明延鉱山跡

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兵庫県養父市の深い山奥。かつて日本一のスズの生産量を誇った「明延(あけのべ)鉱山」その歴史は古く、奈良時代に東大寺の大仏鋳造のための銅を献上したと伝えられています。かつては多くの従業員で賑わった鉱山街も今は小さな村となり、たどり着くには車で深い山奥まで訪ねないといけません。明延鉱山の選鉱所として栄えた「神子畑選鉱所」を見学したあと、本丸の明延鉱山へと向かいます。

時間があれば立ち寄りたい!当時のままの観光坑道

明延鉱山探検坑道

明延鉱山跡へアクセスする県道6号線を走り、明延鉱山区に入るとすぐに「探検坑道」があります。かつての鉱山施設である世谷通洞を観光施設として開放しているものです。探検坑道の中からレールが引かれており、かつてはトロッコ列車が作業のために中に出入りしていたことをうかがえます。

明延鉱山探検行動

探検行動の見学は通常要予約が必要。4月第二日曜日から10月末の日曜日は予約なしで見学できる「日曜見学会」が開かれています。

明延鉱山探検行動

公開されている探検坑道は総延長650m。立坑跡とエレベーター、鉱山機械、削岩機など当時と同じ姿で展示されています。まるで休業日の鉱山の社会見学のような感じが楽しめます。

明延鉱山跡までも当時の痕跡を垣間見るアプローチ

明延鉱山第一浴場跡

明延鉱山跡へ向かう道沿いに残る公衆浴場の「第一浴場跡」かつて鉱山関係者の人口が4000人を超えていた一帯には6箇所の公衆浴場があり、入浴料は無料だったそうです。現在は明延鉱山に関する資料の保管(不定期に開放)されています。

明延鉱山駐車場

明延鉱山跡手前に広くなっている場所があるので、ここに車を停めます。明延鉱山跡を少し過ぎた所に車を停めてUターンできる路肩はありますが、ここから先の道が荒れているので歩くことにします。

明延鉱山への道

車を降りて明延鉱山跡まで歩きます。といっても5分もかかりません。荒れた山から落ちてきた石が道路に転がっています。

明延鉱山の川

道沿いには川が流れています地質学的に価値があるのでしょうか。河原で石を集めて調査しているような方がいらっしゃいました。

鉱山跡に大接近!驚きの明延鉱山跡

明延鉱山

しばらく歩くと突然目の前が開け、明延鉱山跡がその姿を現します。そのスケールの大きさに、びっくりします。

明延鉱山インクライン

明延鉱山跡の殆どの施設が撤去されましたが、先に訪れた神子畑選鉱所跡と同様、インクラインのレールだけが、錆び付きながらも残っています。

明延鉱山インクライン

急斜面の荒れたはげ山に残るインクライン。かつては忙しく稼働していた施設も時間に身を任せて錆びて朽ちていくだけ。どことなく哀愁が漂います。

明延鉱山

鉱山跡には当然立ち入り禁止。それでも目の前の至近距離で鉱山の核心部が見れる場所は希少です。

明延鉱山の川

鉱山の前を流れる川。透き通っていてとても美しい。かつては一大工業地帯に流れていた川が今はとても美しい流れを取り戻しています。

大地下への入口の坑道入口がすぐそばに

明延鉱山坑道

固く閉ざされた坑道の入口。坑道の最も深い場所は地下1000m。総延長はなんと550km。ここから地下深くまで迷路のようにとんでもなく長い長い坑道が張り巡らされていると思うと、この中がどうなっているのか無性に気になります。

明延鉱山

橋の上にはレールのポイント切り替え装置が残っています。かつては正面の坑口から無数のレールが敷かれていたのでしょう。

明延鉱山通洞

橋の対面の山肌に鉄の扉と踏切の警報器が残っています。岩肌に穿たれた穴を塞ぐ錆びた鉄扉は通洞の入口で、かつては鉱山から運び出された鉱石を運搬するトロッコ軌道がこの中へ続いていたのでしょう。地図や出口のレール跡から考えると、恐らく山向こうの探検坑道に連絡していた坑道かと思われます。

明延鉱山

無作為にかつての繁栄のあとが方々に転がっています。時が立つにつれ、朽ち果ててその姿をなくしていくのでしょう。

明延鉱山

坑道から運び出した鉱石をインクラインで山の中腹の施設に運び上げ、鉱山列車に乗せ、山向こうの神子畑選鉱所跡へトンネルをくぐって運んでいたそうです。中腹にもいくつか坑道の入口があるようで、ここから見るだけでは鉱山の施設跡がどこにどれだけあるかの全貌はわかりません。

明延鉱山

明延鉱山はまだまだ採掘できる鉱床がありましたが、スズの国際的価格の暴落を受けて、無念の閉山になりました。それがなければもっと深くまで掘り進み、今もなお賑やかに巨大な機械が動き続けていたことでしょう。

明延鉱山

建物は撤去されていますが、鉱山跡上部にはいくつもの部厚いコンクリートの基礎が遺跡のように残っています。かつては工場で加工・仕分けをされた鉱石がここで車両に乗せられていました。ここから明神電車が神子畑選鉱所に山を約6kmの「明神トンネル」くぐって鉱石を運んでいました。また、戦後はここから人を明神電車で山向こうへ運ぶようになりました。
今は誰もいない忘れられた遺跡となった明延鉱山。かつてはとても賑わう日本の発展を支えた場所だったのです。

明延鉱山跡の宿泊・観光情報

明延鉱山は「神子畑選鉱所」「生野銀山」「竹田城」と一緒に巡るのがお勧め。 宿泊は、少し車を走らせると関西屈指の温泉「城崎温泉」があります。
せっかくなので、城崎温泉で上質な温泉と美味しい料理を楽しみたいですね。

【じゃらん】明延鉱山の旅の宿には「城崎温泉」がおすすめ

明延鉱山跡

住所: 兵庫県養父市大屋町明延
電話: 079-668-0258(養父市立あけのべ自然学校)
料金: 無料(探検行動は大人1200円・子供600円)
休み: 探検行動は3日前までに予約要
   (4月第2日曜~11月第1日曜までの毎日曜日は予約不要)
営業時間: 10:00~15:00(探検行動)
交通: 北近畿豊岡自動車道養父ICより県道6号線を約40分
   播但連絡有料道路・朝来ICより県道6号線を約45分
駐車場:なし(駐車可能なスペースが付近にあり)

【投稿時最終訪問 2017年4月】

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