生野銀山【地下アイドルに会える広大な鉱山】

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戦国時代に発見され、昭和48年まで1200年の長きにわたって採掘が続けられた日本有数の鉱山である生野銀山。明治時代に政府が日本の近代化を確立するために、はじめて官営にした鉱山です。現在は観光施設として1kmにわたる観光坑道や露天掘りの跡を見学することができます。

見所いっぱい、巨大な生野銀山

生野銀山

生野銀山の入口には立派な菊のご門柱があります。かつては皇室財産になっていた名残のようです。

生野銀山

生野銀山の入口は代官所の門のようになっています。生野銀山は江戸時代には幕府直轄になっており、生野代官所が設置されていました。

生野銀山

湧き出した水に満たされる坑道跡があります。江戸時代に手掘りで掘られたもので、岩盤にはたくさんの削岩機の試し掘りの跡があります。中には小さな祠が祀られていて、神秘的な雰囲気が漂います。

生野銀山鉱山資料館

坑道に向かう途中に「鉱山資料館」があります。生野銀山の歴史などが展示されています。また発電に使われたタービンなどの大型機械も内部で保存されており、なかなかの見応えです。

生野銀山吹屋資料館

鉱山資料館と向かうようにある「吹屋資料館」江戸時代に銀を精錬していた作業所でその様子を電動のマネキンが再現しています。しかしやけに色っぽいマネキン(笑)ここだけでなく、銀山内には日本人の顔立ちではないマネキンたちがいたる所で鉱山の在りし日の様子を再現しています。

生野銀山金香瀬坑口

かつてのメイン坑道であった金香瀬坑口が、観光坑道として使われています。坑道は左から入り、右から出てくるようになっており、内部のその距離全長は約1kmにも及びます。坑口横には二筋の滝が流れ落ちていて、とても不思議な雰囲気を醸し出しています。

生野銀山金香瀬坑口

生野銀山の坑道は総延長350Km。地下880mの深さまで続いています。とんでもなく長く深い地下の世界が、このトンネルの向こうに広がっています。坑道上に続く階段は、江戸時代の露天掘り跡が見られる坑道外コースの入口です。観光坑道を見学したあとに行ってみることにします。

生野銀山金香瀬坑口

さて、お気づきだと思いますが、坑口の付近にもマネキンがいっぱい作業をさせられています。雨風に打たれるところにマネキンを配置しているのはかなりシュール。よく見ると着物はボロボロになっている部分もあり、かなりリアル。ちょっと怖いです。

生野銀山

観光坑道の中に入ります。途中何か所か岩肌が露出しているところがあり、狸堀と呼ばれる江戸時代の坑道の跡を見ることができます。江戸時代には機械がなく、ノミなどでの手堀りのため、小さな坑道を這って進むように先に掘り進めたそうです。その後明治時代以降に機械をつかってトロッコなどが出入りできるまで坑道の幅を広げたのでしょう。

まさかの地下アイドル「銀山ボーイズ」がお出迎え!

生野銀山

ここにも当時の採掘の様子を再現したリアルなマネキンが配されています。実は生野銀山では、これらのマネキンを超スーパー地下アイドル「銀山ボーイズ」として大売り出し中なのです。彼は銀山ボーイズの写真にセンターで写っている「狸掘りの源太」60体にもおよぶマネキンたちに全て名前とストーリーを与え、超地下アイドルとして紹介し、「ギンギラ銀山パラダイス」をリリースし、鑿(ノミ)セブンとして、シングルへの出演権をかけて人気投票をしたりしています。坑道探検しながら、自分が投票したアイドルに会いに行けるのです。パクりといえばそうですが、ここまでぶっ飛んだパクり方は逆に新鮮でとても面白いです。
■■ユーチューブ

バリアフリーでペット連れもOKの長~い坑道

生野銀山

岩盤むき出し部分以外は、鉄製のアーチ、コンクリートなど様々な方法で補強されている坑内。薄暗い坑道をどんどんと進んで行きます。なお、坑道内は歩きやすくフラット。車いすやベビーカーも入れ、なんとペット連れOKになっています。1kmに及ぶトンネル内でワンちゃんを散歩させる事ができるのもここくらいでしょう。

生野銀山酒岳堂

坑道内の温度は年間を通じて約13℃と一定。夏は涼しく、冬は暖かく感じられます。そんな環境ではお酒の貯蔵にてきしているのでしょう。姫路の造り酒屋である酒岳堂が、酒は熟成させたら美味くなる!酒を寝かすには銀山の坑道の環境が一番!と生野銀山にお願いして、坑内で寝かせている貯蔵酒がありました。美味しく寝かされたお酒は生野銀山の売店で買えるそうです。

生野銀山

堅牢な岩肌やさびた鉄枠。地下空間にぽっかりと空いた空洞をささえ、中に入る人の命を守ってくれています。

銀山ボーイズが紹介する生野銀山の当時の採掘作業

生野銀山

生野銀山の観光坑道は、ただ坑内を歩くだけでなく、様々な展示がされているので楽しみながら進むことができます。そしてその展示はやはりスーパー地下アイドルの銀山ボーイズななくして語られません。

生野銀山サンドスライム充填採掘法

採掘作業の様子がリアルに再現されていて、いろいろとみてしまいます。長い坑道の中、採掘作業をする場所は鉱脈のある場所に限られます。鉱脈のある場所に坑道がたどり着くと、大がかりな装置を作ります。掘り出した鉱石を竪穴に落とし、その下で待つトロッコに乗せていくなど、効率よく作業していきます。当然作業をしている彼らの正体は銀山ボーイズです。

生野銀山竪穴

効率よく鉱脈を掘りだすために掘られた立坑。地下への移動のための穴はもちろん、掘りだした鉱石をおとしてトロッコに直接のせるためにも掘られました。しかし改めて足元にぽっかりと空いている深い深い穴を見ると、ちょっと怖くなります。

生野銀山

ダイナマイトを担いで竪穴を登るマネキン。彼は火薬だけでなく住宅ローンや国家機密などありとあらゆるものを背負っており、その顔を見たものはいないなどと、少し笑えるエピソードが設定されていますが、こんな危険なものを背負って危ない立坑を登り下りした仕事は笑えない状況だったと思います。

生野銀山狸掘

坑道内には梯子を登って狸堀の内部を覗き見る場所などもあり、本当に飽きないように工夫されています。色々な観光坑道に行きましたが、今のところ、生野銀山の観光坑道が一番面白く感じます。

生野銀山

発破作業の様子を再現したコーナーです。今から発破をかけようと緊迫した表情をしている作業員。しかし僕的にはその作業員の後ろにあるまだまだ先に続いている閉鎖された坑道の奥の方がきになります。作業員の右側には発破したときの破壊力を体感できるコーナーがあります。

生野銀山シュリンケージ

シュリンケージと呼ばれる方法で採掘された跡。掘り出した岩石を足場にして下から上に向かって鉱脈を掘り進んでいく工法で、生野銀山の生産量を飛躍的に向上させたそうです。細く深い穴が足元に奈落のようにぽっかりと空いています。

生野銀山馬蹄形鋼枠二枚合掌

馬蹄形鋼枠二枚合掌と呼ばれる支保工。坑道の崩落を防ぐための支保工も、江戸時代の木製のものから鋼鉄製のしっかりしたものに変わっていきました。その形はとても美しく、幻想的な雰囲気を醸し出しています。

生野銀山太閤水

坑内には「太閤水」という地下水が涌き出しています。豊臣秀吉がその美味しさに感動してお茶をたてるのに使ったとか。しかし看板には「飲まないでください」とはこれいかに(笑)太閤水の近くには、地下水を滝のように流している場所があります。狭い坑内の中で、ちょっと一息つける場所です。

大型機械がそのまま残る貴重な当時の坑道

生野銀山光栄立坑の巻揚機

生野銀山の展示物の中でも最大規模の機械が光栄立坑の巻揚機。コンクリートで固められた専用の部屋に設置されており、最大800mを超えるの深さにおよぶ立坑を移動するエレベーターを巻き上げる巨大な機械。巨大なロールに頑丈なワイヤーが巻き取られています。部屋には機械のオイルの臭いが漂っており、電源を入れれば今にも鴉越出しそうなほどの状態の良さ。間近から見れることもあり、相当な見ごたえがあります。

生野銀山光栄立坑の巻揚機

巻き上げ機の先には斜め上に向かって坑道が伸びています。この穴の一番上部には滑車が設置されており、クレーンの要領で地下深くまで伸びる立坑にエレベーターを下ろしていきます。800mの深さまで降りる地下エレベーターの動力部はとにかく大規模で、その迫力には驚かされます。

生野銀山光栄立坑ゲージ

少し進むと、「光栄立坑ゲージ」(エレベーター)があります。800m地下まで下りることがで、先程の巨大な巻上機で操作されていました。ここからスカイツリーよりもさらに深い地下まで穴があいていて、エレベーターで降りることができると考えると、かなり凄いことです。

生野銀山トロッコ

何百kmにも及ぶ坑道の中には鉱石だけでなく、それを掘り出す作業員の移動のためにトロッコ列車が敷かれていました。走る速度はゆっくりだったのでしょうが、それでも長く暗く足元の悪い坑道を歩いて進むよりもずいぶん楽だったに違いません。

生野銀山

坑道内には横穴がところどころにあります。どこに、どこまでつながっているのかがわからず、興味津々。中には作業員の休憩所や事務所、作業所として作られたスペースへの連絡通路に使われていたこともあるようです。横穴には当然入られないように厳重に鍵がかけられています。当時から残るものか、観光坑道のメンテナンスに使うものか物置にされているところもありました。

生野銀山観光坑道

もうすぐ出口です。ただでさえ1kmという長い距離のうえ、充実した展示なので地下にかなり長い時間籠ってしまいました。それでもやっと出口というよりも、もう出口といった感じがあります。

露天掘りの銀山を見学するコースも魅力的

生野銀山

さて、地下の銀山を見学したら、今度は地上の銀山を見学しましょう。江戸時代に掘られた露天堀りや坑道の跡が多数残る「坑道外コース」で、往復約30分かかります。川を遡るので当然登り道。坑道内のように銀山ボーイズが楽しく当時の様子を教えてくれる事がないので、ここでお腹いっぱいの方はここで終了でも問題ないかと思います。坑道入口の滝を階段で登りますが、励ますかのように銀山ボーイズのひとりが雨風に打たれながらノミで岩肌を削っています。彼の横を通り過ぎると小さな祠がありますが、そこから銀山内を見下ろせるので少し立ち寄りたいですね。

生野銀山

門をくぐり、先程の滝をつくっていた川を遡るように進みます。舗装はされていませんが歩きやすい道です。河原にもいろいろと鉱山の形跡が残っているので、少し下りてみるのもいいかもしれません。

生野銀山露天掘り

少し進むと露天掘りの跡が崖に見られます。露天掘りとは地表に露出した鉱脈を直接掘り起こした方法。坑道を掘る技術がなかった江戸時代には地表に見える鉱脈を掘り出す方法が主体でした。地表に露出している部分から少しでも地中の中に埋もれている鉱石を取り出そうと手彫りで掘り進めた跡も見え隠れします。

生野銀山露天掘り

崖の中腹に坑口らしき穴がぽっかり空いています。ここまではこれないだろうと入口は封鎖されていません。登れそうにない岩ですが、危ないからやめましょう。こんな崖の上にあるので、本格的に採掘はされておらず、ちょっとした穴くらいで終わっているのかもしれません。

生野銀山慶寿ひ

林道のような道を歩きながら、露天堀りの跡を訪ねます。ここは「慶寿ひ」と呼ばれる露天掘り跡。地表の崖に現れた鉱脈の部分だけが見事に削り出されています。上まで登れますが、登っても特に何もないのでやめましょう。

生野銀山坑口

露天堀りだけでなく、江戸時代にの坑口がそのまま残っていますさすがに本格的に掘り進め、簡単に入れそうな坑口には柵が設置されています。隙間から入れそうですが(笑)

生野銀山坑口

ノミなどで掘り進んだ狭い坑道。こんなところを這うようにノミで作業をするのは大変だったと思います。あ、中に入ってないですよ。カメラだけ柵の間から突っ込んだだけです。この他にも江戸時代に掘られた坑道がいくつも岩肌に残っています。

広大な地下を駆け抜けたトロッコ列車

生野銀山トロッコ列車

最後に駐車場の端にある展示されたトロッコ列車を見学。神子畑選鉱所にあったものと同じものです。坑道内に人や物資、採掘した鉱石を積んで運んでいました。先頭の機関車はトロリー式で電気を架線からとるためのパンダグラフも装備されています。

生野銀山

トロッコ列車の近くには、かつてトロッコが走っていたと思われる通洞がそのまま残っています。錆びつきながらもレールは残り、天井にはトロッコが電源を撮ったと思われる架線も残っています。ここからトロッコが地下深くへ人と資材をおくり、鉱石を運び出していました。この先には「中央立坑」があり、深さ364mまで採掘が進められていました。
鉱山好きにはもちろん、普通に見学に訪れた人でも大満足できる坑道跡。子供連れでも楽しむことができます。日本ではほとんどの鉱山が閉山されてしまいました。かつての日本の高度経済化を支えた礎、しっかりと見学しておきたいですね。
人気の観光スポット「竹田城」にもほど近くにあるので、観光には是非とも組み入れたい場所です。また、とことん鉱山観光をするなら車でほど近い「神子畑選鉱所」「明延鉱山跡」への訪問もオススメです。1日中鉱山まみれになれる鉱山密集地帯でも生野銀山はあるのです。

生野銀山の観光・宿泊情報

生野銀山の程近くに「神子畑選鉱所」や「明延鉱山」という鉱山遺跡や天空の城として有名な「竹田城」もあります。時間があればぜひ一緒に巡りたいです。宿泊は、少し車を走らせると関西屈指の温泉「城崎温泉」があります。
せっかくなので、城崎温泉で上質な温泉と美味しい料理を楽しみたいですね。

【じゃらん】城崎温泉のおすすめ宿

生野銀山

住所: 兵庫県朝来市生野町小野33-5
電話: 079-679-2010
料金: 大人900円、中高生600円、小学生400円
休み: 2月~2月の3ヶ月間のみ毎週火曜日(火曜日が祝日の場合は翌日)
営業時間: 4月~10月:午前9:00~午後5:30 
     11月:午前9:00~午後5:00 
     12月~2月:午前9:30~午後4:30 
     3月:午前9:30~午後5:00
     (最終入坑は40分前まで) 
交通: 播但連絡道路・生野ICもしくは生野北第一ICより10分
駐車場:210台 (無料)

【投稿時最終訪問 2015年4月】

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