野島断層保存館【北淡震災記念公園】

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「野島断層保存館」は淡路島の北淡震災記念公園の中にある、阪神淡路大震災の原因となった活断層を震災直後の状態で保存した施設で、震災発生当時の様子を今に伝えています。巨大地震の震源となったずれた断層や、それが破壊した道路や家屋が保存されているのはとても貴重で、どれだけ震災が恐ろしいものか、とてもリアルに学ぶことができます。

阪神大震災の記録と記憶が残されている北淡震災公園

北淡震災記念公園は中核となる野島断層保存館のほかに、物産館、レストラン、セミナーハウス、鎮魂モニュメントの広場で構成されています。駐車場は道を挟んで反対側にあるセミナーハウスの裏手にあります。道路を渡って野島断層保存館に向かいます。
物産館には淡路島のお土産はもちろん地元で獲れた新鮮な玉ねぎをはじめとする野菜や海産物、レストランでは淡路島の美しい風景を眺めながら淡路牛・生しらす・タコなどを使った海山の幸たっぷりの美味しい食事がいただけます。保存館見学の後にはぜひ立ち寄りたいですね。

北淡震災記念公園の中核ともいえる施設が野島断層保存館です。阪神大震災で動いた野島断層そのものや当時の記録が残されており、震災直後の様子が保存・再現されています。

野島断層保存館に入ってすぐのエントランスホールは、阪神高速道路が倒壊し落下したトラックの様子を再現された模型、震災当時の写真パネルが展示されています。震災の恐ろしさを記録として後世に伝える場所です。

震災直後のまま残る活断層が破壊した道路

野島断層保存館のメインともいえる断層保存ゾーン。野島断層そのものを、震災で動いた時の状態のまま保存しています。
阪神大震災は六甲山から海を越えて淡路島に続く活断層帯が原因となって発生した直下型地震。その断層の中でも最も震源に近い活断層が野島断層で、大きく動いたその姿を地表に現した場所です。

入ってすぐの所には、震災が発生した当時の道路がそのまま保存されています。道路のアスファルトはかがれ、つながっていたはずの水路が分断され、まったく違う方向を向いてしまっています。いったいどうなったらこうなるのか、まったく理解ができないくらいの状況。しかもこれは再現模型ではなく、本当に地震でゆがんでしまった地形そのものであり、震災発生当時のままなのです。今も残る生々しい震災の爪痕には驚きです。

地震でずれて隆起した断層が一直線にその爪痕を残しています。道路を破壊し、隣接する田畑の中にその姿をくっきりと刻んでいます。保存されている野島断層は震災直後から覆いをするなどして、保存館ができる前からその形の保存されていました。活断層が変動したそのままの形で保存されているとても貴重な場所で、1998年には天然記念物に指定されています。

震災直後からそのままの形で保存されてい活断層

館内で保存されている野島断層は約140m。この断層のずれがマグニチュード7.2の阪神淡路大震災の震源となりました。大地震の源が目の前に当時のままの姿で残っていることには戦慄を感じます。断層のずれは最大で水平方向に2.1m、垂直方向には1.2mにも及びます。ほんの一瞬で、大地がこれだけも動いたのです。

断層を横切っていたあぜ道はまるで切断されたかのようにあぜ道がずれています。奥の断層が震災で動き、右にずれてさらに上に隆起しています。あぜ道の横にある一直線に続いていた側溝もに無理やり横方向に押され、その形を歪めています。

保存館の壁は窓ガラスにされています。窓の向こうに見える稜線が一直線の山も断層の隆起で出来上がったもので、ここにある野島断層と並べて地球の動きの大きさと悠久の年月を感じられるようにしているそうです。また、断層の横ずれによって生じた陥没地形など、断層地形が観察できる地学的にも貴重な場所です。

断層そのものと合わせて、その付近に生垣なども当時のまま保存されており、断層によってずれた形でどれだけ地面が動いたか目で見てもわかりやすくなっいてます。実際にどのように動いたのかわかるように説明が添えられており、断層や近くが本当に動いているのだと実感できる場所です。

ずれた断層が地中から見られる貴重な展示

出口付近には断層の一部を掘り下げた溝に入って、断層を真横から観察ができるトレンチ展示があります。断層の様子を地下に潜って観察できるとても貴重な場所です 。

地面の中の断層の断面。わかりやすく色分けされたのではなく、実際にこれだけ違う性質の岩盤が地面の中に重なり合うように存在しています。地上から見れば全くわからないですが、大地の縫い目が足元に潜んでいるのはとても驚きです。

トレンチ展示から100m以上も伸びる断層をみると、大地がずれてしまっていることがはっきりとわかります。これだけの規模で活断層が動いていることを見られる場所はなかなかありません。

被災した家が当時のまま残るメモリアルハウス

野島断層保存館からメモリアルハウスへ向かう途中、古くも巨大で分厚いコンクリートの壁があります。これは「神戸の壁」と呼ばれるもので、昭和2年頃に神戸市長田区にあった公設市場の延焼防火壁として建てられました。その後、第二次世界大戦中の神戸大空襲にも耐え、阪神・淡路大震災でも長田区の大火災に包まれながらも、この壁だけは倒れず、焼けず、その姿をとどめました。その後長田区の再開発に伴い撤去されるところを、震災の記憶を風化させないための震災遺構として、この地に移設されました。古く傷跡も多い壁ですが、戦争や震災を乗り越えてきたその壁を見ていると感慨深いものがあります。

野島断層が敷地内を横切っていた家が「メモリアルハウス」として残されています。断層の直上にありながらも倒壊を免れた頑丈な建物で、内部は震災直後の様子や震災のダメージ、震災当時の資料などが展示されています。

メモリアルハウスの壁。一直線だった壁は横切る断層のずれて破壊され、段違いになっています。こんな巨大な家を乗せたまま地面が1m前後も動いてしまうことには恐ろしさを感じます。

メモリアルハウスはかつては普通に人が住んでいた家。中の和室は展示室になっており、震災当時の様子をパネルで展示されています。無事に見える家の中も、震災で水平がずれているなど地震でどのような傷が生じたかもわかるように示されています。

震災当時の有様を再現した台所。当然震災直後は住人がいたわけで、いったんは後片付けや修繕がなされています。当時の状況を証言などをもとに再現したそうです。震災が起きたのは朝5時46分。早ければこの台所で朝食の準備をしていたかもしれません。立ってもいられないような揺れの中、棚から鍋が飛び出し、食器棚が倒れて食器が散乱するのは恐怖以外何物でもありません。

地震のメカニズムや揺れを体験できる学習施設

メモリアルハウスの隣には「グラグラボ」があります。地震の仕組みや日本全国・世界の活断層の状況、液状化実験や津波のシュミレーション映像など、地震について震について様々なことが学べる施設です。

震災体験館では、リビングを模した空間で震度7の地震を体験することができます。その揺れは驚きの激しさで、震度7という大地震がいかに恐ろしいものか体感できます。また、直下型の阪神大震災と海溝型の東日本大震災の揺れの違いも再現されています。
シアターには阪神、東日本大震災の映像も流され、地震の揺れの体験とあわせて震災の怖さがよりひしひしと感じさせられます。

北淡震災記念公園の北側、海の見える芝生広場には鎮魂の日である「べっちゃないロック」があります。べっちゃないとは淡路島の方言で大丈夫という意味。まるでピラミットのようなモニュメントからは水が流れ出し、瀬戸内海と合わさって美しい風景を造り出しています。恐ろしい震災と悲しい過去がありました。まだまだ人の心には傷跡は残っていますが前向きに進んでいく、そんなイメージを感じた美しい風景でした。

野島断層保存館

場所: 北海道小樽市色内 1-11-16
電話: 0134-21-1111
営業時間: 9:30~17:00(12月~3月は10:00~17:00)
休業日: 水曜日(水曜が祝休日の場合は開館)、12月29日~1月5日
交通: JR小樽駅から徒歩10分
料金: 無料
駐車場: なし

【投稿時最終訪問 2019年2月】

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