美瑛・赤い屋根の家
北海道を代表する風景の宝庫ともいえる美瑛。丘の上に立つ木々など、いまやおなじみの風景ではあるが、この風景を一躍有名にしたのは写真家の故前田真三氏であろう。有名な美瑛の写真の多くは、氏の写真だ。この美瑛の風景に魅せられ、美瑛を撮り続けた前田氏の写真は、今も多くの人をこの美瑛に魅せられ、通うきっかけとなっている。
実は僕もそのひとりで、はじめて美瑛に訪れた時、前田真三氏の写真ギャラリーである「拓真館」を訪れた。無料の施設ということで訪れたのだが、そこでその美しい写真に魅せられた。特に僕が一番美しいと思ったのは、丘の中にポツンと建つ赤い屋根の一軒家。何度かその後美瑛に訪れ、その風景を探したが、結局はどこの写真かわからなかった。
最後に北海道に行ってから8年という時は流れ、今やインターネットでなんでも探せる時代になった。再び美瑛に行くと決めた時、おもむろに検索してみると・・・すぐに場所が分かった。なるほど、こんな場所にあったのか。有名な木や丘とは少し離れた場所にある。
これぞ北海道といえる美瑛の丘陵風景
レンタカーを走らせ、何とかこの風景を見つけることができた。ずっと見てみたいと思っていた風景。それが今、目の前に広がっている。妻と子供を車に残し、急ぎカメラを片手にこの風景の端にやってきた。空を渡ってくる風がとても気持ちいい。漲る充実感を感じながら、僕はファインダーを覗いて、この風景を切り取った。
しかしこの風景、ネットで場所を突き止めたからといって、簡単に見れるものではなかった。当然この風景、普通の民家と畑なので、「セブンスターの木」や「マイルドセブンの丘」のように、看板は一切無い。周辺の案内看板もなければ、駐車場もない。当然車のナビにも、地元のパンフレットにも載っていない。
さらには森が途切れた隙間から一瞬だけ顔をのぞかせる場所にあり、知らなければ当然気づく事も出来ない。「この付近にある」と目星をつけて警戒していたこと、一眼レフと三脚抱えた先客が車を停めていることで、かろうじて気づくことができた。
最近では時々旅行雑誌に載っているが、他の名のある有名スポットと違い、訪れる人はとても少ない。車は少し広くなった路肩に停め、畑の縁まで歩み寄る。当然ここに広がるのは個人所有の民家と畑。勝手に入ることは許されない。それだけに、看板も立てられず、案内に乗ることもほとんどない。最近の観光客の増加もあってか、「畑に立ち入らないで」という立札が方々にあるのは痛々しい。
パッチワークの丘に立つ、赤い屋根の一軒家はとても印象的。まさに美瑛の人と自然の営みが調和したような風景だ。背後の畑にはトラクターが止まっていて、まさに農作業中。人が住んでいるのか、それとも作業小屋なのかはわからないが、ここで農作業の休み時にコーヒーでもすするというのは、旅人からすると何とも贅沢な時間に感じる。もし、あの家に住んでいたら、いったいどんな風景に包まれた生活があるのだろう。まるでおとぎ話の国に出てきそうな風景に向かい、いろいろ想像しながらシャッターを押す。
家のある丘から目を反対の丘にやると、一面のジャガイモ畑の中に立つ1本の木。これも北海道の代表的な風景。しかし、この木には「~の木」という名前はない。無名の木だ。実はこんな1木だけ木が立っている丘は美瑛にはいくつも点在する。農作業の時の休憩のための日陰だろうか。何のために1木だけ木を植えている、残しているのかはわからないが、とにかく素晴らしい風景である事には間違いない。
美瑛・富良野の宿泊情報
美瑛と隣接する富良野にはプチホテル・ペンションをはじめリゾートホテルが多くあります。 美しい丘をはじめとする北海道らしい風景の中にあり、美瑛や富良野の特産物を使った美味しい食事が自慢のホテルも多数。
このエリアには見どころが多いので、ぜひ宿泊してゆっくり美しい風景を満喫したいですね。
赤い尾根のある丘
場所: 北海道上川郡美瑛町三愛
電話: 0166-92-4321
交通: JR美瑛駅より車で約10分
駐車場: なし(広い路肩あり)
【投稿時最終訪問 2018年3月】