天橋立智恩寺【日本三大文殊】
京都府の日本海側の最大の名所といえば、日本三景のひとつに挙げられる「天橋立」でしょう。その天橋立の南側の付け根に位置する場所にある「智恩寺」は、平安時代(904年)に創建された歴史あるお寺で、安倍文殊、亀岡文殊と並んで「日本三大文殊」のひとつとされています。智恵や学問の神として、多くの方が参拝します。天橋立の入口にあたるため、ぜひ観光と一緒に参拝したいお寺です。
威厳を感じる智恩寺の巨大な山門
智恩寺の入口にある巨大な山門である「三門」。「黄金閣」と称され、建立されるにあたって後桜町天皇より頂いた黄金が名前の由来となっています。江戸時代である1767年に建造された歴史ある建物で、威風堂々とした巨大なその姿からは風格が感じらます。
門をくぐると驚くのがその奥行き。門の中はまるで社殿のような広さで巨大な提灯が釣り下がっています。丹後地方では最大の山門で、柱の太さや造りの堅牢さなど、見ているだけでも通る人を圧倒します。
智恵の神である文珠菩薩を祀る本堂
三門をくぐって右側には3体の地蔵菩薩が鎮座しています。錫杖と宝珠をもった姿はとても神々しく、室町時代に造られた地蔵さまだそうです。境内には松の木がとても多く、どれも立派な木で、歴史的な建造物と合わせて美しい寺社風景を造り出しています。
智恩寺の本堂である「文殊堂」にはご本尊の文殊菩薩がお祀りされています。文殊菩薩は普段は見ることが出来ない秘仏で、年に数回、行事に合わせて御開帳されます。また、文殊堂の周囲には多くの絵馬が奉納されています。合格祈願から学業向上など、多くの人の祈りが捧げられています。それだけ日本を代表するご利益のある学問の神。お参りの際には絵馬を奉納して、成就祈願したいですね。
文殊堂の前では線香と木が焚かれており、煙が立ち上っています。特段案内はありませんが、この煙を頭に浴びてご利益を得ようとする人も多くいます。少し煙たいですが、潮風と相まってとても心地よい香りとなります。
丹後地方最古の古刹の多宝塔
境内でひときわ目につく建物が「多宝塔」です。室町時代(1501年)建立とされており、国の重要文化財に指定されています。丹後地方では湯唯一の室町時代の建造物です。
築500年を超える多宝塔はからは神々しさがあふれています。建築様式や木材の経年など見ているだけでも歴史ロマンを感じます。中には大日如来が安置されています。室町時代の画家である雪舟の絵にも、その姿が描かれているそうです。
天橋立と智恩寺の美しい風景
智恩寺での手水鉢「鉄湯舟」は、もともとは湯釜として利用されていたものが転用されました。鎌倉時代(1290年)に造られた鉄製の湯釜で国の重要文化財に指定されています。何百年も前の立派な湯舟が、今は神社の参拝のお清めに使われているのはなんとも感慨深く、とても重厚な雰囲気が漂っています。
また、松の木にぶら下がっている小さな扇子はおみくじ。知恩寺のおみくじは扇子型をしており、扇子を開けるとその結果が分かるようになっています。ついつい持ち帰りたくなりますが、やはり悪い結果だと普通のおみくじと同様に境内に結び付けて帰りましょう。こうやっていくつもの扇子が吊り下がっている光景は、智恩寺の風景のひとつだといえます。
智恩寺の北側は天橋立に続いていますが、まるで川のようになっている海を渡ります。ここは昔から天橋立の内側に入るための水運に利用されており、今もボートや遊覧船が頻繁に行き来する場所です。ここに江戸時代、航海の安全を祈願して「知恵の輪燈篭」が建てられました。
この知恵の輪燈篭を3回くぐれば文殊の知恵を授かるという言い伝えがありますが、サーカスの獣でないとできそうにありません。頭を使って成就できれば、確かに何か知恵を授かりそうな気がします。
■智恩寺徒歩すぐの温泉旅館
天橋山 智恩寺
場所: 京都府宮津市字文珠466
電話: 0772-22-2553
営業時間: 8:00~17:00(社務所・駐車場)
休業日: 無休
料金: 無料
交通: 京都縦貫道・宮津天橋立ICより約10分
京都丹後鉄道・天橋立駅より徒歩5分
駐車場: 100台 (1日700円)
【投稿時最終訪問 2014年7月】