馬島【しまなみ海道・エレベーターで上陸する島】

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愛媛県今治と大島を結ぶ、しまなみ海道最長の橋である来島海峡大橋。自転車や徒歩でも約束4kmの長大な橋を渡れることもあり、人気のサイクリングコースだ。
来島海峡大橋、自転車や徒歩で渡ると、中間に料金所がある。今治・大島からこの料金所までは100円。橋を全部渡るには200円だ。(歩行者は無料)

エレベーターで上陸する魅惑のしまなみ海道・馬島

なぜ橋の途中までで通行料金が区切られるのか思われた方もいらっしゃるだろう。実はこの料金所は、来島海峡大橋の橋脚が建つ有人島「馬島」への降り口へとなっている。4kmを超える来島海峡大橋。その長い海を渡る橋の橋脚として、この馬島は利用されている。
ここには島民専用の車の降り口があり、島の高台へとスロープで下りることができる。(一般車両はここからは島には降りられない)
そして、歩行者と自転車・原付は、ここから何とエレベーターで島に下りるのだ。車以外は一般観光客でも島に降りることができる。

料金所から橋の下へ続くスロープを降りると、そこには通路がある。通路を進むと、その下に見えるのは・・・来島海峡大橋を支える橋脚の内部。コンクリートで作られた巨大な建造物である橋脚の内部。巨大な空洞になっていて、通路から見下ろすとまるで奈落のように見える。保守用の階段や壁を這うパイプが、なんだか秘密基地みたいだ。そんな巨大な3連吊橋の秘密を見下ろしながら進むと、エレベーターがあった。

ここからエレベーターを使って「馬島」に上陸するのだ。橋や船を使って島に上陸したことは何回もあるが、エレベーターを使って上陸するのは初めて。エレベーターで上陸する島。これはなかなかできる経験ではない。

エレベーターはシースルー。さながら島内の様子や遠くしまなみの島々と海を一望する展望台でもある。

エレベーターに運ばれる自転車と僕。どんどんと島の陸地が近づいてくる。知らない小さな島にエレベーターでアプローチする、とっても不思議な感覚。
エレベーターが止まり、大きな扉がゆっくりと開いた。ついに島に上陸。さっきまで上から見下ろしていたはるか下の島に降りてきたのだ。上を見上げるとはるか上空にさっきまで自転車で走っていた橋が天の川のように空に横たわる。そして、その橋を支える巨大な橋脚が、僕の横から天に向かってそびえ立っている。ちなみにこの馬島のエレベーターの下には簡易トイレがあるので、長い橋を横断中にトイレに行きたくなった時はここを使う。
さて、この島の内部はどうなっているのか。そんなに大きな島ではないので、適当に走っていたら道路がどうなっているかはわかるだろう。そう思いながら、島の中へと自転車で走り出した。

エレベーターを降りると瀬戸内海の島の原風景

瀬戸内海に浮かぶ島々によく見られる風景。とにかく狭い道が多い。自動車が通れない幅で、家々や畑に囲まれ、登ったり下ったりする道。しかし、自転車ならこんな道も苦にならないどころか、島の情緒をいっぱいに感じる快適な道であった。

自転車を走らせ、畑から集落の中を通り抜けると港に出た。港では定期便の船が待機していて、小さな観光案内所もあった。青い海に浮かぶ島の上空をしまなみ海道が横切り、あたかも1本の川のように、今治へと続いている。定期便は今治に向かう船だろうか。それとも今治と「地つながり」になったこの島から、周辺の小島へと向かう船なのだろうか。

しまなみ海道の上から見える灯台とその横のビーチの前を通り過ぎ、これまた橋から見えたトンネルを通り抜ける。真っ暗なトンネルの向こうにも、風光明媚な瀬戸内海の穏やかな風景が広がってた。島を1周する道はなく、人々の生活圏を道路は1周してあっという間にエレベーターの下に戻って来た。この島では、港の周辺に民家が集まり、そのまわりは畑になっているようだ。このまますぐに橋の上に戻るのは勿体ない。さっき行かなかった、港の奥へともう一度走ってみよう。

来島海峡のど真ん中の島のビーチは潮流と船を間近に眺められる

港を抜けると、そこは海水浴場のビーチ。抜けるような青空と、海底まで透けるような青い海が美しい砂浜だ。その上に架かる長い橋と、その下を行く大きな船が、この素敵な景色にアクセントを与えてくれる。思わず深呼吸。体いっぱいに潮の香りを楽しむ。

穏やかそうな瀬戸内海だが、これも瀬戸内海の顔。島々が点在し、幅の狭い瀬戸内海は到るところで激しい潮の流れが見える。潮の流れる海はまるで、大きな川。ビーチまでも、その流れる音が聞こえてくる。
そんな激しい潮流にも船舶は果敢に挑む。流れに逆らい、白波を立てながらけたたましい機関音を立てて船は遡上する。
昔、この海域で活躍していた「村上水軍」この潮の流れに逆らい、利用して、海を縦横無尽に行き来していたのだろうか。そんな昔の勇猛果敢な光景に思いを馳せながら、エレベーターへと戻った。
しかし、昔の勇猛な水夫たちが今のこのしまなみの景色を見たら、何と言うだろうか。船で必死に渡った海を、今はそのはるか上を軽々と人は飛ぶように渡っていく・・・

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馬島

場所:愛媛県今治市
交通:JR今治駅よりバスにて約25分(馬島BSにて下車)
糸山公園より自転車にて約20分
   波止浜より定期船
  【注意】乗用車、自動二輪車で島へはしまなみ海道からは降りられません

付帯施設:特になし(エレベーター下にトイレあり)

【投稿時最終訪問 2007年5月】

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