雪の室堂【雪の大谷と一緒に楽しむ雲上の銀世界】

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日本屈指の山岳観光地である立山中腹にある室堂。標高2450mという森林限界にある場所ながら立山黒部アルペンルートが通じ、巨大なホテルや温泉、観光施設や遊歩道が整備されており多くの登山客で賑わいます。日本海に近い豪雪地帯にあるため、冬は20mという積雪に閉ざされる場所ですが、4月中旬になると、除雪して雪底から道路を掘り起こし、雪の室堂までのアクセスが再開されます。高さ20mにも迫る雪道をバスが走り、人が歩く雪の大谷は室堂の春の風物詩です。雪の大谷を散策した後は、ぜひ雪に覆われた室堂平を散策しましょう。

室堂平に広がる一面の美しい雪原を自由に散策

雪の室堂平

室堂バスターミナルから外に出ると、そこは一面の雪原。銀世界という名がふさわしい雪に覆われた室堂平です。

残雪の室堂

高山植物が一面に広がる室堂平には分厚い雪が敷き詰められています。雪がないシーズンは高原植物保護のため立ち入れる場所は制限されていますが、雪のあるシーズンに限っては好きな場所を歩くことが出来ます。この時期ならではの室堂の楽しみ方です。分厚く積もった雪は地面を慣らし、踏みぬくような危険な場所は雪の大谷が10mを超えているような時ならありません。雪もその重みで圧縮されており、普通の靴で自由に付近を散策できます。雪だるまを作ったり、寝転んで写真を撮ったり、思い思いの季節外れの大雪を観光客が楽しんでいます。

室堂スノーハイク

存分に付近で雪を楽しんだら、みくりが池方面へと雪の上を散策に出かけます。雪山を歩くならスノーシューやアイゼンが必要ですが、決められたコースは踏み固められていて急斜面もなく、運動靴程度なら普通に歩くことが出来ます。

残雪の立山

室堂平の真正面にそびえるのは、この付近の山の盟主にして、百名山がひとつ立山。立山という名前の頂上はなく、室堂の真正面に鎮座する三座を合わせて立山と呼んでいます。左から富士ノ折立、大汝山、雄山。ピークは中央の大汝山3015mです。

雪のみくりが池

丘を越えると、ぽっくりと穴が開いたような平らな雪原が姿を現します。ここが氷結したみくりが池です。左側には奥大日岳、右側には剣岳の稜線が見え、夏場には雲上に浮かぶ湖のように見えるみくりが池もこの季節は凍った水の上に雪が積もり、あたりの雪山と同化しています。

雪のみくりが池温泉

みくりが池のほとりには山小屋があり、多くの人が集っています。この山小屋は「みくりが池温泉」で、標高2410mにある日本一高い場所にある温泉です。地獄谷を源泉とした白く少し緑かかった湯は硫黄の温泉臭がとても強い濃厚な湯。加水・加温なし、正真正銘の源泉掛け流しで雲上の雪山を眺めながらの入浴が楽しめます。

雪に覆われたみくりが池周辺は絶景の連続

残雪のみくりが池と立山

みくりが池は標高2430mにある周囲約630m、水深15mの湖。夏場には立山をバックにして青く澄んだ水を湛えるみくりが池ですが、冬の間はぽっくりと大地に開いた穴に雪が詰まったかのような光景になっています。みくりが池は約1万年前の火山の噴火によってできた湖で、火口そのものの形をしています。みくりが池の向こう側には今も地獄谷と呼ばれる火山活動が活発に行われている場所があります。

春の室堂

みくりが池付近では斜面がきつい場所、雪の下が危険な場所は歩く場所が制限され、ポールで区切られた道を行きます。踏み固められているので比較的歩きやすくなっていて、滑って転んで失神することは滅多にありません。絶対にこんな場所に入ることが出来ない観光客が普段着で歩いている絶景観光スポットです。

残雪の室堂平

開けた地形と風が雪を飛ばし、所々に地面に這うようにして自生する高山植物のハイマツが雪の中から姿を現しています。

雪の室堂

室堂平の北、東、南は高い山々に囲まれていますが、それらの山から集めた水が称名川となって深く大地を削って流れる西側には山がありません。遠く日本海まで見える景色を眺めていると、まるで空に浮かんでいるかのような雲上の雪の大地に居るかのようです。

雪の奥大日岳と大日岳

3000m級の立山、剣岳が連なる立山連峰のの一端である大日岳(左・2501m)と奥大日岳(右・2611m)

雲上の山々を思わせてくれる素敵な風景です。

雪のみくりが池

みくりが池を覆っている分厚い氷の下から池の水があふれ出しています。例年6月まではみくりが池は深い雪で覆われており、夏山のシーズン開始時にはまだ雪が池の周辺に残っています。少しずつ少しずつ、夏に向けて雪が融け、わずかな雪のない期間を経て、また深い雪に閉ざされます。

みくりが池の雪融け

まるで氷河のような青い水が雪と氷の下からその姿を見せ始めています。汚れない空気と大量の雪からつくられるみくりが池の水はとても神秘的な美しさを見せてくれます。

高確率で見ることが出来る立山のライチョウ

室堂のハイマツ

みくりが池温泉に近づくと、ハイマツがとても多くなります。池のほとりにあるので雪が風で吹き飛ばされるため、あまり積雪がこの付近にはありません。真っ白な雪と緑色のハイマツのコントラストを楽しめる風景が広がります。

冬毛のライチョウ

みくりが池湖畔のハイマツは天然記念物のライチョウが生息しています。室堂でのライチョウとの遭遇確率はかなり高く、この時は3回目の室堂訪問になりますが、すべて雷鳥を至近距離で目撃しています。人間が襲ってこないと知っているのかライチョウは人を恐れません。一定の距離をとっていれば、向こうから近づいてくることはありませんが、人の存在など気にせずに気ままにのんびりとライチョウのツガイがくつろいでいました。冬のライチョウは雪のような真っ白な色をしており、オスにはニワトリと同じように真っ赤なトサカがあります。おそらく人の近くにいれば、天敵に襲われないと知っているのでしょう。

雲上の雪山の中で噴煙を上げ続ける地獄谷

雪の地獄谷

みくりが池温泉の向こう側には、日本一高所の温泉の源泉が湧く地獄谷が広がります。分厚く積もる雪も、熱湯と噴気が湧き出すこの谷だけには積もることが出来ず、その名の通り雪の中にさながら地獄のような荒涼とした景色を見せてくれます。

残雪の地獄谷

地獄谷から湧き出した温泉は雪を溶かし、大地を削りながら下界に流れていきます。すぐに立山から流れ出した称名川と合流し、深く深く山を削り下界へと流れていきます。途中、落差350mという日本一の高さを誇る称名の滝があります。日本一の大瀑布の源流がこの一帯で、厳しくも美しい大自然に囲まれています。

立山地獄谷

地獄谷には遊歩道があり、噴煙を上げる硫黄色の蒸気口や煮えたぎる乳白色の池を間近に見ることが出来ます。ただし、現在は危険な火山性のガスが噴出しているため、立入禁止になっています。遠く離れた場所にいても、硫黄の鼻を突く臭いがここでもかすかに感じます。

ハイマツと雪の奥大日岳

地獄谷の向こうには標高2611mの奥大日岳、空を飛ぶ雲が山よりも下にあるとても高い山。空の上の世界に来ていることを実感させてくれます。

空を飛ぶ雪の大地に居るかのような室堂平の絶景

室堂平銀世界

西側を見ると、室堂平の大雪原が広がります。雪原の向こうは富山平野と日本海。標高2400mを超える室堂から一気に山は下り日本海へと沈んでいきます。足元を雲が飛ぶ、アルプスやエベレストを思わせる風景です。

室堂の積雪

日本海から吹きつけられた雪が重なり、空中に巨大な雪庇を造り出しています。間違ってこの上に乗ると滑落や雪崩の元になる危険な雪山のトラップですが、離れた安全な場所から見ると、大自然が作り出した芸術にも見えます。

室堂スノーハイク

雪に覆われた岩山と、雪庇がむき出しの雪の稜線。そしてその下を飛ぶ雲。もはやアルピニストの世界です。

雲上の雪の世界だ楽しむ快適な滞在

雪の立山高原ホテルと天狗平山荘

雪原が山を下っていく方向に目をやると、立山高原ホテルと天狗平山荘があります。ここにも宿泊することが出来ます。雲上の大自然を間近に感じて滞在できる素敵なホテルです。

雪のホテル立山

室堂のアクセス、滞在の起点となる室堂ターミナル。公共施設の上は日本一高い場所にある「ホテル立山」となっています。山小屋ではなく立派なホテルで、大浴場や家族風呂、ロビーラウンジやレストランなど雲上での快適なステイが楽しめる贅沢なホテルです。

レストラン立山とやまポークカツカレー

室堂ターミナルの中にある「レストラン立山」は450席という大きなレストラン。飲食店が限られるアルペンルートの中で、最も滞在時間の長い室堂にあるのはとてもありがたい施設です。

人気メニューは「とやまポークカツカレー」(1,700円)

混雑していてもすぐに出てくるありがたいメニューながらも、とっても美味しいと大人気。特に高い山の上を散策・トレッキングした後に食べると身も心にも染み渡る一品です。

レストラン立山

営業時間:10:00~15:00(ラストオーダー14:30)
【メニュー一例】
とやまポークカツカレー…1,700円(大盛1,900円)
ビーフシチューライス…2,000円
野菜と豆のカレー…1,600円
お子様カレーセット…1,150円
ご飯セット…200円
白海老から揚げ(単品)…1,100円
照り焼きチキン…850円
ソーセージ…850円
チーズ&サラミ…550円

室堂平散策の服装・持ち物

気温は真冬なみなので、ダウンジャケットやコートなど冬の服装は必須。ただし太陽が出ると一気に暖かくなるので、温度調整ができるように重ね着を心がけましょう。

足元は滑りやすい雪でしかも解け始めているので、スニーカーなどの雨の日でもしっかりと歩ける靴が必須。スノーブーツや登山靴があればなおベストです。

高い標高なので陽射しはかなり強烈です。日焼け対策はもちろん、太陽が出ると雪がまぶしすぎますので、サングラスは絶対に忘れないようにしましょう。また土日祝日は2時間行列に並ぶことは必須です。お菓子や飲み物など用意しておくのが良いでしょう。また天候の急変があります。カッパなどの羽織れる雨具やもう1枚の防寒具など、山に登りに行く準備をしっかりとしておきましょう。

室堂ターミナル

住所: 富山県中新川郡立山町芦峅寺
電話: 076-432-2819 (立山貫光)
期間: 4月中旬~11月末
休み: 期間中無休
営業時間: 往路室堂行始発6:40、復路立山行最終16:30
料金: 立山室堂往復/大人6,320円、子供3,160円
交通: 北陸自動車道・富山、立山ICより約40分
    ケーブルカー美女平駅より立山高原バスにて約50分
駐車場: 900台(無料・6か所、最大800m遠方)

【投稿時最終訪問 2019年5月】

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