海宿千年松【しまなみ海道・海水浴の人気宿】

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広島県尾道と愛媛県今治を結ぶしまなみ海道。自転車でも瀬戸内海を渡る橋を走れることもあり、人気の観光ルートとなっています。そんな風光明媚なしまなみ海道で、美味しい鮮魚料理と瀬戸内海を一望する絶景風呂、そしてプライベートビーチでの海水浴が楽しめる大人気の宿が「海宿 千年松」です。和のアイランドリゾートを満喫できる、知る人ぞ知る秘密の隠れ宿です。

島の山々と瀬戸内海に抱かれた絶景ロケーションの宿

「海宿 千年松」があるのはしまなみ海道四国側の最後の島である愛媛県・大島。日本三大急潮流のひとつである来島海峡の目の前にしながらも、深い森を纏った山に抱かれる自然が美しいロケーションにあります。静かに小波のBGMが絶えず流れる、心地よい滞在が楽しめます。

宿とビーチの間は芝生が美しい広場になっています。海水浴の季節はもちろん、それ以外の季節でも海を眺めながらゆっくりと島の自然を満喫できます。

別棟になっている建物は大浴場である「満天の湯」です。温泉ではありませんが、瀬戸内海・来島海峡を一望しながらのんびりとできる内湯と露天風呂がある人気のお風呂です。

大人気の宿なので、海水浴の時期の予約はかなり困難です。どのように予約すればよいか、記事の最後で紹介しています。

全室オーシャンビューの絶景海の宿

フロントのあるロビーはこじんまりとしていますが、琉球畳が敷かれ、巨大な杉のオブジェがあるなど落ち着いた雰囲気です。エレベーターはなく、部屋はすべて2階にあります。

今回宿泊したのは和室小部屋(定員3名)

4.5畳の和室が2間続きとなっているシンプルな造りで、千年松では一番小さなタイプの部屋です。小さなベランダがあり、海水浴の道具を干しておくことはできます。窓からは来島海峡と四国本土を一望できる素晴らしい眺めです。目の前は瀬戸内海のメイン航路となっており、巨大なタンカーやフェリーなどが行き交う光景は見ていて飽きません。

千年松には何種類かの部屋のタイプがあり、さらに広い部屋はバルコニーも広く、テーブルセットも置かれていて、シーサイドリゾートのように過ごせるようになっています。

正方形の部屋が2間続くので、どうしても細長い間取りになります。少しでもスペースをつくるためテレビは壁掛に掛けられているため、メインとなる部屋にテレビがないのは残念ですが、美味しい食事に、お風呂に、海水浴にと忙しいので、テレビをゆっくり見ている暇はないので構いません。Wi-Fiも部屋ごとに準備されているなど施設は充実していますが、やや防音は弱く、隣の話し声が聞こえたりすることもあります。島の中にある小さな旅館であることを考えれば、それもまた旅の味わいですし、その他の凄いポイントが多いので全く気になりません。

スペース確保のため、冷蔵庫やポットなども押し入れの中に設置されています。

これまたスペース確保のためために洗面台とトイレは一緒になっています。気持ちの良い大浴場があるのでバスは部屋にありません。(一部の部屋にはユニットバスがあります)

トイレはウォッシュレット完備。洗面台とお風呂が一緒になったユニットバスを思えば、使いやすさは全く問題ありません。

瀬戸内海を一望する開放感がすごい「満天の湯」

お風呂の入口には和の趣が溢れており、秘湯感もあります。何より目につくのが入口の前にトンネルのように立つ巨大な石のゲート。大島は天然御影石の産地のため、巨石を使った大島らしいお風呂を表現しているそうです。入口横にコインロッカーがあり、チェックアウト後に海水浴などをして日帰り入浴をする際には便利です。

(満天の湯:大人800円、幼児・小学生450円)

入口を入ると、隠れ家か洞窟を思わせる雰囲気のエントランス。ここでの休憩や待ち合わせはできませんが、その雰囲気についつい足を止めてしまいます。宿泊客や日帰り湯のリストバンドを購入した外来客以外は利用できず、出入りはモニターで監視されています。

内風呂は露天風呂と壁一面の窓ガラスで区切られており、内外にありながらも一体となった広い湯船のように見えます。さらには海側に面した壁も一面の窓になっており、広いウッドデッキとも一体となり、その向こうに広がる瀬戸内海を望むとてつもない解放感が味わえます。感心するほど秀逸なデザインで、これ程開放的な内風呂は滅多にありません。

ガラスを隔てて内湯と一体のような露天風呂。湯に浸かるとさすがに海は見られなくなりますが、目の前の来島海峡の海水を汲み上げ沸かしたミネラル満天の湯が湯船に満たされています。潮風と海辺の解放感を感じながら、代謝を上げ身体の芯から温まる露天風呂は最高です。

また、開放的な内風呂やデッキが唯一閉ざされているのが男湯と女湯の境目。しかしながら内湯は壁一面の御影石の巨石、そして、そのまま外に続くようにデザインされた壁が一体感を演出し、開放的な空間を損なうことなく見事に溶け込んでいます。

露天風呂の前にあるウッドデッキからは船が行き交う瀬戸内海、来島海峡の風景を一望できます。男風呂なら海辺の手すりまで近づいても、下半身は浜辺からは見えないようになっています。潮風で火照った体を冷やしながらの外気浴も楽しめます。全裸でこれだけの解放感ある場所にいると、気持ちが弾けそうです。

夜になると海は見えなくなりますが、来島海峡を行き交う船の灯火や漁火、そして対岸の今治市の夜景が幻想的に潮騒の響く空間に煌めきます。朝・夕・晩、移り行く風景がとても美しく、滞在中は何度も入りたくなるお風呂です。

内湯の中にある階段を昇ると、中二階にも檜風呂があります。少し高くなった湯船からは、海を眺めながら湯に浸かれます。

檜風呂の外は段差なく畳が敷き詰められています。開放的な1階と違い、和の趣がたっぷりの空間です。畳に座りながら足湯を楽しむかのように寛ぐこともできます。

洗い場は内湯前に4箇所と入口付近に2箇所、合計6箇所あります。やや間隔は狭いですが、湯量も豊富で使いやすくなっています。オーガニックソープが用意されているなど、アメニティーにもこだわりが感じられます。

また天井も高く、古民家のように太い梁が組まれており、和の趣を感じながらも頭上にも空間の広がりを感じることができます。

瀬戸内海の海の幸を存分に楽しめる大人気の食事

エントランスから食事処へは廊下が続いています。なんと廊下に生け簀があり、石橋で渡るようなっています。この大きな生け簀から揚げられたばかりの活きのいい魚を美味しく頂けます。美味しすぎてついつい飲み過ぎ、食事処から部屋に帰る時に千鳥足になって、ここに落ちないようにしましょう(笑)

食事処は料亭や立派な旅館を思わせる設え。千年松は食事に最も力を入れており、宿泊以外にも宴会や会食にも人気。そのため食事処は客室と別れており、立派な設備でおいしい食事を頂ける容認なっています。

食事処は和室に高級感あるテーブルと椅子が並べられており、料亭のような落ち着いた雰囲気になっています。壁は襖で仕切られており、宿泊人数や宴会人数にあわせて部屋の大きさが調整できるようになっています。

食事処の窓からは松が美しい日本庭園を望むことができます。瀬戸内海を借景にした庭は開放感もあり、海を行く船を眺めながらの至極の食事時間を視覚的にも満喫させてくれます。

千年松の料理は、目の前の瀬戸内海で獲れたばかりの新鮮な魚介を美味しくたっぷりと頂けると大人気。滅多に食べられない鮮度やレアさを誇る魚や貝がどんどん出てくる夕食はまるで竜宮城のもてなしのよう。

まずは桶に盛られた魚の姿造り。瀬戸内海でもレアな魚と言われる「アコウ」(キジハタ)の刺身で、歯ごたえがありながらも柔らかい身は淡白ながらもとろけるような甘さを仄かに感じる絶品です。

目玉の料理のひとつが、地元・今治の郷土料理「鯛の焙烙焼き」です。炮烙という素焼きの土鍋で鯛や海老、卵を蒸し焼きにした料理で、船の上でもそのまま塩だけで素材を炭で焼くだけでつくれたという、村上水軍発祥と言われる料理です。凝縮された素材の旨味をやや濃いめの塩加減が絶妙で、ふっくらと焼き上がった鯛の身の美味しさは格別です。

煮つけは瀬戸内海でしか獲れないせとだいという珍しいで魚で、地元での呼び方は「タモリ」だそうです。濃厚な味付けながらもふんわりとほどける身は上品な風味で、脂ものっており、ご飯やお酒が進むこと間違いなしの逸品です。

生きたアワビと季節の野菜を鉄板焼き。火をつけるとは激しくのたうち回るアワビは見ていて少し残酷に思えますが、これ以上ない鮮度でその美味しさはずば抜けています。

タコの唐揚げ。タコ1匹をそのまま揚げた豪快な料理でハサミで切りわけて頂きます。大味のように思えますが、下味もしっかりとしており、パリパリ食感の衣は絶妙。何よりも来島海峡の潮流で引き締まったタコの身はプリプリながらも柔らかく噛みきれる絶品です。

〆の穴子飯。丁寧に炊いた熱々の穴子飯にを宿の人がタレをかけて上手にまぶして取り分けてくれます。手間隙かけてつくられたご飯はお米一粒ひとつぶまでふっくらとしており、絶妙な加減でタレの味を纏い、ふわりとした穴子が絶品で、たらふく食べた後でもおかわりをしたくなる美味しさです。

朝食は少し控えめながらも、目の前の海の幸や愛媛県産の食材を使ったこだわり抜いた食事。夕食の量が多かった分、朝はこれくらいの量であっさりしている方がありがたいです。また、目の前の急流で身の引き締まった最高の鯛の出汁が入った千年松オリジナルの醤油やポン酢も食卓に用意されており、さらに美味しく朝食を頂けます。

プライベートビーチで楽しむ至極の海水浴

海に面して広い敷地を誇る千年松。面した海は全て千年松のプライベートビーチになっています。まさに滞在しながら宿から出ずに海水浴が楽しめるリゾートアイランド。静かでのんびりとした海を独り占めした気分。ぜひ連泊して心地よい滞在を満喫しましょう。

宿の入口から反対側にもビーチが広がっています。ビーチの奥は岩場になっていてシュノーケリングも楽しめるスポットです。浜はあまり広くはありません。瀬戸内海は干満の差が激しいので、テントやレジャーシートを敷くならは砂浜の最上部にセッティングしましょう。

また千年松ではSUPやカヤック、釣り竿のレンタルもあります。写真奥の広場はデイキャンプ場となっており焚火台やピザ釜もあり。千年松が用意した新鮮な海鮮バーベキューも楽しめます。海沿いにベンチやテーブル、遊具も設けられていて、海のアウトドアが満喫できるスポットです。

宿の前のビーチがやはり、宿泊して海水浴をするには一番ベストなポイント。宿泊している宿の敷地内で海遊びを楽しめるのは贅沢極まりありません。

ビーチ奥は磯になっており、カニなどの生き物も捕まえることもできます。また、海の上に美しい緑を纏う島の山にも遊歩道で登ることができ、来島海峡を一望する美しい瀬戸内海の風景や四国に鎮座する西日本一高い石鎚山の姿を望むことが出来ます。

 浜辺には幾つもの納涼台が設けられており、宿泊者はチェックイン中に無料で使うことができます。また、外来やチェックアウト後も空きがあれば1区画3000円で利用ができます。テントやタープを用意しなくても、気軽に海が目の前の涼しい日陰を利用できるのは嬉しい限りです。泳がなくても、ここでビールでも飲みながら海を眺めてまったりしているだけで、とても気持ちが良い絶景スペースです。

瀬戸内海の海は波が穏やかで、安心して泳ぐことが出来ます。水質も美しく、透明で青い海の中ではシュノーケルも楽しめます。目の前に広がる陸地は四国。島が多く浮かぶ瀬戸内海の海水浴はとても気持ちの良い時間です。ただし、来島海峡の潮流が流れ込むこともあります。まだ流れのはやい場所ではありませんが、あまり沖には出ないようにしましょう。

敷地内の屋外にはシンプルながらも鍵がしっかりとかかる更衣室があります。チェックアウト後の海水浴はもちろん、部屋に戻らなくても着替えができます。

更衣室の近くには冷水シャワーも複数あります。なお、トイレは広場の一番奥に専用の建物があり、海水浴中ても気兼ねなく利用できます。

夏休みの宿泊はまさにプレミアムチケット

「海宿 千年松」は愛媛県内ではかなり知られていますが、全国的には知る人ぞ知る人気の宿。それでも海水浴の時期にはリピーターも多く、滅多に予約を取る事はできません。楽天トラベルで空室がなくても、電話で予約が取れます。しかし、夏休みに連泊するなら半年以上前に直接電話申込するほうが間違いないでしょう。海の日やお盆などの人気の日の連泊は、5月に電話をすると満室、お正月に電話をしてなんとか予約が取れました。

また、千年松と人気を二分する大島の人気宿が「民宿 名駒」です。千年松から歩いて5分の場所にあり、こちらも魚料理が美味しいと人気です。プライベートビーチは無く、お風呂は心地よいのですが展望はないため、千年松に比べると予約が取りやすい宿です。過去に千年松の予約が取れずに名駒に宿泊したのですが、あまりにも良かったのでリピート宿泊しているレベルの素敵な宿です。個人的な感想ですが、食事のボリュームと質は、実は千年松より名駒のほうが上だと感じています。

歩いて5分ほどで千年松のプライベートビーチに行くこともできます(外来駐車場あり、一部施設利用有料)。宿泊記事のリンクを下記に用意していますので、ぜひ名駒の宿泊もご参考に願います。

海宿 千年松

住所: 愛媛県今治市吉海町名駒25
電話: 0897-84-4192
イン: 15:00~18:00
アウト: 10:00
駐車場: 25台(無料)
交通: 西瀬戸自動車道・大島南ICより約20分
アメニティ:浴衣、バスタオル、ミニタオル、シャンプー類、歯ブラシ、カミソリ
設備: シャワー機能付トイレ、洗面、ミニ冷蔵庫、ドライヤー、Wi-Fi無料
客室: 15室

【投稿時最終訪問 2019年7月】

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