鬼ヶ島大洞窟【桃太郎の鬼退治】

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「鬼ヶ島大洞窟」は高松市の沖合に浮かぶ女木島の山頂付近にある洞窟で、桃太郎が征伐に向かった鬼の住処とされています。洞窟はとても広い空間ながら誰が、いつ、何故、どのようにして造ったのか不明であるというとてもミステリアスなスポット。まさに伝説の鬼たちの住処としてはこれ以上ない場所で、桃太郎が生まれたとされる岡山の対岸に位置することもあり、離島にも関わらず、多くの観光客がフェリー乗って訪れます。

歩いて行く女木島鬼の鬼ヶ島大洞窟

女木港から鬼ヶ島大洞窟までは歩いて約40分。標高差約150mの登りです。女木港から東へと海沿いの道を行くと大洞窟に向かう分岐があります。鬼の石像と道標が目印です。途中にピアノやカモメをモチーフにしたアート作品もあるので海沿いの散策も楽しめます。

フェリーの到着に合わせて洞窟行きのバスが出ていますが、島に到着してすぐに出発するので少し忙しないです。また、バスに乗った大勢の人と一緒に洞窟に入るのでゆっくりと見られないかも。その点歩きだと島の風景をのんびりと楽しみ、混雑を避けて洞窟を見学できます。また、女木港にある「おにの館」では電動アシスト自転車のレンタルもあります。比較的坂はゆるやかで、ほとんどの人は座りこぎで洞窟まで登っていました。

車道は折れ曲がりながらゆっくりと標高を上げていきます。登る標高は約150m.進むに連れて、眼下に瀬戸内海と島の風景が広がっていき、素晴らしい景色となっていきます。

可愛らしい鬼の石像が所々にあり、洞窟までの残り距離を教えてくれます。

正面に見える標高187mの鷲ヶ峰の頂上付近に鬼ヶ島大洞窟があります。かなり遠くに見えますが思った程には遠くありませんので頑張って歩きましょう、女木島には約3000本の桜が植えられており、春には島一面が美しい桜に覆われます。鬼ヶ島大洞窟に向かう道沿いにも多くの桜の木があり、桜の時期には美しい瀬戸内海を桜の中から望みながら歩くことができます。

頂上にある付近にある建物の側に鬼ヶ島大洞窟があります。すぐその上には瀬戸内海を一望する超絶景の「鷲ヶ峰展望台」があります。

途中から遊歩道があります。車道を進むより約600m短い距離で洞窟にたどりつくことができます。

遊歩道は階段の山道ですが整備されており、歩きやすくなっています。

階段を登りきると鬼の像が姿を現します。鬼ヶ島大洞窟に到着です。

いつ誰が何のためにつくったかわからない謎の洞窟

階段が再び舗装道路に出てきた場所は女木港と鬼ヶ島大洞窟を結ぶバス停です。大きな待合スペースには屋根とベンチがあるので、ゆっくりと帰りのバスを待つことができます。

洞窟に向かう道には見張りの鬼がいます。赤鬼は海から近づく者を見張り、青鬼はこの先に進む者がいないか見張っているようです。

鬼たちの後ろから見ると、やはり海を渡ってくる敵を見張っているようです。

洞窟入口前にはベンチが置かれた休憩所があります。売店があるそうですが、訪れた日は営業していませんでした。閉店している可能性も高いので、飲み物やおやつは高松でフェリーに乗る前に用意しておきましょう。ここからの景色は絶景なので、洞窟に入る前にひと休憩しましょう。

券売機でチケットを購入して大洞窟の入口へと向かいます。門番の鬼の目をかいくぐり、洞窟の中に潜入です。

入口は内部に比べると際立って狭くなっており、人がひとりやっと通れるくらいの狭い通路が続いています。

突然細長い通路は玄関口と呼ばれるとても広い空間に出ます。総延長約400mの鬼ヶ島大洞窟のほとんどがとても広い空間になっています。きれいに削り出された壁や天井、そして床は人が掘ったことは間違いないのは素人目にも明らかに感じます。実はこれだけの規模の人工的な洞窟ながら、いつ、誰が、どのような目的で掘られたか不明なのです。江戸時代の石切場や戦国時代の砦という説はいろいろとありますが、本当に鬼が掘ったのではとも思ってしまうほどミステリアスな場所です。

洞窟の中にもたくさんある美術祭のアート作品

洞窟内には無数の鬼瓦が置かれています。これは2013年に行われた瀬戸内芸術祭に出展されたオニノコ瓦というアート作品。オニノコプロジェクション(オニノコプロ)という香川県下中学生約3000人と伝統工芸士がコラボして制作した鬼瓦です。

鬼瓦のデザインは色々ですが、どれも迫力がありよくできています。中にはちょっと違った可愛らしい鬼瓦もあり、ひとつひとつの表情を見ているだけでも面白いです。

奥まった場所がいくつかあり、そこにはずらりと鬼瓦が並べられています。神秘的なアートであり、鬼の住処を思わせる恐ろしい雰囲気も感じさせてくれます。

まさにRPGのダンジョンのような広い洞窟

洞窟内はまるで大広間なように広く、壁も床も天井もまっすぐに切り出されています。まるで石切場のようで、素人目なも明らかに人工的な洞窟だとわかります。洞窟内を警護するように、所々に鬼の像が置かれています。

広い空間を支えるように、広間の中心には周囲30mもある巨大な大黒柱か鎮座しています。広大な空間を掘る際に、天井が崩落しないように一部を残されたようです。

大黒柱の他にも支柱があります。大黒柱と違い、あとから天井を支えるために岩を組み上げられたようで、まるで1本の柱のように見えます。付近は天井も低くなっており、気を抜くと頭を打ちます。天井が低くなっている場所が洞窟内には何ヶ所かあるので注意が必要です。

洞窟内には「鬼ヶ島天満宮」という祠があります。ここは仏間となっており、鬼の犠牲となった人を供養しているとか。

ダンジョンに突入した桃太郎が鬼と戦闘を始めました。ファミコン時代の名作RPG、桃太郎伝説を彷彿とさせるビジュアルです。

広間の一角には「鬼の会議室」があります。ここに鬼が集まり、すでに鬼が3匹何やら話し合っています。悪巧みをしているのでしょうか?

鬼たちは会議という名の酒盛り中です。近くには鬼の力水という水源があります。天井から滴る水を明らかに切り出したと思われる岩の水槽に蓄えられています。

「宝庫」と書かれた支洞があります。行き止まりには略奪した金品財宝が見つかりにくいように岩の隙間に隠されています。

「監禁室」と記された先には鬼が牢の前で番をしています。ふもとの村から女性をさらってきて監禁しているのだろう。なんとけしからん。今すぐ助けてあげるぞ。

暗い洞窟に閉じ込められている女性。着物も汚れて髪もボサボサ。かわいそう。でも鬼よりあなたが一番怖いんですけど・・・

人工的に掘られた鬼ヶ島大洞窟は戦国時代の砦だったという説もあり、実際に有事の際に脱出できるよう別方向に入口と出口がつくられています。内部の所々には刀を振り上げられないようにするためか天井がとても低くなっており、屈まなくてはいけなかったり、わざと突っ張りを作ったとしか思えない場所も。洞窟の美しさに気を取られていると時々頭をぶつけるので注意です。

洞窟の中にはコウモリも生息しています。洞窟の天井に逆さまにぶら下がっていますが、時々ひらひらと洞窟内を彷徨うように飛んでいます。

洞窟の天井には「亀の甲天井」と名付けられた場所があります。亀の甲のように見える天井で、これは岩をノミでくりぬいた跡だそうです。いつな時代な造られた洞窟かわかっていませんが、これだけの空間をノミで手掘りするのは相当な労力だったと思います。

大洞窟は広間から通路へと変わり、さらに奥へと続いていきます。まるでダンジョンや古代遺跡のように思える空間です。

洞窟の後半はまさにボス鬼が待つRPG

通路のような洞窟の行く手には鬼の姿が。逃げることはできません。勇気を出して進みます。

通路を抜けて部屋に出ると、赤鬼は桃太郎と対峙していました。桃太郎と鬼がにらみ合っている間に先に進ませてもらいます。

洞窟はついにラスボス・鬼大将の部屋への入口に到着しました。洞窟の中にありながら個室となっている空間で、抜け穴や飾り棚のような空間が造られています。この洞窟を造ったボスが居座るには相応しい場所です。

赤鬼と青鬼をしたがえた巨大な鬼大将。まさにファミコン時代のRPGなら最後の敵にふさわしいビジュアルです。桃太郎はまだ先ほどの中ボスとにらみ合っています。さあ、ラスボスを倒すのはあなたです。

ラスボス鬼が倒れた後、桃太郎は残った鬼たちと和解したようです。

最後は鬼が見送ってくれます。いやぁ、いい笑顔ですね。まさに昔のRPGのエンディングです。

洞窟の一番奥に出口があります。深いダンジョンの探検を終えた充実感を感じられます。入口とは逆方向に出口があることから、砦として造られたとも推測されており、鬼たちの住処としてはこれ以上にない神秘的な場所でした。

鬼ヶ島大洞窟の外にも見どころがたくさん

鬼ヶ島大洞窟を出て久々の太陽の光を浴びます。洞窟出口のすぐ上は柱状節理になっています。約500万年前に火山が噴火して溶岩が冷え固まった珍しい地形です。その上部には鷲ヶ峰展望台があり、瀬戸内海を一望する絶景が堪能できます。

鬼ヶ島大洞窟を出て左側へと坂を下れば洞窟入口へと戻ることができます。

洞窟出口から道を右側へ5分ほど登ったところに「鷲ヶ峰展望台」があります。標高188mの山頂にある展望台からは360度、瀬戸内海の絶景を一望できます。特に春には山頂付近は桜に覆われ、青い瀬戸内海と一面ピンク色の桜のコラボが満喫できるお花見スポットです。

飲み物や食べ物は島内で確実に購入することはできません。折角の眺めなのでゆっくりしたいところ。バスに乗るにしても歩くにしても売店はないので高松でフェリーに乗る前に飲み物やお菓子などを用意しておきましょう。

鬼ヶ島大洞窟

場所:香川県高松市女木町235
電話:087-840-9055(鬼ケ島観光協会)
入洞料:大人600円、小中学生300円
時間:8:30~17:00(入洞は16:30まで)
休み:無休
交通:女木港よりバスにて約10分
   フェリー到着後出発・往復800円(子供400円)
   冬期は土日祝日のみ運行
駐車場:なし

【投稿時最終訪問 2022年3月】

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