松山城天守閣【幼児連れ登城】

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松山市のど真ん中。標高132mの山の上にそびえる松山城。日本にわずか12しかない、江戸時代につくられた天守閣を残す城で、道後温泉にならぶ松山のシンボルだ。

 松山の中心にある松山城は市民憩いの場所

県庁所在地の町の中心部に、手つかずの深い緑を残す城は市民の憩いの場所でもある。松山城はロープウェイやリフトでも登城できるが、市内各方面から合計4つの登城ルートがある。健康のためなどに多くの人はこのルートを歩いており、市内在住の登山愛好家のトレーニングコースにもなっている。

そんな登城道、先日初めて娘と登山したのだが、今回も一緒に松山城に登る事にした。今回は、前回興味をしめした天守閣内部の見学も楽しむ事にする。「お殿様のおうちに行こう」そう娘を誘って快晴の青空の下、松山城への登城を開始する。

頭上にそびえる城壁を迷路のように進む。そして、本丸に向けて、石の階段でどんどん山を登っていく。「おとのさまのおうち、遠いよ、もう~」前回は花見客が多く登っていたので、人についていく形で進んだ娘も今回はしんどそう。しかし、途中でおばちゃんに「えらいね~」と言われると、気を良くしてどんどん進んでいく。

登城途中ではシャガの花が多くあった。シャガは抜けやすいので、城の斜面などに植えて外敵が登りにくくしたとか。江戸時代から脈々とここで花を咲かせているのだろうか。

松山城本丸は市内を見下ろす絶景スポット

松山城の本丸のに到着。「お殿様」こと、松山城のゆるきゃらの「よしあきくん」が天守閣入口で待っていてくれた。お殿様にご挨拶したら、お殿様のおうちこと、松山城の天守閣に入る。

松山城の天守閣は江戸時代の建築。日本に江戸時代の天守閣はわずかに12しか残っておらず、松山城はそのうちの1つだ。とはいえ、松山城の天守閣は開国間近に完成した、比較的新しいもの。それだけに、城郭建築としては完成度の高いものになっている。天守閣に入ると、石垣や櫓に囲まれた、細い迷路のような通路を進む。そんな中、頭上をぐるりと取り囲む櫓や壁に空いた「狭間」がとても気になる。多数の狭間から鉄砲の銃口がすっと出てきて、一斉射撃されたら、とても生き残れるとは思えない。今までいくつか城は見たが、これほど城自体に対して脅威を感じたのは初めてだ。松山城の防御力については本気を感じる。ここを責めろと言われる兵士はたまったもんじゃないだろう。

足止めした敵に一斉に砲弾を浴びせるための門がいくつも天守閣内にある。平和な令和の世ではすべての門が開かれ、万人を迎え入れている。当時はこんな一般庶民の幼児がこんなところに来れるはずもなかっただろう。「しつれいします~」となぜか柏手を打って天守閣に入る娘。神社と勘違い?

当時のままの見応えのある天守閣には展示も充実

松山城の天守閣内部は当然ながら当時のまま。重厚な梁に壁、そして見事な床。そこにいるだけでも別世界だ。内部には当時の刀剣や鎧、資料などが展示されている。「あっ、ほうちょう~」「あっ、にんじゃ~」展示されている刀や槍、甲冑に娘も興味津々。

鎧や刀以上に娘の興味を誘ったのは、先ほど脅威を感じた「狭間」。天守閣の内部、ありとあらゆる場所に狭間はある。当然、城下町を高見の見物するためのものではなく、ここから銃や弓で責め来る敵を射抜くためのものだ。とはいえ、常時使われるものではないので、狭間には蓋がついている。3歳児、あれこれ試して大好きな狭間を開ける事に成功。簡単な金具で止められているだけなので、ちょっと金具をずらせば狭間の蓋は空いた。外からこの小さな穴をねらうのは困難だが、中からはこの小さな穴からでも十分に敵を狙える。

狭間のほかに、石垣の上にせり出した床が開くようになっている。ここから弓や鉄砲を石垣を登る敵にけしかけたり、石を投げつけたりもできる。糞尿を敵めがけて落とすという鬼畜な技もありだとか。

天守閣から振り返る、登城をスタートさせた城山公園。この高さを3歳児ひとりで抱っこもせずに登ってきた。えらい!

小天守閣の内部。立派な梁に分厚い壁。床もギシギシなど言わず、しっかりとした造り。外壁は内部に石を詰めており、外からの銃撃を堅牢に防げる構造になっている。そんな壁一面には狭間がぎっしり。

小天守閣から眺める大天守。松山城は「連立式天守」になっている。連立式天守とは、大天守・小天守・櫓を四方に配置し、櫓でついだ形式。強固な守備力を確立できる、天守防衛の最終形とされている。

松山城天守閣の中庭。連立式天守閣には中庭ができるのが特徴。それでは天守閣のメイン、大天守へと向かう。

途中、甲冑が置いてあり、着方の解説が置かれている。自分で着けないといけないが、甲冑を自由に着れるのは貴重な経験。当然レプリカだろうが、鉄でつくられていて、まるで本物。さすがに娘をほったらかしで甲冑を着る訳にもいかず。当然娘にはサイズ大きすぎ。ここは鉄兜だけかぶって、ひとり楽しむ。ズシリとくる重さ、うん、いい感じ。ひとりプチコスプレの悦に浸っていると、娘も鉄兜かぶってみたいという。被せてあげると、「おもすぎ~(ーー゛)」とお気に召さなかった様子。

大天守の中層には座布団が置かれ、この歴史的な床に座ってくつろげる。ビデオで松山城の歴史や保存などの紹介が流されているので、それを見ながら歴史的空間でまったりするのも気持ちが良い。

松山城の天守閣、とても気持ちがよくくつろげる。住みたいと思うくらいだ。天守閣は籠城戦になった際の拠点であり、通常は殿様は二ノ丸という山麓の館で生活をしていたそうだ。そのため、天守閣の内部は質素なつくりになっていることが多い。しかし松山城の天守閣はふすまなどの建具で部屋が仕切れるようになっている。ふすまや障子などを入れれば、きちんとした生活空間を確保できる。これが住みたいと思えた、快適な生活空間と思えた要因だろう。天守閣でこのようなつくりは、珍しいとの事だ。

天守閣の階段は急だ。敵襲の際には登りにくくしたり、階段自体跳ね上げて上階に上れないようにしている。こんな急な階段にも、果敢に3歳児は挑み、どんどん登っていく。

松山城天守閣からの眺めはとにかく絶景!

ついに松山城の大天守の最上階に到着。最上階には床の間があり、ここでも建具を入れれば立派な部屋になる。ここで優雅に暮らしてみたいと思ったりもする。・・・いやいや、やはり通勤が大変だ。

天守閣からの眺め。右には先ほどの登った小天守。左には花見の名所の本丸広場。そして山の下には松山の市街地が広がっている。標高132mの山上に立つ、高さ28mの天守閣の最上階からの眺めは、松山市中心部では最高所。かつては藩主と限られた重臣だけが望めた絶景。今はだれでも入場料を払えば楽しむ事ができる。

天守閣から眺めるお堀。お堀の淵には路面電車が走っている。ちょうど堀に沿ってカープする所が、松山城をバックに坊ちゃん列車が走る、松山を代表する風景の撮影場所だ。写真右側の観覧車は「くるりん」。松山のターミナル駅である伊予鉄道松山市駅の上にそびえる、松山のランドマークだ。高さ85mの建造物は、建築規制がある松山市内では最も高い建造物。それでも松山城から眺めれば、はるか下に見える。

西側に目をやれば、瀬戸内海が広がる。見えるのは三津浜港。江戸時代から開かれていた港で、松山に教師として赴任した夏目漱石が降り立ったのもあの海辺だ。小説「坂の上の雲」では秋山兄弟が故郷松山から旅立ったのもあの海から。島国四国にあって海は玄関口。人や物の出入りを手に取るように監視できていたのではないかとも思えるような見事な風景だ。本丸までは介助者がいれば車いすやベビーカーは押し上げられる。天守閣のなかは当然ながらバリアフリーにはなっていない。天守の中はスリッパを着用するが、子供用のスリッパも用意されている。また、天守閣にはトイレはなく、最も近いトイレは天守閣入口がある本丸広場のみ。小さな子供を天守閣に入場する前にはトイレを済ませてからにしたい。「おしっこ」と突然言われても、急な階段の天守閣から降りるのは相当時間がかかる。重要文化財の中で粗相すれば、とんでもないことになる。今回はそれが一番ヒヤヒヤした・・・

松山の観光と宿泊情報

松山の宿泊といえばやはり道後温泉ですね。四国を代表する温泉街で、老舗からモダンな旅館まで多くの宿があり、歴史ある温泉風情を楽しめます。また、松山にはシティホテルが多くあります。中には温泉を引いている場所もいくつかあります。予算や目的によって豊富な宿が選択できる松山の宿泊は、愛媛の旅にはオススメです。

【道後温泉・松山の宿一覧】

松山城

場所: 愛媛県松山市丸之内
電話: 089-921-4873
交通: 松山市電大街道電停から徒歩5分、ロープウェイまたはリフト有り(往復500円)
   松山自動車道・松山ICより25分
駐車場: なし(近隣の有料パーキングを利用)
料金: 無料(天守閣入場は500円)
営業時間: 9時~16時30分(天守閣・季節により異なる)
休業日: 無休(12月29日のみ休城)

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