桜の徳島中央公園と徳島城跡【お花見の名所】
徳島市の中心、JR徳島駅のすぐ北側に広がる「徳島中央公園」は、かつての徳島藩主蜂須賀公の居城跡に開設した公園で、その中には天守閣があった標高61.7mの城山がそびえ、豊かな自然が残っています。春になると、公園内や城山上の本丸跡にはたくさんの桜が咲き誇る徳島を代表するお花見の名所となります。
人気お花見スポットの徳島中央公園
徳島城跡にある徳島中央公園は当然ながら堀に囲まれています。公園への入口の一つである、堀を渡る「下乗橋」は御殿への正面入口で橋の城側に桝形が設けられており、石垣や門で堅牢な守りとなっています。この橋の前で駕籠・馬などの乗り物から降りたために、下乗橋という名前の由来となっています。
下乗橋を渡ってすぐ、太鼓櫓付近が桜がとても美しく、見応えがあります。桜の森と形容できるくらいの美しさで、ここで多くの人が花見を楽しみます。
堀沿いを歩く歩道の上、石垣の上を歩くことが出来ます。屏風櫓跡などかつての遺構はその跡しか残っていませんが、堀と現代の町並みを眺めながらの散策はとても気持ちが良いです。誤って堀に転落しないように気を付けましょう。
公園内には「徳島城博物館」があります。美しい日本庭園の中にある博物館で、藩主の居宅だった御殿跡地に建てられています。徳島藩と藩主蜂須賀家の歴史資料の展示がされています。
桜の他の自然も美しい徳島中央公園
遊歩道を進むと池があります。その池の手前には小さな洞窟になっている「城山の貝塚」があります。徳島市の史跡に指定されており、約2300~4000年前の縄文時代後期の岩陰・洞窟遺跡です。縄文土器や弥生土器なども出土しています。
今は池になっていますが、かつてはこの池は海で、池に面した崖は海岸線でした。その岩肌には波の侵食によってできた海蝕痕があります。数百年前にお城があった場所が、さらにその昔には波が打ち寄せる海辺だったことには驚きます。
「バラ園」の背後には美しい英国風ガーデンが広がります。桜の時期にはバラなどの花はまだ見られませんが、デザインされた新緑がとても美しく、西洋風の美を堪能できます。
美しい木立に青々とした芝生からは春の訪れを感じられます。城跡という和の風景の中に広がる英国風ガーデンは、ひときわ美しく見えます。
池の北側は池を中心に親水広場のように公園が整備されています。桜の木はありませんが、美しい緑を感じながらゆっくりできる場所です。
公園には美しい鳥をモチーフにした遊具があります。新緑に映えるカラーリングで、徳島の中心にありながら気持ち良い自然を感じられます。
徳島城の北側には、天然の堀として利用された助任川が流れています。春の香りと水の香りが交互に感じる、開放的な景色が心地よいウォーキングスポットです。
助任川の水は河口付近にも関わらず、透き通っていてとてもきれいです。 徳島市内にはいくつもの川が、四国を代表する清流・吉野川と瀬戸内海の間を網の目のように流れています。助任川もそのうちの1つで水都・徳島を象徴する美しい都会の流れです。
徳島城本丸跡は美しい桜の世界
途中、徳島城天守跡に向けて、つづら折りに続く道を登って行きます。
徳島城の石垣が見えてきました。この上がもう本丸跡です。徳島城本丸の周囲を囲む高石垣は「野面積み」という、加工しない石を積み上げる方法で造られています。ワイルドで頭上を覆うような巨大で立派な石垣です。
石垣の階段を登ると、徳島城本丸跡に到着です。広場をぐるりと桜の木が取り囲む、これでもかといわんばかりのお花見スポットです。できればレジャーシートを広げてゆっくりしたい場所です。
ただし、本丸跡にはトイレは無く、城山の下まで降りないといけないので、ここでのお花見は短時間で考えた方が良いでしょう。
本丸跡の標高は61.7m。徳島市中心部では標高290mの眉山に次ぐ高い場所で、桜の木々の間からは徳島の市街地を見下ろすパノラマが眺められます。
徳島城跡から眺める徳島のシンボル、眉山。春の時期は桜とのコラボがとても綺麗です。どこから見ても眉毛の形に見える山で、山麓から頂上までロープウェイが架かっています。眉山山頂も人気のお花見スポットなので、時間があれば一緒に訪れたい場所です。
頂上にある徳島城本丸跡はたくさんの桜が咲き誇り、とても美しい風景。時間を忘れていつまでも居たくなります。本丸から少し下った場所に天守台跡もあるので、時間があれば立ち寄りましょう。
本丸跡には小さな清玄坊神社があります。かつて徳島城を築城する際、この山にあった地元の神社を守ろうとした清玄坊という修験者を騙し討ちにしたという言い伝えがあります。清玄坊の祟りを恐れ、鎮魂のためにこの社が造られたそうです。
徳島城の建造物はすべて取り壊されており、その痕跡が残っているのみです。「弓櫓跡」は、本丸に登る登城道を見下ろすことが出来、攻め来る敵に弓矢や鉄砲をけしかける防御の要となった場所でしょう。
本丸から石段で二の丸、三の丸を経由して、城山を下ります。登りは北側から登りましたが、下りは南側に下山するルートです。
人気アニメにも登場した機関車と桜のコラボ
徳島城から降りてくると、否応なしに目にはいるのがSLの巨大な車体。登城道の途中からSLには近づけませんので、城山を降りてからSLに向かうと、そこはまるで駅のようになっています。桜が咲き誇る小さくレトロな駅舎は旅情に溢れているとても素敵な風景です。
ホームに停車するようにSLが展示保存されています。大正12年から昭和44年まで、実際に徳島を走っていた蒸気機関車です。人を運ぶ役目を終えた跡、人に歴史を伝える役目を担ってこの場所で第二の人生を過ごしています。
駅舎には入ることができ、蒸気機関車にもホームからから乗り込むことが出来ます。展示されている8620形蒸気機関車は、アニメ「鬼滅の刃」の無限列車のモデルになったとされる形式です。鬼との激闘が繰り広げられた機関車に実際に乗れるということもあり、訪れる人が急増しているそうです。
機関車の運転室内部までは入ることが出来ませんが、その中にあるボイラーなど、当時のままの機械部品を見ることが出来ます。
満開の桜と機関車の顔の写真が一緒に撮れる数少ない映えスポット。春の旅情やレトロが感じられる、鉄道好きでなくてもワクワクする景色です。
SLが保存されている模擬駅舎からはレールが延びており、今にも汽車が出発しそうな臨場感があります。春の旅立ちと題したくなるような、美しい桜と鉄道の景色です。
トンネル型のモニュメントに向かっレールが続いています。まるで展示されているSLが今にも動きだして、トンネルから異世界に旅立ちそうな不思議な雰囲気です。レールの上を歩いていてトンネルに近づくとそれが偽物だとすぐにわかりますが、トンネルの入口は徳島鉄道年表になっているので、あのSLが過去にどのように活躍していたかを伺い知ることができます。
桜の木の向こうには、現役のJRの列車が見えます。意外にも鉄道と桜が楽しめるスポットなので、鉄道ファンにはたまらない場所かもしれません。
原生林と桜が美しい城山山麓の散策
城山の麓には所々桜が美しく咲いています。お気に入りの場所でゆっくりと日本の春の美を堪能したいですね。
巨大な徳島藩藩祖の蜂須賀家政像が公園内にあります。豊臣秀吉に仕えていた大名でしたが、秀吉没後には徳川につき、徳島藩を安堵されました。この徳島城が完成した際には領民に祝いとして好きに踊るように触れを出し、それが阿波踊りの起源になったとされています。徳島が徳島である源を築いた歴史上の人物です。
徳島中央公園の中にある、徳島城があった城山は、今もその大部分を照葉樹林の原生林で覆われており、約600種の植物が生育しています。県庁所在地の中心部に其れ丈の手付かずの自然が残っていることは貴重で、城山の原生林として徳島市指定天然記念物に指定されています。
城山を中心に広がる徳島中央公園にも、美しい木立が造られており、気持ち良い散策コースとなっています。
町の中心部にも関わらず、手つかずの自然が残る徳島中央公園内の城山の森は、城山原生林と呼ばれています。その中でも巨大な倒木が目につきます。これは「竜王さんのクス」と呼ばれる公園内最大のクスノキで、樹齢は推定で600年の古木。徳島市指定天然記念物にも指定されていますが、残念ながら昭和6年の室戸台風で倒壊しました。それでも令和の世の中となった今もその巨大な姿からは神や精霊が宿りそうなほど神々しいオーラを感じます。
公園内から徳島駅の電車基地を眺めることができます。ローカルな電車がズラリと並ぶ光景は都市部の電車基地とは違った趣があります。電化されていないディーゼル車と短い編成には旅情をたっぷりと感じます。
■徳島中央公園散策に便利な徳島駅前のホテル
徳島中央公園
場所: 徳島市徳島町城内1番外
電話:0886-55-9037
営業時間: 24時間
休業日: なし
入園料: 無料
交通: JR徳島駅より徒歩10分
徳島自動車道・徳島ICより車で約10分
駐車場: 200台 (1日310円)
【投稿時最終訪問2020年4月】