稲葉洞 【四万十川源流近くの探検洞窟】

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「最後の清流」と呼ばれる四万十川。196kmの長い旅の始まり、源流に向かう道がある。国道197号線から県道378号線(仁淀東津野線)を北向きに走る。デイリーヤマサキがある交差点が入口で、集落の中の道の分岐は「四万十川源流」の看板を目印にする。
1車線の細くくねった道を四万十川源流点に向かい車を走らせていると、「四万十源流センター」の看板が現れる。この看板に従い、道を左折すると、すぐに四万十源流センターに着く。ここには「せいらんの里」という自然体験宿泊施設があるだけである。素泊まり3000円(子供2000円)で宿泊でき、四万十源流ウォークや体験手作りも楽しめるそうだ。しかし、どうやら予約がないと営業していないようで、食堂やロビーもこの日は閉まっていた。しかし、施設の下を流れる川の向こう岸に、何とも冒険心をくすぐる洞窟がある。それが「稲葉洞」だ。

車を降りて、河原に下りてみる。もちろんこの川は四万十川だ。鏡面のような水面に、周囲の山々の姿を映す悠久の姿が印象的な四万十川も、ここまで上流に遡れば、よく見かける山の中の清流と変わらなくなる。そんな四万十川の向こう岸にぽっかりと稲葉洞が岩肌に穴があけている。向こう岸に渡る橋もかけられているので、さっそく接近してみる。

稲葉洞の入口には祠が祭られていて、洞窟の奥は真っ暗で様子はうかがいしれない。入口から洞窟は斜め下へと落ちていき、それを下るようにロープが垂らされ、足場も組まれているようだ。そして、洞窟の中に照明用の電気ケーブルが引かれている。どうやら一昔前は、この洞窟の内部は観光用に一般公開されていたのだろう。
しかし、洞窟の中には人口の光は一切放たれていない。まさに暗黒。が、ふと鞄の中にはなぜかヘッドランプが入っている。別に洞窟探検するために持っているのではなく、昨晩は四国カルストでキャンプをしていたので、偶然持ち合わせていたのだ。これは、中に入れという神の思し召しだ。そう思い、妻を入口に待たせ、ロープを伝い洞内に潜入開始する。
入口の勾配はきつく滑りやすい岩場だが、中ほどまで降りると、階段状に整備させた場所に出る。ここからは真っ暗。ヘッドランプの光を頼りに、ゆっくりと中に進んでいく。観光用に整備されたという僕の思惑は大当たりのようで、危険なく歩きやすい洞内をゆっくりと進んで行けた。かがまなければならないところもなく、歩きやすい。
奥に行くと、突然、広い空間に出る。洞窟の中に突如として広がる空間はとても不思議。ライトの光で、どうなっているのか、その空間の中をゆっくりと照らしまわしていくと・・・暗闇の向こうで、何かがゴソゴソと動いている!!
「な、何だ??」
地下深くの暗黒の閉ざされた空間での道との遭遇。それは恐怖!洞窟の中に潜む魔物か、それとも地底人か?もしくはここは宇宙人の基地、それともこの世のものではない何か??
恐る恐る動くものの方をライトで照らすと・・・
「あ、こんにちは」動くものは、先客の人間が2人、来ていたのであった。・・・心臓止まるかと思った。
彼ら2人のいでたちは、つなぎにヘルメットにザイル。本格的なケービング(洞窟探検)の装備だ。僕はジーンズにシャツ、そしてヘッドランプ持ってカメラぶら下げている。彼らの居るところの奥にまだ道が続いているようだが、こんな観光客丸出しの格好の人間が、探検隊を押しのけて先に進む訳にはいかない。
「ちょっと覗きに来ただけです、失礼しました~」と、さっさと退散した。
稲葉洞の奥には、清流・四万十川の一部が地下河川となって流れていると聞く。冒険心くすぐる洞窟だ。また機会があれば、今度は山登りをするくらいの装備で行ける所まで探検してみたい。
洞窟内は所々ぬかるんでいて、靴がドロドロになった。まるで田んぼの中に入ったみたいた。このまま車の中に乗るわけにはいかず、四万十の清流で靴を清めさせて頂いた。

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稲葉洞

場所 高知県高岡郡津野町船戸4727
電話 0889-62-3623(四万十源流センター・せいらんの里)
交通 高知自動車道須崎東ICより国道197号・県道378号線を車で約1時間
駐車スペース あり

【投稿時最終訪問 2007年10月】

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