愛媛県総合科学博物館

松山自動車道で西条インターを過ぎると森の中に突如として現れる、無機質で変わったデザインの建物。それが「愛媛県総合科学博物館」だ。愛媛県立の博物館で、展示がとても見応えがあると人気の施設。そろそろ娘も4歳になり、いろいろとわかるようになってきたので、訪れてみることにした。

有名建築家デザインの建物も見応えあり!

愛媛県総合科学博物館の外観。ガラス張りの円錐形の建物がとても特徴的。黒川紀章建築都市設計事務所の設計だそうだ。

駐車場は高速道路をはさんで愛媛県総合科学博物館の手前にある。300台以上停められる広い駐車場で、屋根つきになっているのがありがたい。駐車場から愛媛県総合科学博物館までは高速道路を渡って2,3分ほど歩く。駐車場や愛媛県総合科学博物館のエントランスに貸し出し用の傘があるのは親切。歩くのがつらい人がいる場合、愛媛県総合科学博物館の入口まで車が入れるので、そこで人を下ろしてから駐車場に車を停めに戻ると良い。

愛媛県総合科学博物館のロビー。特徴的な円錐形の建物の底辺部分にあたる。壁から頭上まで、一面ガラスに覆われた空間はとても広くて開放的。降り注ぐ光がとても気持ちが良い。地下へ続く階段はプラネタリウムの入口だ。

ロビーの頭上には不思議な幾何学模様を描く円錐形のドーム。ついつい首が痛くなるまで見上げてしまう。愛媛県総合科学博物館は見る展示によって料金が異なる。通常展示、プラネタリウム、特別展示の3種類があり、入口でそれぞれのチケットを購入するようになっている。

自然館の内容充実の展示には大満足!

通常展示は4階の「自然館」にエスカレーター・エレベーターで登り、下っていく形でスタート。自然館には「宇宙のゾーン」「地球のゾーン」「愛媛のゾーン」で構成されている。「宇宙のゾーン」では、大昔の人が思い描いた地球の形から最新科学による宇宙の紹介。「地球のゾーン」では、生物の進化や恐竜の模型。「愛媛ゾーン」では、愛媛県に関する動植物の生態を紹介。まだ難しい事はよくわからない娘は、宇宙のゾーンは無関心だった。そして、地球のゾーンに突入したとたん、娘は真っ青になる。

博物館の目玉!リアルすぎる恐竜たちは必見!!

「ぎゃあ~。こわいっ。パパ抱っこ!」娘を震いあがらせたのは、巨大な恐竜。ティラノサウルスとトリケラトプスの実物大の模型だ。驚くほどに精巧でリアル。肌感ひとつにとってもリアルすぎて、今にも動き出しそうだ。あまりにも巨大でリアルな模型に4歳児、真剣に怖がる。

しかし、本当にこの恐竜はすごい。表情も肌感も細部にまでこだわりぬき、作り物と思わせる要素がまったく見当たらない。とにかくリアル。まるで生きているみたいだ。本当は生きているんじゃないかと思えるくらいだ。「グルルルル・・・」足元のスピーカーから恐竜の唸り声。いいね~。こんな演出でも、恐竜がリアルすぎるから大迫力に思える。まるでこの恐竜が動き出しそうだ。

ん? あれ??

ぎゃあ~っ。本当に動いたぁ~~っ

実はこの恐竜は愛媛県総合科学博物館の目玉。ティラノサウルスとトリケラトプスが何分かごとに突然動き出すのだ。しかしこんなに動くとは思わなかった。ちょっとクネクネするくらいかと思ったが、派手に首を左右上下に振り回す。まぶたも閉じたり、口も大きく開いたりして、その表情がすごい。何よりもその動きがリアルすぎ。油圧やギアの動くギミック的な音もなければ、機械的な動きも感じられない。なめらかに、そして何よりも力強く感じる。よく、恐竜と戦う映画やゲームがあるが、こんな早くて力強い動きの相手に勝てるわけがないと即座に思った。あのスピードで噛みつかれたり、薙ぎ払われたりしたら、逃げようがないし一発即死。そう思えるほど恐竜の恐ろしさを体感した。よかった、こんな恐竜がウロウロする時代に生まれなくて・・・ふと見ると、抱っこした娘は死んだふりしているかのように固まって動かなくなっていた。怖さがピーク越えていたようだ。それほどにリアル。その場に居た他の小さな子供もギャンギャンに泣いている。そして、ほかに居合わせたお父さんは、子どものように目をキラキラさせながら、動く2匹の恐竜に見入っていた。

小さな子供や大人も食い入る科学技術館

恐竜の次は3階の「科学技術館」に移動。科学技術館は「素」「生」「伝」「動」の4つのゾーンで構成されている。素材、人体構造、化学現象、エネルギー実験など。ここでは様々な科学現象を実験装置などを通じて楽しめる。

科学的な解説は4歳の娘には当然わからないが、いろいろと手に取って試してみる装置が目白押し。おもちゃという訳ではないが、いろいろと自分で動かせるものがいっぱいなので、娘も楽しんでいる。ブロックや段ボールの遊具などが置かれたキッズコーナーもあるので、子どもが一番楽しめるコーナーになっている。

面白かったのはホログラムの絵画。一見何もない額縁。目線の位置を変えると、なんとその中に眠るドラキュラが浮かび上がる。へぇ~、よくできているなぁとじっくり見ていると・・・「見たなぁ~」とばかりにドラキュラが目をさまし、こちらを睨みつける。見る角度によっていろんな表情をするモンスターは他にもフランケンや狼男など。不思議な絵がずらりとギャラリーのように飾られている。

同じ3階には「産業館」という展示スペースがあり、「伝統産業ゾーン」と「基幹産業ゾーン」に分かれている。愛媛は比較的早くから鉄道が走っていた事もあり、鉄道の展示が充実。明治時代、夏目漱石を乗せて走った伊予鉄道の軽便鉄道の機関車の復元が置かれていた。これには子供が大はまり。他の子供たちと一緒に「電車ごっこ」に興じてなかなか動かない。その間に展示をゆっくりと見せてもらった。愛媛には日本三大銅山のひとつ「別子銅山」や日本有数の造船地帯を有する事もあり、かなり産業の紹介は見応えがあった。

各階の展示を見終わると、ロビーの頭上の円錐形の空間をスロープで下りていく。このスロープの散歩も、不思議な気分で気持ちが良い。各階での飲食はできないが、ウォータークーラーが備えられているので、暑い夏の水分補給には困らない。

見た目も機能も秀逸!美しいプラネタリウム

円錐の建物と並んで目が引くのが、広い池にぷかりと浮かぶ不思議な球体。これはドーム径30mの世界第2位の大きさのプラネタリウム。通常の展示とは別料金だが、見応えがありとても人気だ。日にいくつかのプログラムが上映されており、好きな時間のプログラムのチケットを事前購入するシステム。

プラネタリウム上映開始15分前に、プラネタリウムへの通路の入口が解放される。プラネタリウムには、ロビーの地下から通路を歩いていく。この地下通路はプラネタリウムのある池の湖底にある。通路の天井が池の底にある窓になっている。風で波立つ水面を通り抜けた揺らめく光が通路を幻想的に照らしている。

プラネタリウム内部。席数は約300席と、小さな映画館よりもずっと広い。通常の映画館と違い、見やすい席は一番上のようで、どんどん上から席が埋まっていく。設置されているプラネタリウムも超高性能。投影できる星の数が、通常のプラネタリウムの約26倍らしい。実際に星空を投影した時の美しさは全然違った。そして映像もとても美しい。動きもなめらかで、放映されている内容によっては大空を飛んでいたり、宇宙遊泳を楽しんでいるかのような錯覚に陥る。あまりにもリアルすぎて気分が悪くなる時は、そっと目を瞑ろう。

美しい風景を眺めながらのレストランもオススメ

エントランスロビーには売店とレストランが併設されている。レストランは80席。池に浮かぶプラネタリウムドームと、石鎚山山麓の大自然を眺めながらの食事を楽しめる。食事の内容は焼きそばやうどん、カレーやピラフなど。付近に飲食店がないので、このレストランでの利用となるが、料金は700円以内に収まるのでとても良心的。味はよく言えば画一的な業務用の味、イベントの屋台的な味だが、この値段でこの眺めを楽しみながら食べられるならまだリーズナブルだ。調味料などはセルフコーナーで好みでかけるのだが、この調味料の中にうどんようの天かすがある。これを焼きそばやたこ焼きなどにパラパラとふりかければ、無料でささやかなグレードアップが可能だ。
幼稚園児だと、「科学」を頭で理解するのはまだまだ先だった。それでも不思議な科学現象に触れられるのは良い経験だった。また子供が成長したら、連れてきてあげたい。そんな場所だった。

新居浜・西条の宿泊情報

新居浜や西条には温泉が点在しており、ゆっくりと湯を楽しめる旅館もあります。愛媛と言えば道後温泉ですが、のんびりと家族連れで楽しめる西条近辺の旅館もいいですよ。

愛媛県総合科学博物館

場所: 愛媛県新居浜市大生院2133-2
電話: 0897-40-4100
営業時間: 9:30~17:30 (入館は17:00まで)
休業日: 月曜日(1週目のみ火曜日)祝日の場合は、直後の平日が休館
    年末年始
    春・夏休み期間は無休
アクセス: 松山自動車道 西条ICより約5分
駐車場: 320台 (無料)
入場料: 大人500円、小・中学生無料 (プラネタリウムは大人500円、小・中学生250円)
    
【投稿時最終訪問 2013年8月】

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