白糸の滝 【愛媛県東温市・隠れた名瀑】

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東温市の「白糸の滝」は湧水流れる集落の外れから小さな滝が連続する渓流を遡りたどり着く滝で、落差がありながらも滝に触れられる迫力があり美しい滝です。
全国各地に点在する「白糸の滝」。有名なものは富士山麓の「白糸の滝」や軽井沢の「白糸の滝」だが、意外に全国に「白糸」の名を持つ滝は多い。滝は白い糸を垂らしたように見えるので、この名がつけられることがやはり多いようだ。
愛媛県東温市にも白糸の滝がある。全国的には知名度はとても低い「白糸の滝」だ。はたしてどのような滝なのか、訪れてみることにした。

美しい農村の奥にある秘密の滝

白糸の滝へ向かう林道

「白糸の滝」があるのは東温市の「湧水地区」。ブナの原生林と四国でも珍しい高層湿原がある「皿ヶ嶺」への登山をするときに通過する場所だ。
「湧水」という名の通り、ここは美しい湧き水に満たされ、眼下に道後平野を見下ろす見事な田園風景が広がる場所。日本の原風景のような集落の奥に、山の中をかき分けていくような林道が続いている。林道の道幅は1車線で離合する場所はとても少ない。道もとても細い。車はこの滝に行く人しか通らないが、離合に自信がない人、大きな車で下草にすりたくない人は「湧水」の集落に車を置いて歩こう。滝の入口までは約600m。歩けば10分足らずだ。林道の入口前の県道には広い路肩があるので、そこに車を置くといいだろう。

何回か角度のきついカーブを曲がり、坂を登って行くと滝の入口に到着する。駐車場はないが、路肩が広くなっていて車を3~4台ほど駐車できる。ただ、転回するスペースが少ないので大型車や紅葉の季節で見物客が多い時はちょっと駐車は難しいかもしれない。まだ上にも道路が続いていて、転回や駐車できるスペースがあるかもしれないが今回は未確認。ちなみに林道は地図で見ると、ここから少し行ったところで行き止まりになっている。

東温白糸の滝の入口

駐車スペースからすぐの所に滝の入口がある。看板が丁寧に出ているので、迷うことはまずない。入口から滝までは約370mほど歩くことになる。湧水の集落から歩けば約1kmの行程になる。

小さな滝が連続する気持ちよい渓流歩き

白糸の滝への遊歩道

滝への遊歩道は結構登らないといけないが、よく整備されている。何故か道の脇に続くガードレールがとても不思議だ。そして歩道橋のような立派な橋脚が何本も谷にかけられていて、川を渡り、そして登り、白糸の滝を目指す。

あれが白糸の滝かな?遡る渓谷には、何度もそう思いたくなるような小さな滝が連続している。見上げると、どこまでも小刻みの滝が続いている。これだけでもなかなか素晴らしい風景だ。しかし、その分登りはきつく、どこまで歩けば滝に到着するのかと、少し不安にも思ってしまう。

滝に打たれるほど近づける白糸の滝

白糸の滝

何度か橋を渡り道を行くと、目の前に大きな滝が見えてきた。その滝は、今まで連続していた小さな滝とは明らかにスケールが違う。
やっと到着。ここが愛媛県東温市の「白糸の滝」だ。マイナーな滝だが、思った以上に立派。水量もなかなか豊富で、見ごたえは十分だ。
訪れた時は紅葉にはまだ早い時期だったが、周りにはモミジの木がとても多い。ここは紅葉の時期にはとても美しくなり、訪れる人も多くなるだろう。また、桜の時期にも一度訪れたが、その時は滝の上の山肌の桜がピンポイントで色づいていた風景がとても美しかったのを記憶している。

白糸の滝

白糸の滝の落差は約30m。滝は3段になっていて、その名の通り1筋の白い糸のように流れおちている。滝つぼはなく、滝の下まで簡単に近づくことができる。
結構な登りで意外に汗をかいてしまった。しかし、この滝が運んでくる山の冷気はとても涼しく、一気に汗が引いて行く。見事な滝の風景、滝の脇に設けられたベンチに腰掛け、しばし楽しむ。
ここはガイドブックなどに乗っておらず、訪れる人はとても少ない秘密の滝。誰もいない滝はとても静かで、自分だけの貸切。滝の水音と木々のざわめきを聞き、マイナスイオンを浴びて瑞々しい緑の薫りを感じる。それだけでも、とても心休まる場所だ。

白糸の滝落ち口

滝の落ち口から迸る水。山の水を集め、一気に崖から落ちる水。周りの空気を一緒に引き落とし、山の上から冷たく澄んだ空気を運んできてくれる。
山の上から届けられる凛とした涼しい空気が里山にも秋の訪れを告げていた。もう山の上は紅葉真っ盛り。のどかな田園風景のこの土地も、やがて真っ赤な色どりに包まれるだろう。

東温市の人気の温泉には宿泊も可能

白糸の滝

場所: 愛媛県東温市上林
交通: 松山自動車道川内インターより車で20分、徒歩15分
駐車場: なし(遊歩道入口路肩に3,4台駐車可能、林道入口路肩に約10台駐車可能)

【投稿時最終訪問 2008年11月】

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