雲海の竹田城【早朝登山で誰もいない絶景】
「天空の城」「日本のマチュピチュ」など、幻想的な名前を冠される竹田城。今や有名になりすぎ、秘境というイメージはすっかりなくなってしまいましたが、誰もいない雲上の城跡に立てれば、まさにその名の通りの幻想的な風景を楽しめます。観光客が多くなかなか静かな風景を楽しむことが難しくなった竹田城ですが、日曜日でも幻想的な風景を少しの間だけ独り占めできる可能性のある方法が、早朝登山なのです。竹田城へのアクセスは、マイカーが乗り入れられないのでシャトルバスになります。しかも、シャトルバスを降りた後も20分ほど、緩やかに舗装道路を登る必要があります。それならば約40分ですが、しっかりと整備された登山道を竹田駅前から歩き、一番乗りを狙ってみませんか?しかも、朝一番で竹田城に入ると、運が良ければ雲海も見れることもあります。
【この登城計画は3月1日~5月31日のスプリングシーズン向けです】
朝一番の竹田城に立つなら車でアクセス
竹田城へ登山をするならJR竹田駅すぐ近くの「竹田まちなみ観光駐車場」を利用しましょう。朝7時からしか利用ができないので、注意が必要です。早く到着できたのなら、雲海に浮かぶ竹田城の撮影ポイントとして有名な「立雲峡」に先に立ち寄るのもオススメです。竹田まちなみ観光駐車場は広く、朝10時くらいまでなら土日でも空きはあります。トイレと自販機はありますが、付近には売店はないので、必要に応じてコンビニで食料等は事前調達しておきましょう。
観光駐車場からまっすぐ進むと「旧木村酒造場EN」があります。ここを抜けるとすぐに踏切なのですが、早朝だと営業時間外のため、固く門が閉まっています。ENの横、北側に細い路地があり、そこを抜けるとすぐ線路沿いにでます。竹田駅のホームを望みながら、踏切を渡ります。
踏切を渡ると広場になっています。ベンチ、東屋、トイレがありちょっとした休憩するにはもってこいの場所。竹田城のオープンの時間がまだなら、ここでコンビニの朝ごはんを食べながら時間調整もできます。
寺社が建ち並び、美しい水が流れる水路が流れる竹田駅東側の「寺町通り」。静かな早朝のちょっとした城下町散策が楽しめます。寺町通りを少しだけ北に歩くと、竹田城登城口があります。看板も出ており、すぐにわかります。
城門が開いたと同時に天空の城目指してかけ上れ!
竹田城早朝登山は注意がひとつ必要。それは竹田城の閉城時間中は、登山道も閉鎖されてしまうこと。登山道のガードはかたく、周囲一体、有刺鉄線つきの頑丈な柵で取り囲まれており、まさに当時の鉄壁の守備力が再現されています。うっかり入れるレベルではありません。竹田城の開城時間は季節によって違いますが、開城15分前に係員が門を開いてくれます。
駅側登山道は比較的緩やかな登り。ジグザグに登るのでやや距離はありますが、危険箇所もなく、安心して登れます。道の分岐もなく、100メートルごとに「あと何百メートル」と記された看板があるので、安心です。
通常、ゲートから竹田城入口まで2〜30分かかりますが、健脚な方なら15分で到着できます。ゲートオープンと同時に登り始める方は何人かいらっしゃるので、誰もいない竹田城を楽しみたい方はここが正念場です。ちなみにこの日は日曜日ですが、僕が一番乗りゲット!
竹田城早朝登山に便利な城下町の宿
誰もいない雲海に浮かぶ竹田城は神秘的!
ゲートオープンまでの待ち時間で大分雲海は消えてしまいましたが、それでもまだ城の北側には雲海がたっぷり残っていました。北千畳の向こうには広大な雲海。まさに天空の城に乗っているかのようです桜の季節には、この巨木が美しい桜の花を纏い、さらに美しい風景を楽しませてくれるでしょう。
まるで雲が海のように、山の頂が島々となり、雲の海の上に浮かんでいるようです。竹田城の雲海の見られる期間は9月下旬から4月上旬。特に見頃は晩秋の時期で、よく冷え込んだ晴れた朝に発生する可能性が高くなり、発生時間帯は夜明けの早朝から太陽が昇り切る午前8~9時前頃迄です。シーズン中でも毎日見られる保証がない雲海を、4月上旬の時期外れ直前に見られた事はとても幸運でした。
北千畳で雲海を堪能したいところですが、他の観光客が登ってくる前に、天守台がある城の中心部に向かいます。 なお、竹田城内部は一方通行なので、一番乗りで入場すれば進む先は常に人がいない状態になります。
城壁と雲海の組み合わせはとにかく絵になります。日が高くなるにつれて、どんどん雲海は下流の北側へと流れていきます。この日は4月上旬にも関わらず、早朝の気温は0℃に近づきました。防寒対策はしっかりして登りましょう。
天守台の手前で北側を振り返り、雲海と城跡の絶景を堪能します。まだ他の人は登ってこないので、この神秘的な絶景を独り占めです。
南二の丸、南千畳に続く石垣。500年も前に、このような山の上にこれだけ立派な城を作っていたことには驚きです。遠くにはいまだ雪を頂いた山々。竹田城の山城としての美しさや堅牢さがヒシヒシと伝わってきます。
天守台の側までやってきました。見事に組まれた石垣がとても美しく、見とれてしまいます。普段なら、天守台の上にも南千畳にも多くの人がいるので、誰もいないこの風景の独り占めは朝一番の訪問者に与えられる特権です。
天守台の上部に到着しました。北千畳を見下ろすと、雲海たなびく幻想的な風景。竹田城の真髄ともいえる景色です。
天守台から竹田城の北側を望みます。まだこの時点で誰も竹田城に登って来ていません。休日の日中なら、多くの人で賑わう場所も、雲海に包まれ、誰もいない今は静寂そのもの。まさに今、竹田城はかつての秘境に戻った瞬間。その瞬間を堪能できるのは朝一番に山上に駆け登った人だけに許される贅沢なのです。
普段なら人がいっぱい歩いている南千畳も誰もおらず、失われつつある秘境のムードを垣間見る事ができました。
南二の丸付近から天守台を振り返ります。雲上に残された堅牢な石垣は、まるで古代遺跡のようにも見え、「日本のマチュピチュ」や「天空の城」といった響きがぴったりの場所です。
竹田城随一の広大な空間である南千畳。普段なら通路を歩く人であふれている場所も、朝一番だと誰もいません。朝の清々しい空気の中、歩くだけでも気持ちいい場所です。
南千畳から天守台を振り返ります。まだ、南千畳には誰もいませんが、登山や朝一番のシャトルバスで訪れた人が少しずつ増えてきて、天守台まで後続の観光客が到達しています。
竹田城から見下ろす竹田の街並み。雲海はすっかりなくなり、円山川の流れが美しく朝日に輝いています。見下ろす竹田の街並みもとても素敵です。
登りと違うルートでの下山も楽しい
竹田城から下ると、シャトルバス乗り場から続く舗装道路に出ます。ここを右に曲がり、バス停方向に少しだけ下った所に、下山に使うもうひとつの登山道である「表米登山道」があります。
シャトルバス乗り場に続く舗装道路脇から表米神社登山道が下っていきます。標識も登り同様しっかりしており、道迷いの心配もありません。
表米登山道は谷筋を一気に下ります。危険個所はありませんが、階段が続く急な下り坂なので、自信の無い方は料金所まで戻り、登りに使った駅裏登山道で再び下りましょう。
表米登山道にも駅裏登山道と同様に有刺鉄線フェンスでの強固なガード。谷を流れる川にも遡上ができないようにされており、やはりこちらからのうっかり時間外登山もあり得ないようになっています。
フェンスを抜けるとすぐ、表米神社の境内に出ます。観光では訪れる人も少ないですが、とても味のある地元の神社です。特に、土俵の横にある道場のような建物は大きな梁が使われており、古き良き日本の山里を感じさせてくれます。
表米神社の鳥居をくぐると、駅の東側、美しい水路の流れる寺町通りに戻ってきます。古き良き日本の街並みを散策しながら北に向かうと、すぐに踏切前の広場に戻ってきます。途中、家々の間から、先ほどまで登っていた竹田城を見上げる事ができます。
下山したら竹田の城下町を楽しもう
再びJR踏切を渡ります。霧のかかった朝とはまた違う雰囲気。緑が芽吹きはじめ、花を咲かせる中にも、遠くにはまだ雪を頂いた山々。日本山里のの春の訪れを実感できる風景です。
踏切を渡ると、朝は閉まっていた「旧木村酒造場EN」の門が開いています。(朝9時オープン)築100年の建物を和の趣たっぷりにリノベーションしたホテルや酒造場の発酵蔵で美味しいフレンチを頂けるレストランなどがあります。立派な蔵や古い洋館の外観だけでも見応えがあり、土産等の販売もあるので、是非立ち寄りましょう。
ENの中には、情報館「天空の城 」があります。入場料無料で、竹田城についての様座な展示や、シアターを楽しむ事ができます。できれば登城前に立ち寄りたい所ですが、早朝登山だとそうはいきません。せめて立ち寄って、見てきた竹田城の余韻に浸りたいですね。
【この登城計画は3月1日~5月31日のスプリングシーズン向けです】
竹田城の観光・宿泊情報
竹田城近くには「生野銀山」や「神子畑選鉱所」や「明延鉱山」という鉱山遺跡もあります。時間があればぜひ一緒に巡りたいです。宿泊は、少し車を走らせると関西屈指の温泉「城崎温泉」があります。
せっかくなので、城崎温泉で上質な温泉と美味しい料理を楽しみたいですね。
竹田城
場所: 兵庫県神朝来市和田山町竹田
電話: 079-674-2120
営業時間: 3/1~5/31 8:00~18:00 (入場17:30まで)
6/1~8/31 6:00~18:00 (入場17:30まで)
9/1~11/30 4:00~17:00 (入場16:30まで)
12/1~1/3 10:00~14:00 (入場13:00まで)
休業日: 1/4~2月末
交通: 播但連絡有料道路・和田山ICより約10分
(竹田まちなか駐車場まで)
料金: 500円 (中学生以下無料)
駐車場: 60台 (竹田まちなか駐車場、無料、7~21時まで)
(混雑時はその他近隣駐車場あり計約300台)
【投稿時最終訪問 2017年4月】