岩堰・岩堰橋 【愛媛県 松山市】

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愛媛の県庁所在地、松山市の顔ともいえる道後温泉。道後温泉を通り抜け、51番札所の石手寺からもう少し西に行くと石手川に出る。のんびりとサイクリングを楽しむには絶好のコースだ。
そんな石手川に「岩堰橋」という真っ赤なレトロな吊り橋が架かっている。

大正時代につくられたレトロな岩堰橋

「岩堰橋」は大正13年竣工。橋長18.2m、幅員1.4mで通称「あかばし」と呼ばれている。
付近の自然の中に溶け込む、とても趣のある橋だ。歩行者・自転車しか通れないが、散策する人や地元の人の足として、意外にここを通る人は多い。

岩堰橋を自転車を降りて押しながら通ってみる。自然に囲まれた散策道。とても気持ちが良い。
吊橋ではあるが、そんなに揺れず、高さもさほどないので、高所恐怖症の人でもさほど問題はなさそうだ。

江戸時代に切り開いた岩堰の見事な風景

岩堰橋から眺めた「岩堰」
ここは江戸時代に松山城の城下町を洪水から守るために切り開かれた場所だ。現地看板によると、以下の通り。
普請奉行の足立重信は、まず岩堰に立ちふさがる数十間の岩盤を切り開き、ここから流れを西南に向け、余戸で重信川に合流させました。岩堰の開削は、石切のみとつちだけで固い岩盤を削ったもので、今も残るのみ跡は、当時の難工事を物語っています。
少し変わった風景に見えるが、それは昔の人が手作業で岩をくりぬいて作った川であるからこそ。良く見ると、付近の岩は不自然にずられた跡がいっぱい残っている。それは自然のなせる美しい業ではなく、稚拙な人間の技の跡。しかし、大自然にノミ1本で挑んだ人々の情熱の証でもあると思うと、この風景がなんだかとても素晴らしいものに思えてきた。

渡った岩堰橋を振り返る。良く見ると、この橋にも大正時代のレトロな歴史がしっかりと残っている。一説によると、この時代の橋脚が現役でも残っているのは希少だそうだ。
実はこの橋の近くは車でよく通る。周りにはショッピングセンターや最近よく行くようになったカフェもある。そんな町の中でも、歴史ある知らない場所が隠されている。自分の足で、自分の町を散策してみる楽しみは、こういうところにあるのかもしれない。

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