滑川渓谷【渓谷一面の巨大な氷柱群】

愛媛県滑川渓谷。夏には涼求められる場所として人気の場所だ。しかし冬はここは知る人ぞ知る、巨大なツララが一面にぶら下がる氷の名所となる。国道11号線、桜三里パーキングを過ぎてすぐのところに滑川渓谷に向かう県道302号線の入口がある。細い1車線の道だが、この奥にも集落があり、所々は広くなっており、離合のできる場所もある。ただし、滑川渓谷のつららを見に行くなら道には積雪があるので、4WDの車でなければかチェーンは必要だ。
「海上」という集落の一番奥に滑川渓谷の入口がある。ここには500円の有料駐車場があるが、冬場は凍結していたり、積雪があったりなどで車も6,7台しか停められなくなるので、早目の到着が良いだろう。駐車場からは渓谷沿いの道はは雪は踏み固められており、凍っている箇所も増える。冬季に訪れるならアイゼンなど滑り止めの装着を強くオススメしたい。

巨大なツララがいくつもぶら下がる神秘的な滑川渓谷

冬の滑川渓谷

川沿いを歩くと、さっそく巨大なツララ群に遭遇する。岩壁一面にツララがぶら下がっている神秘的風景。温暖なイメージが強い愛媛とは思えない場所だ。

滑川渓谷のツララ

ぶら下がる無数のツララ。これだけの数のツララを見る機会もなかなかない。まるで切通のように一枚岩を川の流れが削り取った岩の谷間が続き、その谷間一面に無数のツララがぶら下がっている。

滑川渓谷のツララ

オーバーハングした岩から垂れ下がったツララは木の枝と合体したり、地面にたどり着いたりして、とても巨大なものに成長していく。とても不思議な光景だ。

ツララの滑川渓谷

滑川渓谷には冬でもツララを見に大勢の人が訪れている。その人と比べるとツララの巨大さがよくわかる。大きなツララはその長さ2mを超えている。しかし、少し寒さが緩んだせいで、ツララは随分溶け出していた。足元には何本も岩からはがれて落ちたツララが転がっている。撮影中は落ちてきたツララが頭に刺さらないように、細心の注意を払って・・・地元の方の話だと、寒い時だと岩肌一面に、上から下まで4~5mのツララに覆われたこともあるという。そして、寒暖の差で、融けては凍り、を繰り返しツララは成長していくのだそうだ。。
今日は「融ける」日だったようだ。また寒波がくると、さらにツララは大きくなる。そのようにツララは溶けては凍りを繰り返し大きくなっていく。
さて、ここでツララの横には鉄ハシゴがある。ここを登ると、本格的に渓流を登っていくことになる。何度か雪の積もった木の細い橋で川を横切りながら、川沿いの道を登っていく。

氷と岩に覆われた滑川渓谷のアイスウォーキング

凍結した滑川渓谷

渓谷の水の流れは冷たい。谷筋を山から下り降りる空気も付近を凍てつかせていく。淵では流れが止まったかのうに、水面は凍ってしまっている。

滑川渓谷のツララ

美しい自然の造詣。しかし、それは牙をむいて僕たち人間に襲いかかろうとしている獰猛さとも感じる。この美しく透き通った自然のオブジェクトは、解き放たれれば冷酷な刃となって僕たちに降り注ぐだろう。

滑川渓谷冬の奥の滝

凍てついた渓谷を遡上すると、大きな絶壁と滝が行く手を阻む『奥の滝』に出る。遊歩道はここまでだ。この滝の周囲は360度、オーバーハングした崖に囲まれている不思議な空間。唯一のこの空間への入口となる川の流れも、大きな岩で蓋をしたみたいになっている。

滑川渓谷のツララ

岩がオーバーハングしているので、ツララが気持ちいいくらいに豪快にぶら下がっている。何重にもぶら下がるその風景は壮絶だ。

滑川渓谷のツララ裏見

気をつけてオーバーハングの下に入れば、裏見滝ならぬ裏見氷柱。自然が作り出した美しくも不思議な風景にしばし見とれてしまう。さて、十分に冬の渓谷美を楽しんだので帰路に着く。

凍結した滑川渓谷

「滑川」と言うだけあって、この渓谷の水は1枚岩の上を流れている。それゆえに流れは広がり、浅くなる。アイゼンをつけているので、爪のおかげで靴底は5cmほど地面から浮いている形になる。そのおかげで、この渓流の浅い流れにはそのまま立ち入ることができる。滑らかな一枚岩の上を川は滝になって流れ落ちている。その落ち口から滝の下を覗いてみるとなかなかのスリル。凍てついた滝を落ちるところから見下ろすことはなかなかできない体験だ。
無事に駐車場まで戻りアイゼンを外す。来る途中、少し付近の様子が気になったので、車道を歩いて少し雪国を散策してみる。この散歩、思った以上にとても気持ちいいものだった。凍結した道をゆっくり歩き、集落の中に入る。ここの集落はまるで時間まで凍りついたようで、日本の原風景そのものに感じた。

付近の山里は日本の冬の原風景

冬の日本

ほとんどの建物は土壁。傾斜のきつい三角屋根。軒下に干された大根や柿。積み上げられた大量の薪。家の周りには畑。そして畑の脇には樽が蓋をされて置いている。おそらく何か漬けているのだろう。

雪国の畑

雪の積もった畑では白菜を凍らしている。テレビでこうやって収穫せずに冬に雪の下で保管することで甘味が増すとかしていたのを思い出す。古の技で暮らす自給自足の生活。美しい日本の農村の冬の風景がここにはあるように感じた。

霧氷の山

家々の後ろにそびえる山々は真っ白になっている。おそらく霧氷がいっぱいだろう。この集落に恵みを与えてくれる母なる山だ。
びっくりしたことに、民家の庭に小さなカマクラがあった。まさか、松山から車で40分のところに、カマクラが作れるようなところがあるなんて・・・雪国の原景色が、瀬戸内海に程近い、山の中に広がる不思議な場所だった。

滑川渓谷

場所: 愛媛県東温市明河
電話: 089-964-4414(東温市役所 産業創出課 )
交通: 松山自動車道 川内ICより約30分
料金: 無料
駐車場: 10台(500円)
【投稿時最終訪問 2006年1月】

滑川渓谷付近の宿泊情報

滑川渓谷のある東温市の人気の温泉は「見奈良天然温泉利楽」です。ショッピングモール内にあり、広い大浴室に多くある家族風呂が人気。宿泊も可能です。冬の滑川渓谷のツララを楽しんだ後、隣接する見奈良の菜の花畑もオススメです。

【道後温泉の宿一覧】

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