谷瀬の吊り橋【世界遺産の山々の秘境・絶叫スポット】
日本最大の面積を誇る村、奈良県十津川村。紀伊半島の奥深く、高い山々が連なる山村は大自然があふれ、たどり着くのも困難なまさに近畿地方の秘境。世界遺産に指定されている熊野大社や大峰山に囲まれた神秘的な場所でもあります。そんな十津川村の一番の観光名所は日本最長の実用吊り橋である「谷瀬の吊り橋」。もともとは地元の方が大金を出し合って作った生活用の橋なのですが、なにせ深い谷に掛けられた吊り橋は高さ54m、長さ297m。そのあまりもの高くて長大な吊り橋は、見ているだけでも足がすくむ絶叫スポットとして人を秘境の奥まで呼び込む観光名所となっています。
世界遺産の山奥に架かる絶景・絶叫の吊り橋
谷瀬の吊り橋は奈良県五條市から和歌山県新宮市を抜ける国道168号線の中間地点付近にあります。紀伊半島のど真ん中、まさに秘境の地です。かつて国道168号線は離合もできない区間が多い細い道が延々と曲がりくねりながら続くまさに酷道でした。しかし大峰山や熊野大社が世界遺産に認定されたことで一気に道は改良され、今では比較的走り易くなっています。
谷瀬の吊り橋の看板に従い、走り易くなった新道から細い旧道に入ると谷瀬の吊り橋が深い谷に架けられている壮絶な眺めが飛び込んできます。付近に有料の観光駐車場に車を停めて、いざスリルに挑戦!
吊り橋の入口には監視員がおり、渡る人数の制限が行われています。付近では著名な観光地ですが、たどり着くにも相当に時間がかかる場所。同様の観光吊り橋とは違い、連休などでなければ順番待ちは発生しそうにはありません。
スリル満点すぎる高くて揺れる吊り橋
さあ、勇気を出して渡りましょう!一気に切り立った、そして広くて深い谷を渡るのはなかなかのスリルです。高いところが苦手な方は絶対に無理。とっても丈夫な鋼鉄のワイヤーで吊り橋はかかっており、転落しないように両サイドは金網で固められています。それでも足元は木の板を敷いただけ。「橋の端」は金網になっているので足元がスケスケ!これだけでも足がすくみそうになるのですが、意外にこの吊り橋、揺れるのです。人が歩くと踏ん張らないと転倒しそうになるくらいも。安全とはいえ、スリル満点なのです。
金網越しにしっかりと谷底の風景が望めます。吊橋の下の谷底を流れる十津川の広い河原は「つり橋の里キャンプ場」になっています。はるか下に小さく見える車が、今吊り橋に乗ってどれだけの高さにいるのか教えてくれます。そしてスリルに慣れてきたころに気づくはずです。空中散歩を楽しむかのようなとてつもない解放感に。山を下り、谷を渡る風の薫りとすがすがしさがとても気持ちよいのです。
吊り橋から十津川上流を望む。広い河原は絶好のオートキャンプ場。雨上がりでやや川は濁っていますが、それでも山から溶け出したようなエメラルドグリーンに輝く清流は絶好の川遊び場。夏場には多くの人がここで泳いで川遊びを楽しんでいます。川の上流にはもうひとつのキャンプ場「谷瀬のつり橋オートキャンプ場」もあり、まさにアウトドア天国です。
吊り橋を渡りきったら絶景を眺めて一息
吊り橋を渡りきると「吊り橋茶屋」があります。小さな茶屋ですが、渡ってきた吊り橋の絶景を眺めながらの軽食が楽しめます。オススメは熊野地方の特産品「めはりずし」。大きなおにぎりを高菜の浅漬けの葉でくるんだもので、大きく口を開けて目を見開きながら食べる様子「目が張る」からこの名前になったとか。十津川の河口にある新宮市のめはりずしがとくに有名ですが、この地方では農作業や林業をする際の弁当として親しまれています。
自販機もあり、東屋もあるので軽食をとらなくても休憩にはもってこいの場所。吊り橋を渡り切った渡橋証明書もここで手に入れることができます。
吊り橋を渡ったら、当然帰らねばなりません。でも、どうしても、もう無理!という方には大分遠回りになりますが普通の車が渡れる丈夫な橋が上流に架かっています。茶屋で休んでいる間、同行者に駐車場から車をまわしてもらう事もできます。
吊り橋の上から望む十津川の流れを望みます。深い山々を大きく削り、清流をいっぱいにあつめてゆっくりと太平洋に下っていきます。やがて熊野川と名前を変え新宮市市街地で太平洋に注がれますが、海のすぐそばまでこの原始の様相を保ちながら熊野川は流れていきます。この熊野川も世界遺産に登録されており、途中には世界遺産の熊野本宮大社もこの川のすぐそばに鎮座しています。神々しい川をはるか真上から見下ろすことはなかなかありません。
足元ばかりに目が行き勝ちですが、この素晴らしい絶景と大自然を吹き抜ける風を吊り橋の上でしっかりと堪能しましょう。
観光客は禁止されていますが、地元の人はここをバイクや自転車で渡る事もあります。また地元の子供の通学路でもあります。こんなところをバイクに乗るなんて曲芸?ここを毎日歩いて学校に通うなんて過酷?しかし、それは昔から脈々と続いてきた日常の風景であり、私たち観光客がこんな山深い所までスリルを楽しみにわざわざやってくる方がおかしな事なのかもしれませんね。
十津川の観光と宿泊情報
谷瀬の吊り橋は曲がりくねった国道を長時間走る深い山奥にあるので、なかなか訪れる事が難しい場所です。しかし、付近には世界遺産に登録された熊野大社や大峰山などの見所はいっぱい。観光地をうまくつなげば、かなり楽しいドライブルートとなります。春は吉野の桜。夏のキャンプや川遊び。秋は紅葉。冬は雪景色に温泉。訪れる季節によっても様々な楽しみがある絶叫・絶景スポットです。十津川村での宿泊は中心地にある十津川温泉がオススメ。旅館や民宿、共同浴場や日帰り温泉が何軒もある、山奥にありながらもゆっくりと宿泊できる温泉地です。
谷瀬の吊り橋
場所: 奈良県吉野郡十津川村谷瀬谷瀬
電話: 074-663-0200
営業時間: 特になし
休業日: なし
交通: 奈良県五條市より国道168号線にて車で約1時間
和歌山県新宮市より国道168号線にて車で約2時間
料金: 無料
駐車場: 50台 (1回500円)
【投稿時最終訪問 2016年7月】