宝厳寺(ほうごんじ)【一遍上人生誕地】

愛媛を代表する観光地「道後温泉」。道後温泉本館を中心として、何軒もの旅館が軒を連ねる温泉街が形成されている。見た感じ、整備された温泉街ではあるが、道後温泉は日本最古の温泉。付近には歴史あるスポットも残っている。

道後ネオン坂

道後温泉本館から脇道をさらに奥へと進む。小規模な旅館が続くエリアになる。その中から、東側へと坂道を上る一本道。ここが「道後ネオン坂」だ。ここはかつての歓楽街で、遊郭が軒を連ねていた。夏目漱石の松山を舞台にした小説「坊っちゃん」に登場した遊郭は、このネオン坂のことである。
昭和時代は赤線だった場所だが、今は風俗街は別の場所にあり、今は寂れた通りになっている。ただ、昭和レトロな建物は一見の価値があり、当時の看板など見ていると面白くもあり、哀愁も感じる。中には今もまだ幽霊のようにこっそりと営業している店もあるとかないとかの噂を聞く。

※現在の道後ネオン坂は再開発が開始されました。

宝厳寺

俗世の象徴であったさびれた歓楽街を抜けると、突然立派な寺が現れた。ここが「宝厳寺」(ほうごんじ)665年創建された寺である。歴史ある寺だが、寺院としてよりも歴史的人物の生誕地として知られている。
日本史の教科書で誰もが一度はその名を聞いたことがあるかと思う。ここは「踊念仏」の時宗の開祖、一遍の生誕地である。一遍は鎌倉時代の1239年、伊予国の豪族の息子として、この寺で生まれたとされている。訪れたのは11月。色づいたイチョウの巨木に護られた古刹は趣がある。門前町になっているのがあのネオン坂というのも、とにかく不思議に感じる。しかし、今はまた、それがどこか異国風情があって、面白くも感じる。

宝厳寺山門

立派な宝厳寺の山門。名寺としての威風を感じられる。四国はお遍路の国。そのため、四国の寺はほとんどが「真言宗」である。その中でもこの宝厳寺は珍しく「時宗」の寺。時宗の寺に参拝するのはたぶん初めてだ。

宝厳寺の庭

宝厳寺には一遍上人立像という1475年に作られた重要文化財の木像がある。しかし、境内の内部や本堂はどこにでも普通にある寺。観光客が訪れて参拝する構造にはなっていない。その代わり、きれいに整備された庭は自由に散策できる。「一遍上人生誕地」という石碑があったり、一編の歌碑が置かれている。秋の彩の中、歴史とノスタルジックを感じる散策だった。宝厳寺の前から細い道と階段を経由すれば、道後温泉の街並みを一望できる「伊佐爾波神社」にたどり着く。京都の石清水八幡宮、大分の宇佐神宮とこの伊佐爾波神社にしかない八幡造の社殿で、一見の価値がある。道後温泉の奥には、歴史ある寺社やディープなスポットが目白押し。温泉を楽しんだ後は、散策で足を伸ばしてみるのも楽しい。

※残念ながら、2013年8月に火災のため、本堂と一遍上人像は消失しました。 現在本堂は再建されており、山門は火災を免れています。

道後温泉の観光と宿泊情報

日本最古の温泉とされる道後温泉には、数多くの宿があります。どの宿にも趣向をこらした温泉を楽しめ、さらには湯篭をもって浴衣姿で道後温泉本館や椿の湯といった外湯巡りも楽しめます。道後温泉から伊予鉄道の駅に続く商店街「道後ハイカラ通り」にはたくさんの店が並んでおり、各ホテルの軒先には無料の足湯があり、道後温泉は散策するにはもってこい。海にも近く美味しい魚を食べられる店も多数。毎時0分に稼働するからくり時計も見応えがあって楽しく、ゆっくりと宿をとって道後温泉を楽しみたいですね。

【道後温泉の宿一覧】

宝厳寺

住所: 愛媛県松山市道後湯月町5-4
電話: 089-946-2418
交通: 伊予鉄道・道後温泉駅から徒歩10分
参拝: 無料・自由

【投稿時最終訪問2010年11月】

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