内子町・郷之谷川枝垂れ桜の並木道
愛媛県の内子は春には桜や菜の花が咲き乱れ、旧暦でひな祭りを祝うこの町の家や店の軒先にお雛さまが飾られる。歴史ある街並みと、その家に代々伝わる歴史あるお雛様が春の風景を描く。そんな日本の美があふれる内子で、ひときわ美しい桜の風景を楽しませてくれるのが、国道56号線沿い、内子町役場内子支所のすぐ横にある郷之谷川のしだれ桜の並木道だ。この並木はソメイヨシノより10日ほど早く見ごろを迎える。例年3月20日、春分の日頃が見頃で、町中のソメイヨシノより一足早く花を咲かせ、春の訪れを告げてくれる。
内子町枝下桜の満開は例年春分の日
春分の日に郷之谷川に訪れると、枝垂れ桜は咲き乱れていた。訪問時は暖冬のため、残念ながらもう見頃は終過ぎており、付近のソメイヨシノもすでに5分咲きになっている。川辺の鮮やかな緑と桜色のコントラストが、春の訪れを感じさせてくれる。
流れる春の小川には、季節外れの温かな陽射しが反射してキラキラ光る。サラサラと流れる心地よい水の音には、もう冬の寒さは感じず、命の躍動感があふれている。
枝垂れ桜の近寄ると、ミツバチが忙しそうに花から花へと飛びまわり、仕事をしている。これもまた、春を感じさせてくれる風景。
見上げると、青い空一面に広がるピンクの桜。春を感じるのそよ風に一足早く咲いた桜の花が揺らぎ、とても美しい。その風に乗り、ひらりと花びらが舞い落ちてくる。
枝下桜の下を流れる郷之谷川はまさに春の小川
桜並木の中ごろにひときわ大きな枝垂れ桜がある。この個体は他の桜が散っても最後まで花を毎年残してくれている。ソメイヨシノの満開の時期にあわせて内子を訪れると、枝下桜の並木道はもう散ってしまっているが、この桜の木だけは美しい花を保って緑の並木道の中で美しい色を楽しませてくれる。
その大きな枝垂れ桜の下からは流れる小川と枝下桜を撮る絶好の撮影スポット。新緑と桜が彩る煌めきなら流れる小川は、春の小川と題するにふさわしい美しい風景だ。
枝垂れ桜の下に、川辺に降りる階段が付いている。その階段に踏み込めば、そこは枝垂れ桜の枝の中。桜の花の天幕に覆われ、揺らめく水の流れに包まれるこの場所は、春を感じる癒しに満ちている。
川辺には桜の他にも春の花が次々に咲いていく。一足早く咲いた冬の花スイセンもまだ残り、春を一緒に彩る。黄色のスイセンと空の青を映した水辺には鮮やかな色の競演。暖かな陽光に照らされた冬の花には春を感じずにはいられない。
桜と新緑が入り乱れる春の小川。緑の中には小さくも美しい花も咲いている。ひと足早く感じる春の風景、それが郷之谷川のほとりにある。この枝垂れ桜の並木道、以前は訪れる人は少なかったが、ずいぶん有名になり、多くの人が訪れるようになった。
長さ約100mの区間、枝下桜のトンネルを流れていく郷之谷川はとても気持ちがよい。青空と春の陽気の中で感じる春の鮮やかさは、厳しい冬の終わりを実感させてくれる。さて、この桜並木だが、生活道路にもなっているので車を停めたり、乗り入れたりするのはおすすめできない。内子町八日市の町並み観光駐車場か道の駅フレッシュパークからりからは徒歩約15分。すぐ横に、内子町役場の内子支所がある。その駐車場が休日でも開放されているので、桜並木だけ立ち寄りで見学するなら、利用させて頂くのもいいかもしれない。
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郷之谷川枝垂れ桜
場所: 愛媛県内子町内子1476
交通: 松山自動車道・内子五十崎ICよりすぐ
JR予讃線・内子駅より徒歩5分
見頃: 春分の日前後
【投稿時最終訪問 2013年3月】