連絡船うどん【高松駅内の讃岐うどん店】

県内に星の数ほどのうどん屋があるうどん県・香川県。美味しいうどんを求めて何軒も讃岐うどん店をめぐる食べ歩きも人気だ。そんなうどん県の中心、高松駅を降りた瞬間、目の前に現れる最初の讃岐うどん屋が「連絡船うどん」だ。

徒歩0分！電車を降りたら讃岐うどん！

岡山、徳島、高知、松山。四国の県庁所在地すべてと瀬戸大橋で本州の新幹線駅と接続する高松駅は、四国でもっとも利用者が多く、発着列車が多いJRの駅である。四国全土と本州からやってきた列車がここで行き止る。そして、その先に待っているのがフェリー乗り場。駅から歩いて5分ほどで、瀬戸内海の島々に向かう船が忙しく出航する船乗り場に接続している。瀬戸大橋ができる前は、四国から電車で集まってきた人は、ここから宇高連絡船で本州へと渡っていったのだ。

讃岐うどん［3人前／つゆ付］池上製麺所るみばあちゃんの生おうどん【香川県産】

posted with カエレバ

楽天市場

Amazon

Yahooショッピング

かつての連絡船の味が今もホームに残る

さて、まずは朝食のうどんを食べねばならない。すぐに食べられるうどん店はどこか。そう迷う間もなく、目の前にうどん店の姿が飛び込んできた。それも高松駅のホームの中、改札の横にある。
この店は「連絡船うどん」。姿を消していく宇高連絡船で提供されていた讃岐うどんの味を引き継いでいる店だ。瀬戸大橋とETCに対抗できず姿を消した連絡船だが、その船のなかで故郷の味として親しまれていたうどんは、今もこの場所に残っている。
店の前には6人がけのテーブルが用意されているが、普通に駅にある立ち食いうどんと同じスタイル。しかしここは「うどん県」の玄関口、「さぬき高松うどん駅」と名乗る高松駅だ。普通に駅にあるうどん屋と同じという訳にはいかないはずだ。改札に向かう足取りは、気づくとこの店の中へと向かっていた。

店の入り口には、かつて多くの人と車を乗せて、瀬戸の島々を潜り抜けた連絡船の舵が飾られている。瀬戸大橋をはじめ、しまなみ海道や明石海峡大橋ができ、電車や車で気軽に四国から本州に渡れるようになった。ETC割引で、高い橋の料金も随分と安くなった。僕たち旅行者は、時代の流れに多くの恩恵を受けている。しかしその恩恵はすべての物に平等で優しくはない。一方の者にとっての恩恵は、もう一方の物には脅威となって襲いかかり、時代の流れの彼方に飲み込み、沈めてしまう。そんな連絡船の栄光と衰退の歴史を、うどんを食べに来ただけなのに、強く感じる。

速くてうまい！讃岐うどんの実力を見せつける駅ナカうどん

オーダーしたのは「かけうどん」 (320円)やはり朝食にはかけうどんに限る。値段は320円と、普通のうどん店なら普通だが、本場の讃岐うどん店としてはかなり高い。2倍近い料金だ。まあ、車でしか行けない他のうどん屋のような辺鄙な場所ではなく、ここは超一等地なので場所代は必要。それに高いと言っても普通の値段だ。
出汁はとってもあっさりしているが、味わい深い。アクセントのようにほのかに脂分が香り、飽きない味わいに仕上がっている。
麺はこれぞ讃岐うどんというような強烈なコシはないものの、太くてしっかりと食べごたえがある。そして一番驚いたのは、うどんができるのが早い。ただでさえ、讃岐うどんはかけうどんならあっという間に出来る。それを知っている僕でも、「えっ、もうできた??」とびっくりするくらいのスピードでうどんが出来上がった。忙しいビジネスマンや、電車の時刻表を気にする旅行者。そんな時間がない人々を相手にうどんをふるまう大将が特化させた技なのだろう。

連絡船うどんはホームにあるが、駅の改札の外からの利用も可能。駅ビルの入口と居酒屋の建物の間の通路のようなスペースが、連絡船うどんへの連絡通路になっている。店の裏側にも入口があり、立ち食い席が2人分ある。立ち食い席が少ない分、こちらには16人分のテーブル席が店の外に並べられている。
言わばここは究極のファーストフード店。あっという間に出来て、うまくて安い。時間がない時に讃岐うどんを頂きたい。そんな時は高松駅に走れば、駅の外側からうどんを頂く事ができる。
朝食に頂いたうどんとしてはまさにぴったりだった。なによりも、早くて、美味くて、あっさりしていて食べやすい。ただ、普通の駅ナカのうどん店より格段に良いとはいえ、麺がやや作り置き感はあるのは残念。それでも出汁は相当に美味しく、朝からでも全部飲み干してしまった。
急ぐ合間に讃岐うどんを食べておきたい。朝早く、まだうどん屋が開いていない。そういう人にはお勧めの店だ。
しかし、讃岐うどんを食べに電車で遠方からはるばる来た旅行者は、まずこの店はスルーすることをお勧めする。この店も十分に美味しいが、歩いて数分のところに、これぞ讃岐うどんといえる強烈な「コシ」麺を感じさせてくれる店がいっぱいあるからだ。その時は帰る前の最後の一杯の楽しみに、この店は残しておきたい。

ダイワロイネットホテル高松

posted with トマレバ

香川県高松市丸亀町8-23