民宿大岩【大満足の海鮮料理で人気の宿】

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泊まってみたくなる宿。旅に思いを巡らせ、情報収集をしていると、そんな宿と出会うことがある。日帰り圏内ながら、どうしても一度泊まってみたい宿があった。それが四国最西端の宿「民宿大岩」だ。
ネットや知人からの情報によると、とにかく海鮮料理が新鮮でスゴイ量だという。この料理についての口コミは、見れば見るほど強烈。温泉では無いが、展望風呂から見られる海の風景も素晴らしい宿だ。

海の幸が美味しいと人気の四国最西端の宿

大岩までは、「四国最西端の宿」と言うだけあって、その道のりは過酷。四国本土から九州に向かって40kmも伸びる、日本一細長い半島である佐田岬半島。その背骨部分を走るメロディーラインを走破し、さらにそこから毛細血管のように末端の佐田岬へ伸びる細い道を進む。そしてたどり着いたのが、佐田岬灯台の手前、佐田岬漁港のどまん前に大岩は鎮座している。
こんな僻地の漁港にある民宿というのだから、施設はそれ相応だと思われるかもしれないが、これが予想に反して立派。比較的新しい建物で、きれい。6階建てで100人も収容が可能だ。宴会場まであり、観光バスも宿泊客を運んでくる。民宿と言っても、その施設は旅館と遜色ないレベルとなっている。実際に雨の日の何も無い週末なのに、宿泊客は満員。釣りの宿に利用する人や、口コミで噂の海鮮料理を堪能しに泊まりに来た客で賑わっていた。

大岩のロビー。やや狭めで、この部分に関しては民宿や小規模旅館といった感がある。

共用施設。トイレと洗面所は共用だが、共用部分もきれいにされている。

歯磨きや髭剃りなどのアメニティが自由にお取りくださいと洗面所に置かれている。そして、大岩の特徴である「タオル」がどっさりと置かれていて、自由に使えるようになっている。ただし、手洗いのたびにタオルを使用済みボックスに入れるとすぐに無くなる。先に必要枚数確保して、滞在中に部屋に保管して使いたい。
トイレもとてもきれいで、施設も十分。共用トイレとしては、レベルはかなり高い。ただ、内開きで、照明スイッチがトイレの中にあるため、ちょっと使いにくい感じはあった。

部屋の中の様子。部屋にテレビとポットとお茶菓子、そして浴衣のみ。とてもシンプルながら、清潔。窓からは佐田岬漁港の風景が一望できる。
浴衣には足袋もセットされていて、スリッパのかわりに草履があるのが何とも良い。しかも、子供用の草履まであるのが、子連れで来るとちょっと嬉しい。

海と佐田岬の美しい海岸美を一望できる展望風呂 

チェックインしたら、さっそくドライブの疲れと汗を流しに展望風呂に向かう。更衣室には簡易な鍵がついたロッカーがあり、バスタオルとタオルが置かれている。好きなだけ使ってくださいと大量に置いているが、洗面所同様、こちらも朝風呂の時にはかなり少なくなっていた。
浴室は内風呂だけだが、ジェットバスやサウナの装備もあり、快適。洗い場も4つあり、広くは無いが、かなり快適に使える。温泉ではないので、ややプールのようなにおいがあるが、それでも湯は快適でしっかりと温まる。

大岩の風呂の売りは、展望。窓からは佐田岬漁港の風光明媚な風景が楽しめる。漁に出て行く船、漁から戻ってきた船。港町の風景を見下ろしながら湯に浸かれるのは、なんとも不思議な感覚。

湯に体を沈めれば、佐田岬半島を遠望できる。海と荒々しい海岸線。そして、どこまでも続く細長い山脈と、その上に林立する真っ白で巨大な風車群。ただでさえ絶景。それを湯に浸かりながら、贅沢にもひとり占め。ここにたどり着くまでの運転の疲れなんて一気に吹き飛ぶ、至極の時間がここにある。そして、遠くまで旅に来たと言う実感が、湯に漂うように疲れる日々の生活を忘れさせてくれる。

とれたての海鮮を名物の残酷焼きと分厚い刺身で堪能!

展望呂でくつろぎ、しっかりと汗をかいたら、お楽しみの夕食。夕食は1階にある個室で頂く。漁港にある宿らしく、目の前にはとにかく海鮮づくし。

そして、この宿の名物は「残酷焼き」「地獄焼き」とも言われる、生きたまま魚や貝を焼く、豪快かつ、港がすぐの場所でしか楽しめない料理だ。その残酷焼きの食材は、いっぱいの貝。色鮮やかなヒオウギガイから、サザエにアワビ。写真ではわからないが、全部生きている。ウネウネとお皿の上で、動いているのだ。鮮度抜群!

海鮮の王様、刺身。どれも肉厚でとてもプリプリしていて美味しかった。ウニも甘くてクセが全くなく、口の中に入れるとあっという間に溶ける。これは、輸送されたウニでは絶対に味わえない本来の獲れたての味で、ウニが苦手な人も絶対に食べられる。
さて、大岩がある港には三崎漁協がある。経営破綻から再建中の漁協だが、そのブランドである「岬アジ」「岬サバ」は絶品。九州に向かって突き出したこの佐田岬、実は有名な「関アジ」「関サバ」が獲れる豊予海峡に面している。九州側で上げると「関アジ」「関サバ」、愛媛側で上げると「岬アジ」「岬サバ」となる。ブランドは違えど、モノは同じ。この大岩では、獲れたての「関アジ」「関サバ」と同じ魚が楽しめるのだ。とにかく刺身がプリプリで脂が乗っていて美味しくてたまらない!

さあ、残酷焼き。宿の人に焼き方の手ほどきを受けたら、さっそく焼いていく。焼いていくうちに貝の口が開き、ダシを貝の中に注いでグツグツと煮る。アワビが不気味なくらいにウネウネとのたうち回る。これは、地元の漁師でしか味わえないような、豪快でぜいたくな料理。なかなか、こんな食べ方が出来る所は少ない。しかも浴衣でビール付き。贅沢の極み。
とにかく美味しいし、量も多く、噂にたがわず最高レベルの満足の夕食だった。

漁港散策と海の幸たっぷりの朝食で素敵な朝

翌朝、朝の佐田岬漁港を散策してみた。潮騒だけが響く、とても静かな港町。遠くには音もなく白く巨大な風車が回り、澄んだ水の中では魚影が踊る。喧騒というものはどこにもないが、時折静寂を破るように、エンジン音を響かせて漁船が漁に出港していく。

朝食は宿泊した本館の隣にある新館の宴会場で頂いた。和風で海の幸がてんこ盛りの食事。写真には写っていないが、大きなエビを半分に切ってそのまま煮込んだ味噌汁がついている。エビの味がたっぷりしみ込んだ味噌汁は絶品。八幡浜名物のじゃこ天もあり、朝食の味とボリュームも言うことなし。
大岩は民宿という形態だが、施設としては限りなく「旅館」に近かった。接客サービスは過剰ではなく、ソフト面ではいい意味で「民宿」だった。
自慢の風呂と料理は噂にたがわず最高で文句なし。この内容で1人9500円。民宿としては少し高めかもしれないが、この料理の内容を考えれば、絶対に破格。
宿からは車で少し走れば、四国最西端の「佐田岬」がある。温泉にどうして入りたいのならば、途中で快適な「亀ヶ池温泉」に立ち寄るのも良い。佐田岬で沈む夕日を楽しみ、この宿で海鮮に舌鼓を打つ。なんとも贅沢な海の楽しみ方が、ここにあった。

民宿大岩

住所: 愛媛県西宇和郡伊方町正野26
電話: 0894-56-0070
イン: 14:00(最終チェックイン18:00)
アウト: 10:00
駐車場: 100台(無料)
交通: JR八幡浜駅より国道197号線を約40km
アメニティ: 浴衣、草履、足袋、ハミガキ、ヒゲソリ、シャワーキャップ、クシ、タオル、バスタオル
施設: テレビ、お茶セット、ドライヤー(共同洗面所)、自販機
浴室: 内風呂、ジェットバス、サウナ (非温泉)
料金: 1泊2食9500円~ (繁忙期は10500円~)
客室: 22室(収容100名)

【投稿時最終訪問 2011年6月】

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