奥高尾縦走路【陣馬山から高尾山へ】

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東京で登山、といえば多くの人が思いつくのが「高尾山」でしょう。ミシュランでも紹介されるほど多くの登山客が訪れる山で豊かな自然が残りながらも比較的安全に登れる山です。そんな賑やかな高尾山から「陣馬山」へは奥高尾縦走路が続きます。高尾山のような混雑はなく、比較的安全で歩きやすいルート。様々な山を巡る稜線歩きを楽しむことができる初心者にもお勧めの縦走コースです。

陣場山へのアクセス

陣馬高原下バス停

奥高尾縦走路の起点となる陣馬山への最もメジャーなアクセスは、JR高尾駅からバスで終点の「陣馬高原下」下車。高尾山までの縦走のコースタイムは約7時間のロングコースですが、平坦で歩きやすく、思った以上に楽に感じます。とはいえ長丁場なので、朝7時前に出発する始発バスで陣場山に向かいましょう。ハイシーズンは始発バスが2台来るなど、多くの登山者への対応もあり、安心です。また、バス停にはトイレもあります。バスが到着すると行列ができるので、まず下車したらすぐにトイレです。

陣馬高原下バス停売店

バス停付近は小さな売店が何軒かあります。飲み物やお菓子など購入はできますが、高尾駅や自身の出発駅でで食料や飲み物は揃えておきましょう。また、縦走路には何軒も茶屋があります。土日祝日なら茶屋での食事をあてにすることができます。ただし、平日は茶屋が営業していないことが多いので気を付けましょう。

標高が高い陣馬山からの縦走がオススメ

陣馬山登山バス停

陣馬山から高尾山縦走のスタートは、バスのアクセスでより標高の高い場所からスタートできる陣馬山から入山するのがベスト。標高855mの陣馬山から599mの高尾山へ標高を下げていく縦走となり、ゴール地点は鉄道駅やケーブルカーがあるのでとても気が楽な縦走ができます。バスの時間を気にして山を登らなくていいのは精神的にもとても楽です。

和田峠への車道

バス停からはしばらく舗装された道を歩きます。この先にマイカー登山の出発地となる和田峠があるため、登山客の車が時折通りますので注意して登ります。

陣馬山登山道入口

沢沿いに舗装された道を進むと、途中左側登山道の入口があります。ここから本格的な登山開始です。

陣馬山登山道

しばらくは樹林帯の中の登りが続きます。この縦走の中で最も標高を稼ぐ登りですが、スタート直後で体力があることや、比較的整備された道ということもあり、思った以上早く登ることができます。陣馬山頂上へは1時間半、約500mの標高を登ります。

和田峠合流点

マイカー登山客が利用する和田峠からのルートと合流すると、さらに道は歩きやすくなります。頂上はもうすぐです。

陣馬山頂上の高原は茶屋もある絶景スポット

陣馬高原

突然頭上を覆う木々がなくなり、青空の中に草原が広がると、陣馬山頂上に到着です。まるでスキー場のような頂上付近は、陣馬高原と呼ぶのにふさわしい風景です。

信玄茶屋

頂上に出るとすぐに目に入る信玄茶屋。陣馬山頂上には茶屋が3軒もあります。高尾山付近の山々には茶屋が多いのが最大の特徴。山の上で美味しい食事や飲み物を楽しめる至極の山旅が楽しめます。信玄小屋ではけんちん汁やゆずシャーベットが人気で、コーヒーも注文を受けてからドリップして淹れる本格的な味わいです。

信玄茶屋テーブル

信玄茶屋には屋根がついた立派なテーブルとベンチがあります。美味しいものをゆっくりと頂きたかったり、やや天気が悪い時にはとてもありがたいスペースです。

清水茶屋

頂上を挟み、信玄茶屋と反対側には清水茶屋。頂上に登らなくても巻き道で直接行くことができます。清水茶屋は土日祝しか営業しない茶屋が多い中、平日も営業しています(定休日:木曜日)

陣馬山頂上

標高855mの陣馬山山頂はとても広く、360°の展望が楽しめる絶景の山です。富士山をはじめ、丹沢や秩父の山々はもちろん、天気が良い日には遠く日光の山まで望むことができます。
頂上には陣馬山の象徴、白馬像があります。陣馬山の名前は戦国時代に武田氏が八王子の滝山城を攻めるのに陣を張った、馬の陣を張ったなどの言い伝えに由来します。

富士見茶屋

他の2軒の茶屋と違い、頂上にあるのが「富士見茶屋」
富士見茶屋の名物は大きな椎茸と山菜入りのうどんです。ここで美味しいものを頂きたいのですが、さすがにまだ朝が早いので、もう少し先の茶屋にすることにします。

陣馬高原

陣馬山頂上にある3軒の茶屋は朝一番のバスを使うと、頂上に到着した頃に営業が始まります。美味しいものを高原風景で頬張るのも最高の贅沢ですが、まだ先は長いので、ここでの長居は禁物です。

ぐんぐん進める平坦で歩きやすい縦走ルート

奥高尾縦走路

陣馬山から高尾山に向かう登山道はとても整備されています。道幅は広く、石や木の根もほとんど無いとても歩きやすい道。地面も重機で整備したかのように平らになっています。アップダウンも少ない比較的平坦な行程が続くので、地図で見る距離より早く進めます。人気の縦走路なので歩く登山者も多く、トレランを楽しむ人もよく見かけます。

明王峠

途中にある明王峠。茶屋がありますが、この日は営業していませんでした。東京都内にありながら、信州の山の中のような雰囲気があります。
ここから1時間50分ほどで、JR中央本線の相模湖駅へ下ることもできます。体調や天候にあわせてエスケープできるルートが多いのも奥高尾縦走路の安心なところです。

陣馬山縦走路

途中、小さなピークをショートカットできる巻き道もいくつも設けられています。体力を温存したい場合は巻き道を積極的に使いましょう。

陣馬山縦走路の巻き道

巻き道は山の斜面を進むため、縦走路と違い道幅はかなり狭くなっています。よく整備されており危険な場所はありませんが、今までのようにスピードを出したりはできません。すれ違いも譲り合って先に進みましょう。

陣馬山縦走路

東京都内とは思えないほど豊かな自然が残る高尾山系。歩いているだけでとても気持ちが良くなる森の風景が延々と続きます。時々立ち止まって森の濃い緑の香りを楽しみたいですね。

途中の頂上にある茶屋でいただく美味しい昼食

景信山頂上

縦走での楽しみのひとつが、途中の山の頂上。陣馬山から高尾山にかけての人気の山である影信山と小仏城山の頂上と高尾山手前の紅葉台には茶屋があります。宿泊はできませんが、山の上で食事が頂けることもあり、多くの登山者で賑わいます。
奥高尾縦走路の中間にあたる標高727mの景信山には2軒の茶屋があります。縦走路の中の茶屋で昼食をとるなら、時間的には影信山の茶屋がベストです。

三角点かげ信山のもつ煮込み

最低限の食料だけ持参して、昼食は茶屋で温かくて美味しいものを楽しめるのも、この縦走コースの醍醐味です。
高尾山山頂にも飲食できるお店はありますがとても混み合います。山小屋で昼食をとるなら、高尾山に到着する前がオススメです。
景信山では頂上の横すぐにある「三角点かげ信小屋」でもつ煮込み(450円)とビール350ml(400円)を持参したサンドイッチに追加して豪華昼食です。ビールを頼むとちょっとしたおつまみがあるのもうれしいのです。

小仏峠を越えて影信山から城山へ

景信山から小仏峠への下り道

景信山からはやや急な下り坂で一気に標高548mの小仏峠まで200m近く標高を下げます。影信山の茶屋でお酒を飲んだなら要注意の場所です。

小仏峠

小仏峠は稜線の鞍部にある平坦な場所になっています。かつては茶屋があったようで、今は小屋跡だけになっており、その周辺には休憩できる簡易なベンチがあります。混雑する影信山を避けて、ここで休憩する登山者の姿も多くあります。
余談ですが小仏峠の真下には、JR中央線のトンネルが走っています。

小仏峠

小仏峠から約50分で小仏バス停まで下山することができ、駐車場もあるので、入山してここで最初の休憩をする登山者も多いかと思います。
地図の販売などをしていたり、自炊する登山者など、とても賑わいがあります。

相模湖

小仏峠から少し進むと相模湖を望む展望の良い場所があり、ベンチも置かれています。眼下に相模湖が望めます。
奥高尾縦走路途中の最後のピークである小仏城山から混雑する高尾を避けてJR中央線の相模湖駅へ下山するルートも人気です。

小仏城山への登り

影信山の次のピーク、小仏城山には急な登りが待っています。今まで緩やかなアップダウンだった分ハードに感じますが、そんなに長くは続きません。頑張って頂上を目指しましょう。

大人気かき氷で休憩したら最後のピーク高尾山へ

城山茶屋のかき氷

景信山から約1時間で、標高670mの小仏城山(城山)に到着。広い山頂には城山茶屋と春美茶屋のふたつの茶屋があり、超巨大サイズのかき氷が人気。ほかの登山客が食べているのを見たら、ついついオーダーしてしまいました。こんなの食べられるか・・・と思いきや、先ほどの登りで汗が噴き出したこともあり、意外にペロリといけました。さすがにゆっくり食べないと頭が痛くなるので、ひと休憩にはもってこいです。
写真のサイズは城山盛り(大)で500円。シロップの種類はイチゴ、メロン、レモン、ブルーハワイ、マンゴー、ピーチ、グレープ、コーラ、抹茶、みぞれがあり、自分で好きな量をかけながら食べられます。トッピングは練乳、あずきが各100円。
ここから高尾山まではあと1時間ほどです。

一丁平

途中差し掛かる一丁平。ベンチやトイレがある広場や展望デッキなどがあり、とてよ良い雰囲気。ここで休憩する登山者も少なくありません。この先は緩やかに長い距離を下ります。

奥高尾縦走路紅葉台への登り

高尾山までは登り返しになります。長い縦走で体力も使っていることもあり、ここが最後の正念場です。登りやすく緩やかな階段や木道が整備されていますので頑張りましょう。
この先にある紅葉台は富士山の眺めが素晴らしく、茶屋「細田屋」では富士山を眺めながら一息できます。まるで時代劇に出てくる峠の茶屋のような場所です。

高尾山への登り

紅葉台を通りすぎたところにある階段。ここを登り切ったら、縦走の最後のピーク、高尾山の頂上です。頂上の人混みを回避したり、体力的に難しい場合は巻き道で頂上を迂回できます。

人気の高尾山はテーマパークのような賑わい

高尾山頂上

ついに最後の頂上、高尾山に到着です。頂上はとても広いですが、大勢の登山客でまるでテーマパークのように賑わっています。標識での記念撮影も順番待ちの行列です。頂上にはビジターセンターがあるので、下山する前に見学して、歩いてきた高尾山の自然を振り返るのも良いです。

高尾山からの富士山

縦走中、進行方向右手には富士山を所々に見ることができます。特に紅葉台や高尾山頂上からの眺めは秀逸。下山を開始すれば、富士山は見られなくなるので、最後に富士山の姿を目に焼き付けておきましょう。
高尾山頂上からの下山は様々なルートがあります。高尾山の雰囲気を満喫するなら薬王寺を抜けて、1号路で下るのがベストです。下りは足に負担がかかるので、疲れているなら途中にあるケーブルやリフトを使うのも良いでしょう。
登山者が多く整備されたルートとはいえ、長時間の登山です。高尾駅発のバスは始発か遅くともその次のバスに乗り、余裕のある行程を心がけましょう。天候の急変もあるので、防寒具、雨具は持参必須です。

■高尾始発バス乗車に便利な八王子駅前のホテル

奥高尾縦走路

アクセス:JR高尾駅よりバスで約40分 (始発バス6:55高尾発)
コースタイム:陣馬高原下バス停より高尾山口駅まで約7時間

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