大山祇神社 【国宝武具が数多く奉納された歴史ある神社】

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瀬戸内海に浮かぶ大三島。しまなみ海道で本州・四国と地つながりになったとはいえ、長い間船でしか行けない島だった。その島に、太古の昔より、朝廷や武将、そして近代・現代日本の要人から熱く信仰されている神社がある。それが「大山祇神社」である。

数多の国宝武具が奉納されている総本山の神社

大山祇神社鳥居

古より海運が発達していた瀬戸内海に浮かぶ大きな島、大三島。瀬戸内海は潮流が速く、航海には相当の技術が必要だった。かつては村上水軍や能島水軍など、航海術に優れた水軍がこの海域を牛耳っていた。しかし、今はその潮流のはるか上を自動車を走らせ、あっという間に本州・四国からたどり着けるようになった。
かつては日本を動かしてきた多くの実力者たちが、長い航海の末にたどり着いた大山祇神社の入口。狛犬が守る鳥居の奥には、緑に囲まれた参道が続いている。

大山祇神社参道

参道を行く。神社はうっそうとしていたり、山へ登って行くところも多いが、ここは開放感があり、とても平坦だ。
この神社は592年にこの地に建立されたとされ、平安時代には朝廷から「日本総鎮守」の号を下賜されているそうだ。全国の山祇神社、三島神社の総本社である。海運の盛んな地のため海の神として人々の信仰を集めているが、山の神、戦いの神としての尊崇も集めている。
また、古くから多くの武将らが武具を奉納しており、国宝8点、重要文化財13点という、とんでもない数の武具をこの神社は保有している。中には源頼朝、源義経、武蔵坊弁慶、木曽義仲、平重盛といった、歴史の教科書に名を連ねる超有名人物の奉納した品々も。
また、瀬戸内のジャンヌダルクと近年呼ばれる鶴姫が使用したと伝えられる日本で唯一現存する女性用の鎧も展示されている。確かに他の鎧と比べると小柄で、胸の部分がゆったりとしており、ウエストが細くなっている。
それら貴重な武具は隣接する宝物館で見ることができる。入館料は大人1000円と高いが、展示品の素晴らしさを考えると納得のお値段だ。

乎千命御手植の楠

参道の終わりにはとても大きな木が鎮座している。これは「乎千命御手植の楠」
樹齢2600年、根周20m、高さ15.6m、目通し11mもある巨木で、国の天然記念物。その大きさと神々しさは神秘的であり、本当に神が宿ったような楠だ。

楠の森に包まれた歴史と神秘を感じる大山祇神社

大山祇神社神門

楠の向こうには神門がある。巨大な注連縄で飾られた荘厳な造りには、この神社の長い歴史を感じられる。

大山祇神社の巫女

今回、大山祇神社に訪れたのは朝8時過ぎ。まだ参拝客もほとんどおらず、巫女さんや宮司さんが朝の掃除をされていた。凛とした朝の空気の中、境内を掃き清める姿には、美しい伝統と神々しさを感じた。

大山祇神社回廊

回廊の灯籠。新緑が萌える中でも、落ち着いた雰囲気。朝の静寂な空気も手伝って、神の世界を散策しているような気にさせてくれる。

大山祇神社拝殿

神門をくぐるとそこは拝殿。500年以上前に建てられた拝殿は国の重要文化財に指定されている。朝早くにも関わらず、島遍路をするお遍路さんや、観光客、地元の方が参拝に訪れている。
ここは四国で唯一の大社であり、その信仰の厚さは肌身で実感できる。四国本島ではなく、かつては船で急流を渡らないと行けなかった離島に、これだけ格の高い神社が鎮座している。

大山祇神社大楠

神門から見返る大楠。この楠を中心に、境内には大小200本余りの楠があり、中には伊藤博文が植えた木もある。

大山祇神社十七神社

神門の前にある「十七神社」
室町時代建立で県の重要文化財。ここには伊予の国の神々が祭られている。

大山祇神社

開放感満点の参道を戻る。とても由緒と歴史ある神社だが、島の穏やかさもあってか、堅苦しくなく、万人を迎え入れてくれる感じの神社だった。
余談ではあるが、この神社では県の無形民俗文化財である「一人角力」(ひとりずもう)という行事がある。毎年旧暦の5月5日に行われ、大山祗神の神霊を慰め、豊作の祈願と感謝をするもので、人間の力士と精霊が相撲で勝負する。精霊の姿は目に見えないため、あたかも力士がひとりで相撲を取っているように見える。そして3本勝負が行われ、必ず1勝1敗で迎えた三番勝負で精霊が勝利して、その年の豊作が約束される。そのユーモアな相撲と、どこかよく見かける「接待の一幕」のような神事には、毎年多くの人が訪れる。

大三島の宿でゆっくりできる宿

【しまなみ海道の島宿一覧】

大山祇神社

所在地: 愛媛県今治市大三島町宮浦3327
電話番号: 0897-82-0032
期間: 通年
休み: 宝物館は無休
時間: 境内自由(宝物館は8:30~16:30)
交通: しまなみ海道(西瀬戸自動車道)大三島ICより車で約8km
   JR予讃線今治駅から瀬戸内海交通バス大三島行きで1時間、大山祇神社前下車、徒歩5分
駐車場: 隣接有料駐車場
    徒歩1分「道の駅・しまなみの駅御島」(30台)「大三島藤公園」(50台・無料)
料金: 大山祇神社宝物館 大人1000円、高・大学生800円、小・中学生400円
  (海事博物館と共通)

【投稿時最終訪問 2009年5月】

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