四万十川源流点【原生林の中にある四万十川の最初の流れ】
日本最後の清流と呼ばれる「四万十川」。多くのアウトドアや旅人を魅せ続ける四万十川の魅力は昔から変わらない風景。飾らず、自然と共存し、自然の恵みをそのまま受け入れる。そんな人々の暮らしが今も残るこの川の風景が、「最後の清流」と呼ばれる理由だと思う。
四万十川は河口のある四万十市中村から「源流点」まで、車やバイクで遡ることができる。全長196kmの四万十川の流域には、川と共存する人々の作り出した美しい風景が広がる。美しい四万十がもたらす豊かな恵みと人の暖かみを感じながらの川旅は格別だ。
細い林道で山奥へ進む四万十川源流点への道
「四万十川源流点」へのアプローチは、なかなか大変だ。まず、源流へ向かう林道があるのは県道378号線。この道へのアプローチは南側・国道197号線から入る方法と北側・国道439号線から入る方法がある。北側・国道439号線からは県道378号線を走ると、一部狭い道が残っている。439号線自体も1~1.5車線の区間が多く残るので、北側からのアプローチはお奨めしない。
南側・国道197号線からのアプローチだと、道は狭くても全線舗装されていて、国道自体も全線2車線。愛媛・高知や四万十川からの交通の便も良いので、こちらを使うようにしたい。
国道197号線は、「道の駅布施ヶ坂」の西側、「布施ヶ坂トンネル」と「船戸トンネル」をくぐった所に県道378号線の分岐路がある。「デイリーヤマサキ」が目印で、「源流点」という小さな看板もある。いくつかの「源流点」という小さな看板に導かれながら、集落の中を走ると、道は山の中に入っていく。1~1.5車線の道が続くので、運転には十分注意したい。途中、「せいらんの里」という宿泊施設があり、その隣接する四万十川の河原には「稲葉洞」という、懐中電灯をもって探検できる洞窟がある。この付近になると、四万十川は独特の悠久なる雰囲気はすっかり影をひそめ、どこにでもあるような普通の山間の川の風景になっている。
国道197号線からさらに4kmほど走ると、道が少し広がったところがあり、山の中に入っていく林道がある。ここが四万十川源流点へ向かう林道の入口。その源流への林道は、思わず尻ごみしてしまうようなワイルドなルートだ。※現在は全線舗装されて道も整備されていますが1車線の狭路です。
四万十川は大規模な開発はほとんどない。多くの観光客が訪れても、その魅力である昔ながらの風景を変えないのはさすがに素晴らしい。訪れる観光客も、その変わらない昔ながらの風景を楽しんでいる。四万十川源流への道は安全にたどり着けるように手入れ・管理されているが、そのアプローチは多やや心細い。だがそれが逆に、この手つかずの自然が残る、悠久の四万十の最初の場所にはふさわしいのではないだろうか。四万十川を最後まで楽しみたければ、これくらいどうってことなくては困る。それは四万十川からのメッセージであり、四万十川が四万十川であり続けるために、必要なことなのだと思う。
現在は四万十源流点に向かう道は全線舗装されている。とはいえ、基本1車線の道。時々離合用のスペースはある。しかし、この道は源流を目指して車やバイクが入ってくるので、離合は何回かしなければならない。運転に自信のない人は、先ほどの分岐路に車を置いて、歩くのも手のひとつ。分岐路から源流の碑までは約2kmだ。
林道を進むと、大きく左にカーブしている場所に石碑が佇んでいる。これが「四万十川源流の碑」だ。ここは道が広くなっていて、路肩に10台ほど車が停められる。車を停めたら、源流の碑の横に流れる四万十の流れと美しい空気を楽しもう。
しかし、四万十川の流れはまだ大きく、上流から流れてきている。残念だが、ここは源流点ではない。源流点へはここから約20分歩かなければならない。
原生林の山道でめざす四万十川源流
四万十川源流点に向かう山道。登山道になっていて、深い手つかずの原始の森の中を行く。沢を横切ったり、苔むした滑りやすい岩の上を行く。そして、結構登らなくてはならない。登山装備が望ましいが、最低でも運動靴は履いて望みたい。また、雨天の時はとても歩きにくくなるので、軽装で入るのは控えるべきだ。
細い沢が合流して四万十川が生まれる源流
四万十川が育んだの原始の森を歩くこと20分。ついに「四万十川源流点」にたどり着いた。河口からの旅の終着点。あの雄大で広い川幅だった四万十川が、こんな一筋の流れにまで小さくなった。また、源流点の標高は約1200m。海からもかなり山の上に登ってきた。今まで走った風景がを、流れに遡って次々に思い出される。それは四万十川が綴ってくれた、美しい風景のリンク。深い森の中に響く水音と、鳥のさえずり、瑞々しい香。すべての思いと五感が感じる風景がリンクして、素晴らしい感動が僕と四万十の森の中で奏でられた。
四万十川はここから196kmもの長い旅を始める。他の多くの水と出会い、美しい自然の風景を作り出し、流域で暮らす多くの人々を潤す。多くのドラマと多くの出会いを生み出し、それらを包みこんて太平洋へと届けてくれる。
まだ源流点から先にも水は流れている。源流点への道は、四万十川源流の山、「不入山」(1336m)へとこの先も続いている。その道沿いにまだ四万十の流れが見れるかもしれないが、今日は無理をしないでおこう。それに右の沢、左の沢、どちらが「四万十川」かわからない。もしかしたら、この2つの沢とも無名で、沢が交わるこの場所から四万十川と名付けられているのかもしれない。しかし、そんな細かいことはどうでもよくなるくらい、この場所には不思議と落ち着く神秘的な雰囲気が漂っていた。理由も理屈もいらない、感動のドラマを紡ぎだす始発点も、理由や理屈で語ることは似合わなかった。ここがまぎれもなく、最後の清流の最初の流れなのだ。
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四万十川源流点
住所: 高知県高岡郡津野町船戸
電話: 0889-62-2314
休み: 積雪時・台風時は通行止めになる場合あり
交通: 高知自動車道・須崎ICより車で約1時間、徒歩約20分
駐車場: 路肩に約10台駐車可能
【投稿時最終訪問 2007年10月】