2019年より新バス!立山黒部関電トンネルバス
日本を代表する山岳観光ルート「立山黒部アルペンルート」
いくつもの乗り物を乗り継ぎ、巨大なダムから雲上の別天地をめぐる山旅は最高です。長野県側の起点、扇沢から黒部ダムまで、地下を走り2678mの赤沢岳を通り抜ける乗り物が関電トロリーバス。パンダグラフが着いたレトロなバスですが、2018年をもって運用を終了し、2019年度より全台電気バスになります。
信州側最初の乗り物が立山黒部関電トンネルバス
信州側のアルペンルートの入口になる長野県大町の「扇沢駅」(標高1433m)マイカーで訪れても、広い駐車場に車を置いてここから乗り物を乗り継いでいきます。この扇沢から関電トロリーバスが運行しており、信州側の最初の乗り物になります。
トロリーバスは車庫の中でメンテナンスを受けたり、洗車をしてもらったり大忙し。電車と違い、パンダグラフを下ろしても、ある程度の距離は自走てきるようです。
ずらりと並ぶトロリーバスはまるで電車のよう。バラバラに出発するのではなく、何台かまとまって時間通りに出発します。余談ですが、トロリーバスは法律上「電車」扱いだそうです。そのため扇沢はバスターミナルではなく、駅という事になっているそうです。
トロリーバスは電車と同じで、パンダグラフを使って電線から取り入れた電気でモーターを駆動させます。まるで路線のように電線が引かれた道をトロリーバスは進み、長い長いトンネルに入ります。
「黒部の太陽」の舞台、壮大な地下トンネルをバスで行く
長いトンネルは景色も何もありません。このトンネルは元々、黒部ダムの建設にあたり、建設現場に機材を運ぶために掘られた工事用のトンネル。映画「黒部の太陽」の舞台となったところで、途中その最大の難所となった破砕帯を通ります。破砕帯付近には看板が設置され、今も大量の水が流れ出しています。車内アナウンスで破砕帯の説明もされますので、かつての日本の電力を支えた大工事のロマンに思いを馳せてしまいます。終点が近づくにつれ、トンネルの分岐や遮断機など、地下基地の様相が濃くなってきます。
15分もの長い地下の走行を終え、黒部ダム駅に到着。アルペンルートはここからは黒部ダムを徒歩で渡り、黒部ケーブルカーへ向かいます。トンネルの中は夏でもとてもひんやりしていて気持ちがいいです。
黒部ダム駅駅のプラットホームでずらりと並ぶトロリーバス。それはまるで地下鉄の風景のようです。このトロリーバスが2018年でなくなってしまうのは残念なところ。関電トロリーバスが廃止されれば、日本で唯一残るトロリーバスは、この先アルペンルートで立山本体を貫く立山トンネルを走るトロリーバスだけでになります。
バスを降りた後は迷路のような地下施設
黒部ダム駅はその施設すべてが地下に設けられています。それはまるで地下鉄の駅。トンネルを改装して作ったような駅舎は不思議な感じがします。
黒部ダム駅からは下って黒部ダムに出るか。登って黒部ダムの展望台にでるか2つのルートに別れます。通常、黒部ダムの観光やアルペンルートをまだ先に進むなら、階段を下りて進みます。
階段を下りきると、またトンネルに出ます。迷路のようなトンネルの中を明かりに導かれ、久々の地上に出ると、そこはもう黒部ダムです。
さて、展望台へは黒部ダム駅から220段の階段を延々と登ることになります。どうせ展望台に行くなら、黒部ダムを見学し、その後に黒部湖や立山の遠景を見ながら地上の階段を登るほうがオススメです。展望台見学後に扇沢に向かう際、この地下階段を下りましょう。階段の途中には破砕帯の水が引かれています。工事途中は行く手を阻み、作業員の体温を容赦なく奪った魔の水。工事が終わった後は、観光客の喉を潤す癒しの水になっています。
アルペンルートを全部通ればお金がかかる、時間がない。そんな時は黒部ダムの観光だけでも十分に楽しめます。2019年より電気バスになりますが、アルプスの風景と歴史に残る工事の跡、巨大なダムを楽しみに行ってみませんか?
※この記事は2018年5月に投稿したものを再編集したものです
立山黒部アルペンルート(大町)の宿泊情報
立山黒部アルペンルートの長野側の起点になる大町には温泉旅館・ホテルが多くあります。アルペンルートの観光はもちろん、安曇野にも程近いので、信州の温泉宿として人気のエリアです。