コペペ海岸【トーチカと大砲が残る小笠原の海】

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初寝浦展望台を車で出発。山の中を走りぬけた夜明道路はどんどん標高を下げ、海辺へと戻ってきた。次に小笠原在住の知人が連れて行ってくれたのは「小港海岸」。
真っ白の砂、青い海の絶好の海水浴スポットだ。マングローブ生い茂る八ツ瀬川が流れ込み、シーカヤックの絶好の遊び場でもある。今日は天気が悪く大荒れのため、別のビーチへ移動する。

青い海が美しいコペペ海岸

コペペ海岸

さて、小港海岸から車で走り、次に訪れたのは「コペペ海岸」というビーチ。ギルバート諸島出身の先住民「コペペ」が利用していたことがこの海岸の名の由来らしい。
駐車スペースに車を停め、小さな川を渡るとビーチにたどり着く。このビーチにも立派なトイレと東屋がある。小笠原のビーチはとても整備されている。

コペペ海岸

しかし目の前には荒れ狂う太平洋。もうこうなると、単なる旅人は何もできない。ただ、現地の真黒に日焼けしたサーファーたちだけが、このビックウェーブを楽しんでいる。この海を眺めていると、地元のサーファーが、荒れる青い海へと挑んでいった。

コペペ海岸

大荒れの海の向こうに見えるビーチが、先ほど訪れていた「小港海岸」
車ではずいぶんと大回りしたが、直線距離だとすぐそこだ。
「海が穏やかなら、車で行くより泳いで行ったほうが早い」と地元の人は言う。
さて、ビーチを後にすると、案内をしてくれている知人が僕のためにとある所に連れて行ってくれるという。道標も何もない、ビーチ近くの道から登山道に入っていく。

コペペ海岸に眠る太平洋戦争当時のままの戦跡

コペペ海岸象鼻崎

山道の途中から海を見下ろす。海の向こうに見える崖は確か、象鼻崎だっただろうか。その断崖絶壁にぽっかりと正方形に穴があいている。
どう見ても人工的に作った穴。あれもトーチカだそうだ。あの穴から島に接近する敵軍に砲撃を加えていたようだ。小笠原の海岸には、あのようなトーチカが本当に無数に残っている。

コペペ海岸のトーチカ

さらに山道を奥に進むと、山の崖にぽっかりと穴があけられている。入口はコンクリートで補強されていて、明らかに人の手で作られたものだ。
これがトーチカの入口。このようなトーチカがこの崖沿いにいくつも並んでいる。知人が連れてきてくれたのは、これらのトーチカのうちのひとつ。そのトーチカの中に入っていく。

コペペ海岸の戦跡

トーチカの入口は先日の雨でとてもぬかるんでいる。真っ暗な中、差し込む明かりを頼りに奥に進む。
行き止まりでは先に進んでいた知人が大きな窓から海を眺めている。なかなか絵になる風景だなぁと思っていると・・・

知人の横にあるのはまさか??

コペペ海岸の大砲

大砲だ。
台座から脱落し、錆びついているが、まぎれもなくこれは大砲だ。
小笠原では人が立ち入らないような山の中には、いまだに旧日本軍の兵器が眠っていると聞いていた。しかし、こうやって本物を見られるとは思ってもいなかった。実際に戦争に使われていた兵器が、その現場でそのままの状態で見るなんて、本土では絶対にありえない。信じられない、とてもショッキングな光景だ。
窓際に刻まれた数字は砲撃の角度を示したものだろうか。恐ろしいほどの戦争の臨場感が、ここには未だにそのまま残っていた。

コペペ海岸の砲台

今も大砲が狙い続ける青い海。今は平和で穏やかなこの太平洋も、70数年前は恐ろしい風景が広がっていたのだろう。
ここに身をひそめて迫りくる敵と死の恐怖に兵士たちは戦ってたと思うと、何とも言えない気持ちになる。今も小笠原の地は、戦争の記憶を今につなぎとめている。
最後に、この大砲が残るトーチカの場所は非公開とさせていただきます。トーチカ内部は崩壊の危険性もあり、貴重な戦争の遺産が眠る場所は軽い気分で訪れるべき場所ではないと思います。比較的この場所の情報は現地で手に入るようなので、ここを訪れたい方は自身で場所を探すか、ツアーガイド同伴で訪れてください。

小笠原・父島の宿泊情報

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コペペ海岸

場所:東京都小笠原村父島コペペ
交通:二見港より車で約15分
駐車場:約5台、無料

【投稿時最終訪問 2008年1月】

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