霧ケ峰・八島ヶ原湿原プチトレッキング
標高1925mの霧ヶ峰の車山を主峰とした霧ヶ峰。その名の通り、多く霧がかかり、夏でも涼しい高原。霧ヶ峰の中にはビーナスラインが走り、美しい大自然をめぐる気持ちよいドライブが楽しめる。その途中にある見所ひとつが「八島ヶ原湿原」だ。
八島ヶ原湿原は、標高1632mにある日本最南端の高層湿原で国の天然記念物。1周を約1時間半かけてまわる遊歩道(木道)も整備されているので、散策にはもってこいの場所だ。訪れた日は霧が出ており雨が降る直前。約90分で1周できるが、天気の様子を見ての少しだけトレッキングに出発する。
ニッコウキスゲが美しい7月の八島ヶ原湿原
駐車場奥、ビジターセンター横の地下道が八島ヶ原湿原の入口だ。地下道をくぐると、湿原を見下ろす広場に出る。残念ながら湿原は深い霧の中で何も見えない。しかし、そんな中でもはるばる遠方からやって来た登山者の目を楽しませてくれるのはこれだ。
夏の霧ケ峰を一面に彩るニッコウキスゲ。可憐な黄色い花がとても美しい。ニッコウキスゲは朝方に開花すると夕方にはしぼんでしまうユリ科の多年草。霧ケ峰のニッコウキスゲは7月に花を咲かせ、一面に咲き乱れることで有名だ。遊歩道の到る所で見ることができ、出会うたびに足止めを食らう。
歩き始めた当初は真っ白な霧に包まれていた湿原だが、少しずつ霧が晴れてきた。八島ヶ原湿原の東側から雲が風に吹かれて山の下から登ってきている。湿原は山の窪地になっているので、複雑な空気の対流が発生し、霧のカーテンを時々開いてくれる。
霧は灰色の空からゆっくりと天幕のようにぶら下りながら、風に引っ張られる。湿原の中を引きずられるように、雲のカーテンが何度も何度も行き来する。音もなく宙を渡っていく霧を見ているととても神秘的。青空と緑のじゅうたんの夏の湿原の光景もいいが、こうやって霧に包まれていても神秘的な雰囲気を感じられるのが、湿原の美しさだと思う。
霧の立ち込める幻想的な八島ヶ原湿原
やっと湿原の対岸が見えてきた。広い草原の中に鎌ヶ池が広がり、その奥には手つかずの原野が広がる。なんとも素晴らしい風景の連続。幾度となくこの風景は、僕の足を歩いている木道に釘づけする。
木々の間から覗く湿原。緑のじゅうたんの上には水が並々と満たされ、所々に様々な高山植物の花が咲き彩りを添えている。花を愛で、霧が晴れるのを待ちながら歩いたせいで、1時間かけてやっと湿原1周の1/3である鎌ヶ池キャンプ場に到着。ここからの道は砂利道で、車も入れるようになっている。残念ながら、今まで持っていた天気がもうすぐ崩れそうだ。これ以上進むと雨に降られそうなので、急いで来た道を戻った。駐車場に戻り車に乗り込むと、にわかに雨が降り始めた。
駐車場には「八島ビジターセンターあざみ館」があり、八島ヶ原湿原の生い立ちなどの展示を楽しむことができる。無料の施設なので、八島ヶ原湿原の散策の後には、ここもじっくりと見学したい。また、八島ヶ原湿原入口は木道が続いており、そこからでも美しい湿原の風景を望むことができる。時間があまりない、小さな子連れの時でも、少しだけ立ち寄って美しい風景を堪能することができる。
■八島ヶ原湿原がすぐ目の前の山小屋
八島ヶ原湿原
場所:長野県諏訪郡下諏訪町八島高原10618
電話:0266-52-7000 (ビジターセンター)
交通:長野自動車道岡谷ICより車で約50分
駐車場:約100台(無料)
入場料:無料