絵かきの町・大王町散策
太平洋にリアス式海岸が広がる伊勢志摩。その中でも熊野灘と遠州灘の境となる「大王埼」を中心に広がる大王町は海岸美だけでなく、海沿いに広がる風景がとてもノスタルジックな町。漁港、複雑な小径、石垣、白亜の灯台など絵になる風景が多く、戦後の有名な映画監督だった小津安二郎監督が「フランスのニースのようだ」と絶賛したことより、多くの画家たちが訪れて大王町の風景がをたくさん残したことより、絵かきの町と言われています。絵画コンクールも開催される魅力的な町の散策は絵画だけでなく、カメラやスマホを携えて散策すれば、まるで物語の世界にやってきたかのような旅情を味わえます。
昭和の港町がそのまま残るノスタルジックな風景
大王町の港町は波切と呼ばれる集落。その中心になる漁港。外海は黒潮が打ち寄せる断崖絶壁に白亜の灯台が建つダイナミックな自然。内湾には石畳の坂道や風よけの石垣などが並ぶノスタルジック港町。その素朴ながらも歩くだけでどんどん表情を変える風景が、多くの画家をキャンパスに向かわせたのでしょう。
漁港には魚が干されています。磯の香りが漂うとても長閑な風景です。
家と家の間に迷路のようなの細い路地が張り巡らされた町内。とある路地から高台の上へと階段が続いていており、誘われるように登っていきます。
高台から見下ろす大王町波切の町並み。まるで映画に出てきそうな昭和を感じる懐かしい風景が眼下に広がります。
高台の上にはジブリに出てきそうな風景が広がります。潮風を受けて映画やアニメの舞台のような町並みを歩くのはとても気持ちが良い散策です。
昭和の名残ともいえそうな主がいないコンクリート造りの大きな建物がいくつも残っています。
町を見下ろすように高台の上に建つ大王崎灯台。観光灯台として登ることができます。時間が止まったような昭和レトロなひなびた土産店のならぶ通りが灯台まで続いています。
ノスタルジックな港町。令和の時代の中に昭和がそのまま残っているような場所です。
大王埼灯台へ向かうレトロな道
波切の中心部の高台の散策を終え、再び波切漁港に戻ってきました。
漁師さんから美味しい魚がもらえるからか、漁港周辺には猫の姿がよく見られます。魚が食べ放題の様で、恰幅よくなかなかふてぶてしい感じがします。猫がのんびりとくつろいだり、散歩したりしている風景もまた、とても絵になるので、ネコ好きにはたまらない場所です。
石畳の道沿いの立派な塀と赤い屋根、色鮮やかな朱色の祠が並ぶ仙遊寺。昭和レトロな大王町の中でもきれいにされた一角です。ここを歩いて大王崎灯台へ向かいます。
昭和の風景の先、波切の町の上にそびえる大王崎灯台。青空を貫く白亜の灯台はとても絵になります。高さ22.5mの灯台の上まで見学料200円で登ることができ、岬の上の高さも相まって大海原や断崖絶壁、そして大王町の町並みを遥か足元に眺めることができます。
道は大王崎の東側にある「須場の浜」に出ました。ここから大王崎灯台と波切神社まで海沿いの道が続いています。鄙びた旅館と石段の堤防沿いの道は、映画に出てくるような懐かしいレトロな雰囲気に溢れています。
志摩でも最も太平洋に突き出した大王崎。海の難所であり、この大王崎灯台が難所から船舶の航行を守っています。
太平洋を一望する気持ちよい崎山公園
須場の浜の北側の突き当りから、波切神社への参道が続いています。
階段を登ると、南国チックな雰囲気が漂う波切神社(なきりじんじゃ)があります。波切神社にはダンダラボツチという片目の巨人の言い伝えが残っています。村へやってきて悪さを繰り返す存在で、台風の象徴と言われています。
神社の奥には大王埼無線方位信号所があります。木々のない草原と大海原を前にコンクリート造りの建物が建つロケーションは、どこか離島の風景を彷彿とさせます。
さらにその先には崎山公園があります。海に向かって開けた芝生広場が美しいロケーションです。
波切神社から歩いて5分ほどで崎山公園の先端に到着します。大王埼の北に位置し、伊勢湾・遠州灘・太平洋を一望できる最高の展望です。海から運ばれてくる潮風と芝生広場の開放感がとても気持ちよく、天気が良ければ右端に富士山が見えることもあるそうです。
崎山公園から足元の海をのぞくと、太平洋の荒波が岸壁を穿っていくつもの小さな海蝕銅がぽっかりと口を開けているのが見えます。目の前に広がる海の荒々しさと、それが作り出した神秘的な自然は感動的な風景です。
崎山公園から望むのは波切漁港。南北に長い港で南部は昭和の港町ですが、漁港出口がある北部は整備されて近代的な施設が設けられています。ここから見る風景は同じ漁港とは思えません。
崎山公園からは波切漁港に向かって降りていく道があります。せっかくなので行とは違う道で町の中心まで戻りましょう。
道は波切漁港の施設ではなく、港を守るようにつくられた大王埼の北端から伸びる防波堤の上に出ます。防波堤からは、大王埼のある島のような地形の縁を歩いて中心部へ戻ります。崖と海に挟まれた細い道、風情を感じながらも注意して歩いていきます。
細い道の途中には不思議な施設が。防空壕などの跡や昔の倉庫の跡かな。想像力と創造力を掻き立てられる場所です。
港の中心からも波切神社への参道があります。まさにこの地に根付いた神社です。
時間が止まったかのようなノスタルジックな町並みと大自然が造り出したダイナミックな海岸美が楽しめる大王埼。多くの絵描きがこの風景を描こうと訪れたのご納得できる懐かしくも美しい風景でした。
大王町波切(大王埼灯台)
場所: 三重県志摩市大王町波切
電話: 0599-46-0570(志摩市観光協会案内所)
時間: 散策自由
駐車場: 大王埼玉観光駐車場(300円・20台)、他駐車場あり
アクセス: 第二伊勢道路・白木ICから約35分
【投稿時最終訪問 2017年9月】