伊予鉄道県内最古のレトロな煉瓦橋

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愛媛県の県庁所在地、松山市の主たる交通機関である「伊予鉄道」。1888年に松山市に開通した、日本でも2番目に古い私鉄だ。中国・四国・九州では、はじめて出来た鉄道で歴史がある。明治39年に発表された夏目漱石の有名な小説「坊ちゃん」にも、この鉄道のことが「マッチ箱のような汽車」として記されている。
歴史のある伊予鉄道には沿線に歴史やレトロを感じるとスポットが多く残っている。

愛媛県に残る最古の煉瓦橋

そんな歴史的建造物のひとつが「煉瓦橋」(横河原線・第26号溝橋)だ。松山市駅から横河原に向かう横河原線、松山市駅を出発し、石手川の土手を越えるためのものだ。道路を通すために煉瓦暗渠として築造されている。
明治25年に建造されており、愛媛県内最古の煉瓦橋とされている。松山市指定の「景観形成重要建造物」であり、土木学会選奨土木遺産としても認定された貴重な建造物だ。路線と道路が斜めに交差しているため、レンガの積み方を工夫してねじれを解消する技術も使われている。

現在も現役である県内最古の煉瓦橋

住宅街の中に突然現れた、レトロなレンガ造りの橋梁。昔の名残を残しつつも少しずつ近代化していく町並みの中に、まるで置いてきぼりを食らったかのような過去の遺物。
おそらく、伊予鉄道ができた時から、ほとんど変わらない姿をとどめる歴史ある場所。周囲の道が車がすれ違いできるくらいまで広げられたのに、この橋の下だけは離合不可能。昔の時代の規格もこの場所に残る、時代について行こうとしない空間には、過去の記憶が留められている。

しかし、遺構のように見えるレンガの橋も現役。よくこの電車に乗るのに、乗っている電車からはここにこんな橋があるなんて全く分からなかった。
比べるととても大きな伊予鉄道の電車の走行も、今日もレトロ橋は何も言わずに支えている。この橋がここに鎮座してから、どれだけの電車が上を走り、どれだけの車がここをくぐっただろう。新しい電車が導入されても、車がどんどんモデルチェンジされても、この橋だけは変わらぬ姿。歴史を感じる。

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