中半家沈下橋と半家沈下橋【四万十川・江川崎】

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最後の清流と呼ばれる四万十川。その流域には沢山の沈下橋が残り、自然と共生する里山の風景であるが広がっている。
四万十川流域でも比較的大きな町である高知県江川崎の町の上流と下流で、四万十川は姿を大きく変える。
江川崎より上流部は川沿いにJRが走っているので、民家が四万十川沿いに点在する。
逆に下流部は、広見川沿いにJR予土線が進路を変えるため、ここから下流の四万十川は民家の数が極端に少なく、手つかずの自然が多く残る。水量も川幅も増え、悠久の四万十の流れが楽しめる。
このように四万十川では上流部に人の生活が主にあり、河口近くまでの下流部には原始の姿が色濃く残る。普通の川の流れとは全く逆の風景が広がることも四万十川の不思議であり、魅力でもある。
江川崎には「川の駅カヌー館」があり、キャンプやカヌーなど四万十川で遊ぶ拠点だ。そんな江川崎でも近くに四万十川の風景である沈下橋を見ることができる。

中半家沈下橋

江川崎から国道381号線を北へ向かう。すぐに「長生沈下橋」があるが、訪問時は改修待ちで通行止めになっていたのでパス。
江川崎から車で10分。やがて2つ目の沈下橋が四万十川にかかっているのが見えてきた。「中半家沈下橋」だ。
国道から河原に降りる脇道に入る。細い道だが、河原の手前に2,3台車を停められるスペースが2か所あるので、そこに車を停める。

中半家(なかはげ)沈下橋は昭和51年の建造で、全長125.9m、幅員4.3m。残念ながら車止めがあるので、ここは車では渡れない。のどかな農村風景と美しい川の流れをこの沈下橋は繋ぎ止めて、日本の原風景を作り出している。

沈下橋から見る四万十川上流方向の風景。この付近の四万十川は中流域にさしかかるので、川幅も狭まり、水の流れも強く、水深も浅い。
このあたりでカヌーを楽しむには、それなりの技術が必要だろう。

中半家沈下橋を渡る。欄干を作らず、川面からの高さもないのが沈下橋の特徴。増水時はわざと水の中に沈むことで、流木などが激突して橋が破壊されるのを防ぐためのつくりだ。そのため、この橋を渡ると、四万十川の水との距離が本当に近く感じる。この美しい流れに引きずり込まれそうになる。四万十川との一体感を感じられるのも、沈下橋を渡る楽しみのひとつだ。

沈下橋を渡る楽しみは、川のど真ん中から眺める周辺の風景。広い四万十川のど真ん中から見る風景は、今までにない視点。
日本の原風景ともいえる、美しい里山と美しい川の流れ。無意味な開発など皆無な、美しい人と自然が共存する風景。それが四万十川の魅力のまたひとつ。

朝靄が太陽に眩しく照らされる風景。朝の四万十川の空気はとにかくおいしく、それでいて静かだ。
中半家沈下橋のすぐ下流には立派な橋がかかり、さらにその奥には鉄道橋がかかっている。四万十川において、多くの沈下橋は今もなお地元の足として活躍し続けている。こんな細い橋の上を地元の車や原付は普通に通行していくのだ。しかし、この橋はそのすぐ横に造られた大きな橋へとその役割を引き渡したようだ。
自らの躯体に封印をし、重い車の往来を禁じた。地元の人もほとんど使わないだろうこの沈下橋は、ゆっくりと時代の流れに身を任せている。時々、僕たちのような観光客がやってきて、その懐かしい風景を楽しんでは去っていくだけだ。

半家沈下橋

さて、まだ時間がある。もう1本上流にある「半家沈下橋」へと次に訪れた。
先ほど訪れた「中半家沈下橋」から車で5分くらい。ただし、こちらは国道沿いに沈下橋はない。「江川トンネル」をくぐり、(東側)出口を出てすぐ右にある細い道を入った所に半家沈下橋はある。地図で見ると、トンネルを嫌うように四万十川が南に大きく蛇行している部分に当たる。
ここは車で渡れる沈下橋だ。大きなワゴン車でも問題なく渡れるが、ゆっくりと気をつけて。橋の手前か橋を渡った先の神社の前に車を停められる広めのスペースがある。また、橋を渡ったところから河原に降りられるようになっている。車高がそこそこあり、四輪駆動なら、河原へ車を乗り入れても問題はないだろう。もちろん自己責任で、さらに、自然に対してローインパクトでお願いしたい。
(写真は川を渡ったあと、神社前から)

「半家沈下橋」は先ほど訪れた「中半家沈下橋」よりも川幅はさらに狭まり、水の流れは速く、激しい音を立てている。岩盤の右岸と広い河原の左岸。大きく蛇行しているこの四万十川の部分は民家が少なくなり、いきなり野性味が増す。
余談ではあるが、「半家」の名前の由来。それは、源平合戦の後、落ち延びてこの地に隠れ住んだ平家の落人が源氏の追討を逃れるために「平」の字をくずして「半」にしたためと言われている。

「半家沈下橋」の真ん中から上流方面を望む。何もない美しい風景。しかし、四万十川には沈下橋以外にも、大きな橋が何本もかかり、今もなお建設中の橋もある。出来れば大きい橋は無いに越したことはないが、この付近は移動にはとても不便。地元の人の生活にはなくてはならないものだろうし、四万十川を旅するにはとても便利だ。特に江川崎から窪川までのJRと四万十川と並走する国道381号線はきれいに整備されていてとても走りやすい。江川崎から四万十川沿いに河口の中村まで下る国道441号線はいまだに未整備の区間が多く走りにくいが、改良工事が続けられている。
昔から変わらぬ流れを続ける四万十川だが、そのほとりでの人の流れはそれよりも随分と早そうだ。こんな流れをうまくかわせる人の世の沈下橋があれば、それはいったい何だろうかと思ってみたりもする。

四万十川の流れはとにかく美しい。これだけの長い距離を四万十川は旅しているのに、水はとても清らかで透き通っている。何度も四万十川には通っているが、特にこの日の水の透明とは抜群だ。

半家沈下橋と逆方向、江川崎下流の沈下橋

四万十川の宿泊案内

最後の清流と呼ばれる四万十川の美しい所は流域には大きな町がないこと。昔の日本を思わせる小さな集落が連続する四万十川の流域には、ロハスを意識した小規模な宿があり、ホテルは河口の中村に集中します。流域での宿泊でオススメな宿は、四万十川を見下ろすスタイリッシュなホテル「四万十星羅」や露天風呂が気持ちよいと人気の「松葉川温泉」です。

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