殺生石【那須湯元温泉・九尾の伝説】

最終更新日

Comments: 0

那須連山の麓に広がる自然豊かな那須高原。いくつもの温泉が湧き出す那須は保養地として古くから知られており、皇族の静養地である那須御用邸もあるほどです。
そんな那須の温泉の源で、古からの伝説がたくさん残っている名勝が「殺生石」です。日本国内に殺生石という名勝がいくつかありますが、その起源になったとされるのが、この那須の殺生石です。

那須湯本温泉に鎮座する殺生石

殺生石は那須湯元温泉のすぐそばにあり、那須を代表する観光スポットのひとつとなっています。殺生石の駐車場にはトイレを兼ねた休憩所があります。硫黄の匂いが立ち込める場場所を緩やかに登っていくので、体調不良などがあれば入山は検討しましょう。
5月には御神火祭(ごじんかさい)という火祭りが行われ、松明行列や神前婚の「狐の嫁入り」、九尾太鼓が奉納されます。

賽の河原を流れ、鹿の湯を流れる湯川を渡り、殺生石園地へ入ります。この先にある荒涼とした風景を見ていると、まるで三途の川にかけられた橋を渡るような、少しおっかないような気持にもなります。

あの世を思わせる荒涼とした賽の河原

殺生石園地一面に広がる「賽の河原」緑に包まれた山の中に突如として現れる、草木が1本たりとも生えない河原。時折鼻を突く強烈な硫黄の匂いが死の世界を彷彿とさせます。

賽の河原には木道が通されています。幅も広く、地面からの高さもないので安心して歩くことができます。死の世界のなかで生の世界とつながっている唯一の安全地帯といった安心感すらあります。殺生石までは歩道を約200m、緩やかに登っていきます。

賽の河原を進むと否応なしに目にはいるのが千体地蔵と呼ばれるズラリと並んだお地蔵さま。もう、これでもかと賽の河原の雰囲気をあふれさせています。よく見ると、どのお地蔵さまも合わせた手がとても大きくなっています。これは衆生の平安の祈りが届くようにと、拝む手を大きくしているとか。この地蔵群は今も増え続けており、たったひとりの職人さんが手作業で彫り続けているそうです。

千体地蔵の先に大きな地蔵さまが立つ場所は教傳地獄と呼ばれています。
素行が悪く、母を無下にした教傳というお坊さんがこの殺生石に訪れたとたん、噴き出した火炎や熱湯に焼かれて亡くなったそうです。そしてこの地に地蔵が立てられ、親不孝の戒めとされています。

さらに先に進むと、まるで森林限界を越えた高山のような様相になってきます。賽の河原の最も奥、木々が不自然に生えていない場所に殺生石がらります。

殺生石の手前から賽の河原を振り返ります。賽の河原はもちろん、なだらかに広がる山麓の高原まで見渡せる高山然りとした風景です。

九尾の伝説が残る殺生石の本家本元

賽の河原の最上部に鎮座、荒涼とした死の世界の元凶といわんばかりの禍々しさを放つ殺生石。
昔、鳥羽上皇が寵愛したという絶世の美女・玉藻。その正体が九尾の妖狐であることを見破られ、逃走先の那須ので討伐されて石となりました。しかしその石は毒を発して人々や生き物の命を奪い続けたため「殺生石」と呼ばれるようになったそうです。さらには、その石を鎮めようとした玄翁和尚によって打ち砕かれ、そのかけらが全国に飛散したといわれています。日本全国に点在する殺生の本体が、那須の殺生石と言われる由縁です。

殺生石の付近には硫黄色になっており、今もガスが出続けているようです。この地を訪れた松尾芭蕉も、温泉が噴き出る山にある殺生石の毒気はいまだに止まず、蜂や蝶などが地面色が見えないほど重なり合って死んでいる、と奥の細道に残しています。

近づいたものを皆殺しにするっていう殺生石。その正体は火山性ガスとわかっていても、どこか恐ろしさを感じます。見ると、殺生石の脇から水が流れ出していました。観光客の足元を流れるので、触った程度で何かしらあるものではないと思い、恐る恐る手を触れてみます。が、特に温かくはなく、周囲の臭気でその香りもわかりません。

注連縄を巻かれ、荒涼とした山肌に鎮座している殺生石。畏怖の念を抱かせるには十分すぎるほどの恐ろしさや神秘さを秘めています。
殺生石から賽の河原の右岸にある山を160mほど登り道を行くと、で那須湯泉神社(なすゆぜんじんじゃ)の拝殿に出ることができます。殺生石となった九尾を奉った九尾稲荷神社もあるので、時間や体力に余裕があれば、是非参拝しておきましょう。境内からは殺生石のある賽の河原を見下ろすことができますよ。

殺生石のすぐ側で楽しめる温泉の心地よさ

大昔の湯の花採取地の直ぐ隣には、那須の湯の花伝説になったといわれている「盲蛇石」があります。火山ガスの臭気がこのあたりでは一段ときつくなります。

温泉に含まれる成分が結晶化した湯の花。ここで湯の花を採取しているそうです。賽の河原の下流すぐのところには有名な温泉「鹿の湯」があり、その付近は那須湯本温泉として多くの温泉旅館が軒を連ねています。万物を死に誘うとされる殺生石が作り出した死の世界のすぐ側には、温泉という命あるものを甦らせる世界が広がっているのです。

殺生石

場所: 栃木県那須郡那須町湯本
電話: 0287-76-2619(那須観光協会)
営業時間: 特になし
休業日: なし
交通: 東北自動車道・那須ICより約20分
料金: 無料
駐車場: 30台 (無料)

【投稿時最終訪問 2019年7月】

シェアする