ゴールデンウイークの上高地【残雪の北アルプス】

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信州の観光地の中でもトップクラスの人気を誇る「上高地」。特にゴールデンウィークには上高地にはまだ雪が残っていることも多く、雪を頂く北アルプスの山々を間近に見ることができる。上高地を代表する「河童橋」、北アルプスの山々から流れ出す清流「梓川」、そしてその梓川が池になった「大正池」を残雪の季節に巡り歩く。

 残雪の穂高連峰と梓川を一望する「河童橋」

雪の吊尾根

長野県松本か岐阜県高山から上高地へはバスでアプローチする。上高地バスターミナルから徒歩約5分、梓川にかかる木製の吊橋が河童橋だ。ここは上高地の中でも最も有名で、上高地の中でも最も人で賑わう場所。河童橋から見上げる穂高連峰と梓川の織り成す景色は圧巻。上高地を代表する景色になっており、パンフレット、絵はがき、雑誌などには必ずと言っていいほど使われる。
遠くに見える穂高の山々は、圧倒的な迫力で、僕たちに自然の美しさを見せてくれる。あの雪が真っ白な場所はどうなっているのだろうか。頂上は大空に手が届く場所ではないのだろうか。近くて遠い、穂高の世界に思いを馳せてみる。

河童橋と穂高岳

河童橋の周辺はホテルや食堂、みやげもの屋が立ち並び、大勢の人で賑わう。最近では、カフェやテイクアウトなどの店もできている。
残念ながら河童橋の全体が映った写真はない。ここの橋の上には常に人が大勢いる。河童橋と穂高連峰の写真を撮るには早朝に訪れる必要がある。

河童橋

とにかくこの狭い橋の上に人がいっぱい。ただでさえ、人の多い中を歩くのも大変なのに、この狭いスペースで記念写真を撮る人がいっぱいいる。
混雑する場所を避けたいなら、河童橋から少しだけ離れよう。河童橋を渡り、梓川の右岸へ。混雑するホテル白樺荘の前を少しをまわりこんだ所の河原。まだ人は多いが、のんびり腰を下ろして、河童橋から見える景色と同じ穂高の勇姿を楽しめる。

梓川と穂高岳

さらに静かな場所で穂高を楽しみたいのなら、河童橋からもう少しだけ歩いてみよう。上高地ビジターセンターの横、小梨平キャンプ場に入り、河原に出る。ここはキャンプする人がゆっくりしているだけで、観光客の雑踏はない。ゆっくりと穂高と対話するには、本当にいい場所だ。ここでキャンプをする人がとてもうらやましく思える。

残雪の奥穂高岳

見上げる奥穂高岳。3000mを越える雪と岩の世界は厳しく容易に人を寄せ付けない。時折、遠くの方からけたたましい轟音が空に響き渡る。どこかで雪崩が起きたのに違いない。そんな厳しい死と隣り合わせの世界にも、今この時でも挑んでいる登山家が多くいる。

エメラルドグリーンの美しい清流「梓川」

上高地の雪解け

まだ雪が多く残る山だが、少しずつ春の訪れが近づいているのがわかる。木々は春の足音を感じ、柔らかな緑の芽をその身に纏い始めていた。やがて山々も、雪の真っ白な衣を脱ぎ捨て、色鮮やかな緑色のベールを纏う。しかし、山の谷間には真夏になっても、真っ白な雪は残っている。

雪解けの上高地

続いて上高地を流れる驚くほど美しい清流「梓川」にフォーカスしてみる。梓川は標高3180m、日本第5位の標高を誇る槍ヶ岳を水源とする川。日本第3位の標高を誇る奥穂高岳や、常念岳など、多くの名峰からも清らかな水を贅沢に集めて流れる。その流れは上高地を作り出し、上高地の代表的な景色には必ずその姿を誇示している。梓川の名前は、この上高地周辺は古来より上質な「梓」の産地であり、江戸時代にも木の伐採されていたことに由来するらしい。しかし、今の上高地には、梓の木は数えるほどしかないようだ。

雪解けの梓川

河童橋近くの河原から見上げるから見る穂高岳連峰。「上高地」を代表する景色だ。美しい色の梓川と、他を圧巻する穂高岳の勇姿が織り成す、絶景だ。

梓川の水中

梓川の清流の中の様子。とても透き通った美しい水だ。ただし、水の中に手を入れると、とても痛い。氷水のような冷たい水なのだ。この水の冷たさは夏でも変わらない。そのため、これだけ美しい水にも関わらず、上高地の梓川で泳ごうとする観光客は皆無だ。

梓川の流れ

上高地を流れる梓川の透明度は、恐ろしいほどに透き通っている。流れる水が、本当に「水色」をしている。
この梓川は、台風などの大雨でも、濁流と化すことはない。透明な青い色の水を常に湛えている。大雨の中、変わらぬ青さを示すこの清流には、神秘さをも感じた。
訪れたゴールデンウィークはちょうど雪解けの時期。豊富な雪解け水が流入するので、梓川は独特の色になっている。

夏の梓川

夏だと、さらに水の青さと透明度が増す。雪解け水が長い間地下を流れ、冷たさを保ったまま、さらに清らかな水となって梓川に注がれるからだ。(写真は7月の梓川:河童橋から4km上流の明神にて)
梓川は上高地を出るとすぐ、温泉地帯に入る。北アルプス唯一の活火山である焼岳の麓を流れることで、様々な鉱物が流入し、残念ながらあの美しい青い透き通った水の色は失われる。
松本市内に流れ込んだ後、梓川は奈良井川と合流し、やがて日本海へ注がれる信濃川へ長い旅に出る。

大正池から上高地へ残雪のハイキング 

大正池から河童橋までは、気持ちのいいハイキングコースが整備されている。約4km、1時間の気持ちいい自然散策だ。ここを雪もまだ残る、ゴールデンウィークに歩いてみた。
大正池のアクセスは上高地のバス停のひとつ前、大正池ホテル前で降りる。ただし本格的なハイキングになるので、リュックと最低でもスニーカーの準備はほしい。大正池の河原は焼岳や穂高連峰を眺められる絶好の場所。ここでのお弁当なども、とても気持ちいい。
大正池には木道が整備されており、所々、イワナの魚影を見ることができる。少しずつ緑を纏い始めた木々の間を雪を頂いた山々を見ながら歩く。足元には、雪解け水が、春の小川となって流れている。大正池から約20分歩くと、急に目の前が開ける。

冬の田代池

ここは『田代池』。池と言っても水はそんなにない。緩やかな水の流れがある、湿地だ。冬だと、その流れさえも雪の中に閉じ込められている。ここから見る穂高連峰の姿はとても美しく、よく絵はがきなどに使われる。
田代池からはコースが別れる。梓川コースと、林間コースだ。林間コースはゴールデンウィーク時期には雪が多いと除雪がされていない。ここは梓川コースに進む。梓川コースは梓川の美しい流れと焼岳の勇姿が楽しめる。

春の焼岳と大正池

梓川の河原も広く、休憩したり、景色を眺めるにはもってこいだ。ここから見る景色は、まるでカナダの手付かずの大自然を思わせる。氷河から溶け出した水が、ゆっくりと悠久の大地を流れていく。そんな景色が日本にもあるのだ。もちろん、今の上高地には氷河はない。しかし、「カール」と呼ばれる氷河の跡が、穂高周辺の山々にはたくさん残っている。カナダの氷河の景色と似ているのは、その名残があるからだろうか。
やがて道は、田代橋・穂高橋と呼ばれる立派な橋の横に出る。ここを右に行けば、上高地帝国ホテルだ。山岳リゾートを代表する、立派なホテル。1泊3万円以上する超高級ホテルだ。
直進すると、自然が色濃い散策路。今回は左にまがり、橋を渡る。梓川の右岸(下流に向かって右側)に渡ると、ここにもホテルが軒を連ねている。温泉もある、立派なホテル。こんな山奥にあるとはとても思えない。ここのホテルも1泊2万円以上。なかなか敷居が高い。何度も上高地には来ているが、上高地では山小屋風の相部屋旅館にしか泊まったことはない。最近では、外湯ができるホテルもあるので、次はチャレンジしてみようかな。
ホテルの近くには、ウェストン碑がある。明治時代に日本を訪れ、「日本アルプス」を命名した英国人のウォルター・ウェストン。この地をこよなく愛し、日本の近代登山の発展に貢献した彼の業績を称えている。
再びホテルが並ぶ場所に出てくると、急に対岸に賑わいが出てくる。上高地バスターミナルだ。間もなく、上高地で一番有名な場所かつ、一番賑わう場所、『河童橋』の対岸に到着する。

上高地の宿泊情報

上高地・河童橋の付近には多くのホテルがあります。山の中の施設とはいえ温泉つきのゴージャスなホテルからシンプルながらも河童橋の美しい風景を客室から楽しめるホテルまで。宿泊料金はどの宿も少し高めですが、宿泊者しか眺められない流れ星が飛び交う満点の星空の下での上高地の滞在は忘れられない夜になるでしょう。

■ 上高地の宿・ホテル一覧

上高地

場所:長野県
交通:長野県松本ICから車で約1時間、沢渡駐車場にてシャトルバスに乗り換え
   松本電鉄新島々駅から上高地行きバス乗車
   岐阜県高山より約1時間、平湯温泉より上高地行きシャトルバス乗り換え
付帯設備:上高地ビジターセンター・キャンプ場・食堂・土産店・ホテルなど
近隣観光地:乗鞍高原、野麦峠、新穂高ロープウェイ

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