から歩いてきた遊歩道が足元に見えます。海岸線が入り組んだ場所には、アカウミガメが産卵に訪れる砂浜があります。見える海は瀬戸内海です。
蒲生田岬の断崖絶壁には波が穿った穴や大小の岩が美しい海に複雑な地形が刻まれています。シュノーケリングやシーカヤックで探検したくなります。
登りに使った樹林の中の階段とは違う、海を眺める岬の稜線を行く遊歩道で下山します。
遊歩道の途中から灯台のある蒲生田岬を振り返ります。絶海の孤島に来たかのような、木々が生えない岬は遠い異国に突然連れてこられたかのような風景です。
遊歩道で鞍部まで下りると稜線から森の中を下山する道に変わります。目の前の岩場の向こうにはまだ稜線沿いに道が続いていますが、いったん岬の下に下山しないとその道には行くことができません。
蒲生田岬を下ると、蒲生田灯台へ登った階段とは別の道から芝生広場の奥に出てきます。
広い芝生広場の向こうには、瀬戸内海と太平洋が交わる海を望めます。ここでのキャンプは気持ちよさそうです。蒲生田岬灯台の散策はここまで、遊歩道で駐車場まで戻ります。
湿地などの原始の様相を残した蒲生田池
次は駐車場から遊歩道で蒲生田大池の散策をします。駐車場近くの遊歩道は広くて砂利が敷き詰められていてとても歩きやすくなっています。湖畔にはベンチテーブルもあり、ゆっくりと風景を眺めながらくつろぐこともできます。
渡り鳥が羽を休める池は原始の様相で、北西部には湿原が残り、木道で散策ができるようになっています。
少し進むと道は二手に分かれます。右に進むと道は狭くなりますが蒲生田大池の遊歩道。左に進むと蒲生田岬の途中で岩場に阻まれて途切れていた稜線を進む道へと戻ります。
岬の稜線沿いにさらに続く遊歩道へ
蒲生田大池からトンネルのようなウバメガシの森を抜けて緩やかな登り道が続きます。再びあの絶景の岬に続く道ですが、まるでジブリの世界に誘われるかのような幻想的な小径です。
ウバメガシのトンネルを抜けると、今度は笹野原を一直線に切り開いた道になります。本当に物語の中に入り込んだかのような美しい表情を見せてくれるルートです。
再び岬の稜線沿いに出ます。とても開放的な場所です。
再び鞍部から蒲生田岬の稜線沿いにとても気持ちよい遊歩道が続いています。緩やかな階段で導かれるように先に進んでいきます。
後を振り返ると、蒲生田岬とそこから蒲生田大池に下った道が見えます。稜線は一部険しい崖となっていて道が途切れていましたが、再び続きの道を登っていきます。
遊歩道から見下ろす険しい崖。海に吸い込まれそうなその高度感と荒々しい崖の眺めには足がすくんでしまいます。
森の中にひっそりと眠る旧日本軍の戦跡
木々が生えない断崖絶壁の上をを登っていく道は、やがて森の中に入っていきます。
ウバメガシなどの低木が密集する森の中を進んでいきます。広がる森の所々から海が見える気持ちの良い散策路です。
やがて散策路は旧日本海軍電探基地跡に出てきます。電波探知機設置跡と記された場所にはコンクリートの基礎が残っているだけです。しかし戦時中は大阪湾の入口にあたる蒲生田岬でアメリカ軍の航空機の襲来を警戒していたのでしょう。かつては基地だったので森の中を探せば兵舎や倉庫などの遺構もわずかに残っていそうです。
また、この先にはこの先には四国最東端の三角点もあります。道はどんどんと細くなっていきますので進むならしっかりとした靴を準備しましょう。
来た道を引き返して駐車場に戻ります。稜線からの下りには蒲生田大池と海に突き出したカダチノ鼻が切り取った池のように見える海が望めます。まるで池が2つ並んでいるかのような風景は不思議。蒲生田大池から岬の稜線に続く道は登りも下りも別世界のような眺めを楽しませてくれます。
蒲生田岬
住所: 阿南市椿町蒲生田1
電話: 0884-24-3141(阿南市観光案内所)
料金: 無料
休み: 年中無休 (灯台は外階段テラスのみ)
営業時間: 24時間 (夜間照明なし)
交通: 阿南道路(国道55線バイパス)南側終点より40分
駐車場: 30台 (有料)
【投稿時最終訪問 2020年4月】