マイントピア別子の寒桜と冬桜

最終更新日

Comments: 0

1973年に閉山した、日本三大銅山のひとつである「別子銅山」は「住友」が発展した礎である江戸時代から昭和まで300年近く続いた銅山だ。
現在、多くの銅山施設は取り壊しになっているが、山中にひっそりと遺跡が残っており、それらは「東洋のマチュピチュ」と言われ、現在脚光を浴びている。ただ、それらの産業遺産を見に行くには、山の上まで細い道を車で走ったり、山道を歩かないといけない。特に冬場は、その道路までも雪のため閉鎖されてしまう。そんな時でも、気軽に銅山探検気分が味わえるのが「マイントピア別子」だ。
「マイントピア別子」は道の駅にも指定されている。新居浜から、銅山開山時代に賑わった山向こうの旧別子村へと続く県道47号線沿いにある。ここは、別子銅山最後の採鉱本部となった「端出場」を再開発したテーマパークとなっている。そのため施設内に「端出場水力発電所」や「第四通洞」などの巨大で目のつく産業遺産が目白押し。他にも貯鉱庫や鉄道跡、少し歩けば森に飲み込まれた巨大な社宅跡など、かつての銅山開発の跡を垣間見ることができる。
テーマパークとしても整備されており、トロッコ列車に乗って入洞する観光坑道。砂金採り体験やバーベキュー、芝生広場。さらにはとても気持ちいい温泉など、子連れでも楽しめる施設になっている。

寒桜が咲くトロッコ列車は美しい風景

娘をつれて鉱山鉄道に乗り込む。晩秋から冬の時期、鉱山鉄道の「端出場駅」のプラットフォームには美しい桜が咲き誇る。これはマイントピア別子の名物のひとつ、寒桜の「エドヒガンザクラ」
マイントピア別子には、220本余りの冬桜があり、11月~2月にかけて小ぶりな桜の花を咲かせます。見ごろが秋の紅葉の時期から晩秋なので、園内の紅葉と一緒に桜が咲く美しい風景を鉄道旅情が飾ってくれる。また、マイントピア別子内を流れる国領川をさかのぼると別子ラインと呼ばれる紅葉の名所。紅葉ドライブも一緒に楽しむこともできる。

鉱山鉄道はものの2~3分の乗車。乗る鉄道も、レプリカではある。しかし、走る線路は実際に使われていたもの。途中通過する「中尾トンネル」や「打除鉄橋」は明治時代の建造物。現在も観光列車の施設として使用しているが、とても貴重で特級の産業遺産だ。
ちなみに列車内での観光案内は、マイントピア別子がある新居浜市出身の人気声優、水木奈々さんが担当している。

子供も楽しめる楽しい観光坑道

観光坑道内に入ると、江戸時代の鉱山開発の様子が人形を使って再現されている。ナレーションは、北斗の拳のラオウやDr.スランプの則巻博士の声で知られ、先日他界された内海賢二氏。あの優しく、太く、低い声で語られる別子銅山の歴史の説明はとても心地よく耳に入ってくる。ただ、4歳の娘には、薄暗い場所にリアルな人形が置いてあり、普段は聞かない重低音の内海氏の声が響く場所は相当に怖いらしい。

その先に進むと、時代が明治時代に。日本初の山岳鉄道が走った別子山のジオラマが再現されている(写真)
そして昭和時代になり高度な鉱山技術や道具の紹介を抜けると、付近はとても明るくなる。観光坑道の一番奥には、滑り台やゴンドラなどの巨大遊具。削岩機や水の組み上げの操作を模擬体験できる装置など、子どもが楽しく遊べるスペースだ。お化け屋敷に入ってしまったと思っていた娘も、「なんでこんなところにこんなのがあるの?」と、楽しく遊具で遊んでいた。

観光坑道を抜け、青く澄んだ足谷川の流れを見下ろしながら、鉱山列車に戻る。鉱山列車は帰りはバックしながら進む。最後尾にのれば、機関車がないので運転席越しに迫りくる風景を楽しめる。

紅葉に彩られた産業遺産が美しい

観光鉄道のうちよけ駅(観光坑道入口の駅)からは「中尾トンネル」や「打除鉄橋」を間近に望む事ができる。どちらも明治26年の建造で、120年以上も前の鉄道施設だ。特に「打除鉄橋」はピントラスト橋と呼ばれる独特な構造で、日本国内に6か所しか残っていない。さらには対岸に向かって斜めにかかっていることより、非常に価値がある産業遺産だ。
打除鉄橋を渡ると中尾トンネルの中に突入する。手を伸ばせばトンネルの壁に触れるくらいとても狭いトンネル。所々補強はされているが、赤レンガがアーチを描くトンネル内部は相当にレトロ。そんなトンネルのレンガ壁を間近に見ながら進んでいくのもなかなかできない体験だ。

「はでば駅」に戻り、マイントピア別子の本館に入る。同じフロア、レストラン入り口横のテラスにでると、特級の産業遺産が川の対岸に見える。「端出場水力発電所」だ。
明治45年に操業を開始した水力発電所。日本初の山岳鉄道の終着駅である「石ヶ山丈停車場」近くの「石ヶ山丈貯水池」からこの発電所まで、一気に水を落としていた。落差は596mで、当時は東洋一を誇っていた。しかも、その水力発電に使う水は、坑道を使い、山の向こうから約10kmを水路で水を運んでいたというので驚きだ。昭和45年まで現役稼働していた発電所。貴重な産業遺産は現在は開放されておらず、近づく事も出来ない。内部には当時の発電タービンがそのまま残されている。ああ、一度でいいから、見学させてほしい・・・

マイントピア別子

住所: 愛媛県新居浜市立川町707-3
電話: 0897-43-1801
営業時間: 9:00~18:00(観光鉱山、入場は17:00迄)
休業日: 2月第3月曜から1週間程度点検期間休
    砂金採りは冬場は土・日・祝日のみ営業
交通: 松山自動車道・新居浜ICより車で約20分
   料金: 観光坑道 大人1200円、中・高校生800円、幼児・小学生600円
      (JAF割引で20%OFF)
駐車場: 約400台

【投稿時最終訪問 2015年7月】

シェアする